アメリカ(海外)不動産投資で利回り２０％以上

Defer とは、遅らせるという意味。Delay とほぼ同義ですね。もうひとつ、「誰かに尊敬の念を評して、劣後する」という意味もあります。

I defer to your decision.

といえば、「あなたのご判断を仰ぎ、それに従います」ということ。相当相手にへりくだりたいとき使う言葉です。

しかし！

不動産で、defer が出てくるほぼ？唯一といっていい機会がこれ。

恐怖！

DEFERRED MAINTENANCE!

ずばり、修繕を先送りしているということで、たとえば、「Asphalt Shingles （アスファルトシングル）の屋根が、20年たっていて、まだ、水漏れはしていないが、そろそろ、やばい」時、とか、「木造サイディングで、ペンキを塗って7年、そろそろ、はがれてきたよ」、とか、「今すぐやらなくてもいい修理」ですが、「いつかは、catch up してくるもの」のことを言います。

初心者がわかりにくいのが、中古物件の購入に当たって、どんな deferred maintenance がその家に存在するのかという問題。

例えば、同行してくれた不動産屋さんが、「この家は、そろそろ、屋根が古くなっていますね」と指摘してくれたとしても、「じゃあ、いつ、いくら、修理にかかりますか？」を聞いても、簡単な答えはありません。

飛込みでの一回きりの修理の場合、日本の業者さんもそういう場合があるかと思いますが、常連さんがいつものレートで、という額とはまったく違う額での請求がたつでしょう。

DIYで、自分でできる部分があるというアメリカ人もありますから、そういうやり方をすることができれば、数千ドルの仕事は、数百ドルの材料費だけという場合もありえます。

不動産屋さんは、通常修理のほうはあまりやりませんから、修理にかかる金額を本当に知りたければ、自分で見積もりをいくつも取ってみるしかないでしょうが、物件購入時には、よその人の物件について、そのようなことをすることはできませんから、「初めての購入」、特に遠隔投資は、”修繕不要”が基本だと思います。

Fixed up、maintenance free、rent-ready で市場に出てくる”自称メンテフリー”中古物件には、こうした deferred maintenance が潜んでいる物件も多いので、その点をしっかり見極めることが必要です。

私の投資しているデトロイトエリアを例に考えてみると、rent ready と銘打っていても、木造サイディングであったり、水道管が古かったり、屋根瓦がそろそろやばいといった状況がいくつも並べば、購入後、1-2年内に、それらをすべて直せば、物件購入価格より高くつく可能性がありえます。これは、格安中古の「安物買い」にありがちパターンですね。

新築の物件というのは、特に高級仕様の場合、15年といった間、まったくメンテナンスフリーで通用する場合もありうるので、築浅の物件しか知らない方は、ここら辺、気をつけ所です。

わかりにくいけれど、結構気をつけなければいけない deferred maintenance の例：

■暖房設備（ファーニスfurnace and air duct式）が古くなっているが機能する　→　安い物件でも、サイズ等によっては、数千ドルから5,000ドル以上かかる場合があります
■雨どいなどの設置状況が不良になっていて屋根周りの水はけが悪くなっている（これは住んでみてもまったく気がつかないかもしれません）　→　修理自体は高額でないのですが、放置すると、ダメージが大きくなっている場合がある
■水道管　→　ベガスにある私の築浅の家は、キッチン脇一部が、築7年目に破裂し、壁を壊してそこを直し、スタッコ壁を補修しなおすということをしたことがありました。施工ぶりを確認できない、中が見えない水道管は、「いつどんなことが起こってもおかしくない」くらいの覚悟が必要です（ただ、確率は低いですが）。

遠隔の初級投資家というのは、購入後のメンテナンスに対応ができません。私自身が物件をお勧めするときは、5年から7年、メンテナンスが不要な状況の物件をお勧めします。もっと安い物件を見繕うことはできますが、ご説明をすると、日本人のお客様は、皆さん、購入後のメンテができるだけ少ない状況になっている物件のほうがよいとおっしゃいます。

不動産投資にあたって一番気をつけなければいけない問題点は、初級者が思う「利回りが低い」ことより、「不慮の出費が出る」ことのほうなんですね。

なんだか脅すような話になりましたが、家の購入には、資金を100%購入に使ってしまうのではなく、必ず、余剰資金が必要だ、ということでもあります。