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近況 第49回母性衛生学会報告 【非営利活動】

不動産にはまったく関係ないですが、明日、主催しているボランティア団体のほうで、第49回日本母性衛生学会総会・学術集会にてプレゼンテーションをするので、ここ10日ほど、その準備ばかりをしていました。

今日11月5日は、会長主催晩餐会(のようなもの?)がシェラトン・ベイ・トウキョー・グランデにて行われるので、舞浜、、、、

Shaleece Haas
Photo by Shaleece Haas, 2004. 産科フィスチュラ患者は、産道や腸/尿道に孔が開くため、「糞尿垂れ流し」状態での生活を強いられる。

メインシンポジウムは、Safer Motherhood【より安全な出産を】というテーマで、WHO【世界保健機構】の方や、UNFPA【国連人口基金】の方などに混じり、私が、非政府団体の立場を代表して、発言させていただくということが、趣旨となります(と解釈した)。

ほかのプレゼンターのかたがたは、IPPF【International Planned Parenthood Association】を含めて、主として、各国あるいは国連関係の政府予算を中心に活動をしているからです。

公衆衛生学修士号は持っているのですが(専攻は一応法と公衆衛生)、保健衛生のプロフェッショナルでないのに、こうした晴れがましい立場で、2,000人もの、学会メンバーの方々の前で、プレゼンをするというのは、大変光栄なことです。NHKの取材も入るというのに、招聘をしてくださった会長の北村先生をはじめとする、関係者の方々に恥をかかせるとまずいぜ、、、

ただ、各人の持ち時間は、15分ということなので、それほど、長々と話せるわけではないのです。

医学の関係者の方々に対し、「自分は何を話せばいいのかしら」と悩んだのですが、北村先生のアドバイスで、「産科フィスチュラというとは何か」という、ごく、一般的な、わかりやすい話を中心とすることにしました。

自分の領域の話はまだいいけれど、パネルディスカッションが20分くらいあるらしいのです。これを専門にやっているわけではないので、ほかの団体の動向や、さまざまなイシューの昨今の位置づけなんかは、わからない、、、大汗

どうせ、私には、シンポジウムの場ではたいした期待はされていないだろうと勝手に、解釈、、、


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イマドキの日本、年金問題、医療問題、世界の金融恐慌と、無力感に打ちひしがれる方々が多いと思うのですが、支援先のアジスアベバフィスチュラ病院のことを、思うたびに、こう思います。


個人の意思の力というのは、すごいものだな、、、と。


ハムリンフィスチュラグループは、もともとは、キャサリン・ハムリン医師、レジナルド・ハムリン医師が、1959年にエチオピアに赴任した際に、産科フィスチュラについて知り、無料での治療を開始したところから始まります。

それは、1959年-60年のことでした。

もともと、手術方法自体、普通の医学部では教えず、二人は、19世紀のフィスチュラ手術の権威、シムズ医師の本を読んで、治療法を学びます。シムズ医師自身が、独学で、何百もの症例を手がける中で、手術の手順を作っていったというのですから、大変なドラマです。

ハムリン医師夫妻は、シムズ医師の本を読んだ、試行錯誤をして、手術法を会得し、手術の成功率を、93%までに。すべての患者を、100%無料で治療してきました。

ハムリン医師夫妻は、この中、

昼は診察、手術
夜は金策

が習いとなり、母国オーストラリアや、研修先のイギリス、大金があるかもとアメリカなどに、「物乞い行脚」に、出かけていくのです。

その中で、夫妻を支援する団体がイギリスやオーストラリアにできていきます。地味な活動が、何十年も続きますが、オーストラリア政府の海外支援【AUSAID】の対象ともなっていくことで、病院は、大きく飛躍していきます。

そして、2003年のニューヨークタイムズ紙に、ピュリッツアー賞受賞者、ニコラス・クリストフ記者が書いたOp Edを通して、アメリカでも、現在、フィスチュラ撲滅への支援は、大きな動きとなりました。クリストフ記者の記事は、こちらから。

現在、アジスアベバフィスチュラ病院は、WHOやUNFPAといった国連機関にとっても、この問題に取り組んでいくための、よきリソースを提供するパートナーでもあります。

レジナルド医師は、死去されましたが、キャサリン医師は、いまだ、簡単な手術であれば、手術台に立たれます。2008年現在、83歳。現役なのです。

二人が始めたフィスチュラ治療は、累計3万5,000人もの患者の治癒や、毎年1,200人を治療するキャパのある専門病院と高度の医療に従事するチームとなり、文字通り、何万人もの人々を巻き込んだ世界的なうねりとなりました。


Hamlin Wpatient
どんなことでも、50年間、そのことだけを、突き詰めるとしたら、、、多くの私たちは、そこまでの努力をしていないのにもかかわらず、成果が出ない、と不満をもらしがちではないでしょうか、、、


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現在、産科フィスチュラ問題は、50年前とはうって変わって、欧米では、hotなトピックらしく、病院では、業界のスタンダードを高め、また、ハムリンフィスチュラグループのロゴを世界中で商標登録するなどの守りにも立たされています。

技術水準やモラルが低いのに、寄付や資金提供が受けられるということで、雨後のたけのこのように、フィスチュラ撲滅を掲げる団体が多く出現している、というのが、その理由です。

それに対して、ここ日本では、外務省どころか、医療関係者、アフリカ支援関係者であってすら、参加フィスチュラという言葉自体を、あまりご存知ありません。フィスチュラという言葉が、「exploitation(搾取)可能なブランド」化している欧米とは事情は大きく違います。

そんな中、このような機会を与えてくださった母性衛生学会の運営者の方々、日ごろより、産科フィスチュラ問題に関心を持ってくださっている方々には、心より御礼を申し上げたいと思います。

私なんかには、正直、ハムリン先生らの「岩をも通す一念」を持てる強さというものは、備わっていないような気がしますが、自分にとって意味があると思える活動を、尊敬する方々との連携の中で、行っていけることに、感謝の念を持ち続けながら、「自分の(納得のいく)50年間」を目指して、生きていきたいと思います。


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【母性衛生学会出席のご希望があった方々、ありがとうございました。学会なので、メンバーのみのadmissionだそうですが、今週中にも、プレゼンの音声ファイルやフリップ、可能であれば、写真なども、アップロードしたいと思いますので、ご支援、よろしくお願いします。】

中山からのお願いです。
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