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【動揺広がるデトロイト】 5月2日付読売朝刊を読んで

昨日は、豚インフルエンザについての視察旅行同行者様向けのメールを書いたりと、あわてた朝でしたが、読売の朝刊では、「デトロイトって、どんだけダメなの?」という大々的な記事がありましたので、久しぶりに、時事ねたに絡めての現地報告です。

このたび、クライスラーが"チャプターイレブン(破産法第11章)"に基づく、破産申請をしたということで(読売オンライン記事はこちらから)、初めての決済を控えたお客様からも、「家賃の下方修正を含み置く必要はないでしょうか?」というお問い合わせもありました。

為替相場やマクロ経済については、私は、皆さん以上に、新聞で読むこと以外はわかりませんので、知ったかぶりの言及は特にしません。

あえて言えば、このブログでは、いつも、申し上げているように、統計が、個々の物件パフォーマンスにリンクできるというような大雑把な立場はとっていません。そういうのは、物件管理についての知識や実績がない営業マンが、売らんかな商売のために言うことで、物件セレクトや管理を多少なりともまじめにやっている方は、自分の物件がエリア内でどうパフォーマンスするかが、エリア統計に連動するなんていうことを、真剣に考えたりは、されないはずです。

たとえば、日本で、駅から徒歩3分のところで賃貸アパート経営をしている方がいたとしたら、その方の物件に、その物件の所在する市全体の物件の平均的な空室率、賃料、さらには、路線価の推移を当てはめようとしても、意味がないことは、よくお分かりになると思います。

デトロイト現地については、一応毎回のお断りとしては、以下のように、ご案内しております。

■クライスラーやGMでtenure(終身雇用権)や年金があるような方々は、年収が5万、8万とあると思いますが、こういったランクの方々は、私たちの市内物件には、居住されません。市内では、平均世帯年収は、2万から3万ドルで、家賃が、その3割とすると、月額の家賃予算は、500ドルから750ドル。これが、私たちの物件のテナントさん像です。

■自動車産業の衰退は、全面的にプラスということはもちろんないかと思います。他方では、郊外との分水嶺であるエイトマイル通り近辺では、生活費を切り詰めるために、郊外から市内に、移転する方もおいでになり、また、デトロイトの自動車産業の衰退は、恒常的なものとして位置づけられてきましたので、結論から言うと、今の段階、私たちは、郊外の衰退が100%私たちにマイナスになるから困るという判断で動いているわけでもありません。
 長期的には、人口が減少しているということは、クライスラー破産を待たずしても、当然のことで、そうでなかったら、低価格の古い物件を格安で買って、ローメンテで高利回り賃貸をするというモデル自体が成立しえないわけですから、そこら辺は、価格帯に織り込み済みといっていいかと思います。
 他方では、こういうエリアに投資をする場合は、一般に、”5年後、撤退をするほうがよいという判断を下す”ということがあっても、事実、特段おかしくはないかもしれません。ただ、今は、自動車メーカー危機に関連しては、その必要はないように思うということです。

■私たちのテナントさんで、当然、新規に失業したりといった事例はゼロともいえませんので、こうしたリストラの波などは、テナントのturnover(回転)に影響します。しかし、もともと、ある程度それを織り込んでいるので、低所得ながら、たとえば、一部の方は、行政の家賃補助を受けていたり、あるいは、家族が、disability(障害者手当)を受けていたりといった複数の収入源を確保していることも多く、現在、自動車メーカーの業績悪化が、直近、私たちの賃貸付けを直撃するというような認識は持っていません。


ということで、次に、現地の管理体制については、一応、これは、私の日々の専門部門なので、こちらについて、ご案内しますと、一言で言えば、business as usualとなります。

現在、ポートフォリオは、30軒ほどで、毎月、数軒ずつ増加しています。小さいトラブルは、いくつも、あります。

今年は、早々に、すでに、2軒、強制退去案件がありました(去年は、合計2軒)。

1軒は、1月に強制退去の手配が始まり、実は、本日、5月3日に、新しいテナントさんの再入居が決まっています。この案件は、家賃の滞納額が多いので、給与や銀行口座差し押さえに弁護士に動いてもらっています。これは、こうしたことをする始めてのケースなのですが、今後、こういった場合、速やかな退去と再入居のみならず、債権回収も、少なくとも、再入居にかかった分くらいは、可能になっていくといいと思います。

もう1軒は、ちょうど現在、退去手配が進行中です。

今年は、さらに、1軒、短期間、滞納した挙句、勝手に出て行った案件がありました。犯罪の証人となってしまったため、身の危険を感じて、警察のアドバイスに基づいて、出て行ったというのです。どうやら、この人は、就業先は変えていないらしいので、言い訳かとも思いますが、、、但し、その家は、退去状況がよく、清掃にそれほど手間がかからなかったこともあり、運良く、再入居者は、2週間で決まりました。

この他のトラブルとしては、1軒、空室中に、空き巣狙いがあり、窓や温水器窃盗で、被害が、800ドルくらいとなりそうな件があります(現在最終金額計算中)。去年は、空き巣は、通年で、2軒だったと思います。いずれも、1,000ドル以下の被害でした。

その他、滞納というか、部分支払いやpayment plan(遅滞分の分割返済プラン)が必要になっているというテナントさんが、現在、3軒。このうち、2軒は、有限実行のテナントさんなので、待ってあげることで、catch upするだろうという目算でいるようで、1軒が、どうなるか、微妙という感じのようです。

新規購入案件については、3ヶ月入居を目指しますので、それくらい、お時間は頂戴させてくださいとご案内しておりますが、決済前から客付けは行っており、実際には、目標を1ヶ月に設定しており、それが、実現できる場合も多いです。

1軒、隣家の取り壊しに関連して、任意退去後に半年、空室になってしまった物件がありました。幸い、窃盗などはなく、ちょうどこの5月1日、引越しとなりました。行政による粗大ごみ回収の手配も済み、将来は問題は解決するかと思われます。

家賃レートについては、2008年前期に、物件の家賃については、内輪目の見積もりをするような方向で一度下方修正を織り込んだ経緯があります。

その反面、物件の仕入れの精度や仕上がり自体は、大変安定して、初期と比べると、大きく向上させられているように思います。賃貸付けは、上に述べたように、全般に好調なので、2009年の今現在、賃貸レートが、さらに下がっているという認識は特段持つ必要はないという判断です。

管理会社さんは、「1970年代のほうがひどかった。今は、デトロイトのことを全世界に報道するから、ひどく思えるんだろう。3年や5年たてば、またバブるよ」と強気です。

一般に言えば、不況時は仕入れ時なので、市場がそら恐ろしく感じる今が、買い時ですと言い張ることになるかと思うのですが、私自身は、大体小心なので、強気発言はさし控えます(笑)。

他方では、景気や市場がサイクルで動くという歴史的事実が今度、プラスに働かなくても、そもそも、新築の再建築実費の半額以下で、全面リフォーム済み案件が買えているわけですから【現在の標準は、樹脂かレンガサイディング、電気全面アップデート、水道樹脂全面アップデートなど、メンテナンスフリーの形でのお引渡しです】、当面、現在の家賃収入が続けば、十分だ、というlow expectations(期待値低し)のスタンスでいてくだされば、それほど、失望することはないのではないかと思っています。

もちろん、実需希望者へのエグジットの見計らいは、ご希望されるお客様の案件については、おいおい、それが可能である限りは、積極的に、展開して行きます。銀行も、融資を組むとなれば、5万ドルくらいにならないと、一般には、手間賃になりませんし、このランクの方々は、各種行政等のfirst time home buyer program(行政等の持ち家支援の頭金補助プログラム)の受益者層に適合的といっていいので、その程度の期待は、世界景気の大幅な回復を待つまでもなく、私も、特段、非現実的だとは思いません。(とはいっても、そのような戦略を組織立てて仕込んでいく手配やマーケッティングは、エントリーの仕組みづくりが大変だったのと同様に、それなりに大変になるとは覚悟していますが)

自分自身の新規取得も、引き続き、このエリアで進めており、この冬、積雪中で、物件取得を皆さんにお勧めできない時期に、もう1軒買い足しました。今年の年末も、同様に、皆様の購入計画のお邪魔にならない範囲で、そうしようかと思ったりしております。


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こんなところが、最新報告です。「やっぱりろくでもないところだな!くわばらくわばら」と思われる方もいるのかもしれませんし、「これくらいなら、日本の地方の現状よりましじゃないか」と思ってくださる方もいるのかも知れません。

私自身は、セミナーでご案内している状況より恐ろしいことは起こっていないなあ、こんなものじゃないかしら、まあ、予測の範囲通りということは、よくやっているんじゃないか、という感じでしょうか。

一般には、物件取得を始めたばかりのポートフォリオというのは、通常、テナントさんを全員新規ではじめますので、落ち着き始めた時期のポートフォリオより、手がかかります。

悪いテナントさんは、退去といった動きがある反面、2年目、3年目と更新するテナントさんもいたりするので、そういった安定賃貸の比率が、数年経つと、それなりに高まってくるわけです。

それを考えると、当社のポートフォリオは、常に随時進行形、新規取得案件が増えて行きますので、上の数字は、やっていることを考えると、悪いとは思いませんが、毎月新規取得が続くので、そういう意味では、こういった問題は、残念ながら、それなりの確率で、引き続き、生じ続けるでしょう。

私としては、「常日頃のお断りどおり、いつも、ちょっとしたトラブルは、あります。しかし、それが、費用なりそのほかの面で、out of controlとなるような事態は生じていません」と申し上げ続けることになるかと思います。

これに対し、例えば、ラスベガスで、当社ご案内に基づき、中流向け物件を取得されているお客様は、こういったテナントトラブルは、経験しない形で経営ができておいでです。私自身、自分のベガス案件で、テナントトラブルがあったことはありません。

日本でも、きちんと連帯保証人をつけて、身元確かな方に貸す場合は、同様でしょうし、他方では、日本でも、社会人単身者向けの低額賃貸というのは、特に地方では、相当苦戦しているとも聞いていますので、まあ、皆さんご承知置きのように、投資スタイルそれぞれということなのかと思います。

いずれにせよ、デトロイト投資は、安定良好投資とは、expectation(期待)も戦略も違う格安エントリー投資方式ですので、それについても、投資家様に、事前にご説明している通りかと思います。シラキュースも、客付けについては、大体似た状況で推移しています。

対デトロイト投資の総合的なパフォーマンスについては、現状に満足をしているということはありませんが、他方では、こんな風に、「想定内です」なんて大見得を切ると、逆に想定外のトラブルが起こりそうで、knock on wood(アメリカでは、木でできたものをコンコンとノックして、なにかマイナスの事態が起こらないよう、おまじないをする)しなくてはいけなくなる気がします。

なので、正直、あまり、実態報告などしたくなく、これまでにも、全面カミングアウトは、微妙に避けてきたのですが(苦笑)、ご心配をいただく場合もあるかと思いましたので、今回、危機管理の基本原理に立ち戻り(?)、ちょっと、実情に言及してみました。

表面的な入居率だけを言って済ませられるならば、5月3日入居案件や強制退去進行案件を、入居中扱いで計算すれば、今現在、テナント募集の必要がある空室状況なのは、4月末の任意退去案件1軒だけで、この3月、4月決済案件も、すべて、客付けは、できているので、相当な好成績(97%の入居率!)に見せかけられるのですが、、、(爆笑)。

最後に、一部のお客様に3月時にご案内したtax appealですが、第一ラウンドの市、第二ラウンドの郡へのアピールの結果は出ており、口頭で、「大体、やらないよりましだったという成果を出せました」ということは、数週間前から聞いていますが、実は、担当者のきちんとした書面報告が遅れています。ただし、第三ラウンドの州レベルはこれからで、これは、一部の物件についてのみ、引き続き、ご案内することになります(その場合は、すでにお支払いいただいた400ドルに加えて、100ドル追加料金が発生します)。こちらは、レポートが出次第、個別にご案内していっている状態です。

オーナー様は、引き続き、個別に、あるいは、セミナー等において、さらにご連絡やお問い合わせをいただければ、ご説明など、より詳細にさせていただきます。


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smallestroom.png
私が冬に買った家です(真ん中)。Smallest house on the blockフォーミュラ【通りで一番小さい家を買えという不動産の定石】式ですね。エリアもよく、3BRが、700ドルで貸せています。

livingsm.gifリビングルーム。石こうボード&ペンキで手軽に出せるこういう色彩感覚や質感は、やはり、クロスには、なかなか、勝てません。木のフローリングも、このランクを日本で再現しようとすれば、相当高額になりますね(笑)。


KitchenSM.gifキッチン。樹脂ではなく、セラミックタイルと高級感もあり。


roofneedswork.gifこの物件は、お客様に勧めるには、屋根の経年が進みすぎているので、自分が買いました。要修理ということで、当然、多少、割引してもらいましたが、まだ水漏れしていないので、さらにケチをして、すぐには修理せず、まずは、賃料を貯金し、その収益から、修理にまわす計画です。


roof2.gif
なぜこれでまだ漏らないのか。わかりません(笑)。また修理後、ご報告します。

中山からのお願いです。
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