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Double Closing/Simultaneous Closing/Back to Back Closing とは何か

こんにちわ。例によって円高ですね。いろいろブログを更新しないといけないのですが、時事ネタにはなかなか追いつきません><

さて、対米不動産の魅力は、「日本ではできないことがいろいろできること」で、通常、業者さんでないと、あるいは、大手でないと仕掛けられないようなディールが、知識さえあれば、小口の投資家であっても、同じようにできることかもしれません。

この前も英語塾で話しましたが、いわゆるリーマンショックで話題になった不動産関係の抵当権の債権化なども、個人レベルで似たようなことができたり、投資家にとっては、ある意味、野心を掻き立てる魅力が満載。

他方では、危険もたくさんあるということは、毎回申し上げるようにしています。あまり信じてもらえないこともあるのですが、、、苦笑

今回は、よく、アメリカの不動産グルーも取り上げる、double closing について、お話してみます。こんなこと、本来、私も、そもそも、あまり説明したくないのですが、周りに、こうしたケースに引っかかる例が、時々、出るんですよね、、、


クロージングというのは、「決済」のこと。ダブルクロージングというのは、「二重決済」。

なんじゃこれ、という感じで、これだけでは、何のことやらわかりませんね。

今、ネット上のグルーややり取りなんかで熱心にダブルクロージングの話をしている場合、よくあるケースが、下のような例。


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☆不動産投資家になりたいwannabie investor Aは、この不況で、投資の元手もなく、自分の才覚で、お金を稼げる、ネットがつながり、電話営業だけやれば大丈夫と、悪賢いメンターに説明され、ディールメイキングに乗り出した、、、

■銀行で、ショートセールになっている物件がMLSに掲載されている。これのひとつに目をつけ、3年前に、30万ドルで買われたこの家に対し、13万ドルのオファーを出す。

■同時に、この家を、16万ドルで転売する準備として、この家を、”売りに”だし、本当にこの家に住みたい夫婦Bを見つけてくる。

■転売先を確保したところで、Aは、銀行や家の持ち主から家を買い、それを、すぐにB夫婦に売る。これにあたり、自己資金はまったく無いので、B夫婦の資金(または第三者の銀行がB夫婦に融資する資金)を当てにして、同日に二つの決済(double closing)を済ませ、自分は、3万ドル近い差額利益だけを回収する段取りに乗り出せる!


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ロバート・アレン氏の『ナシング・ダウン』なんかには、こうした話が満載です。

現在も、ショートセールのグルーたちが、ショートセールで、元手なしに、どうこうしよう、といった話を持ちかけてくるときは、大体、構造は、上の状況が前提。

特段、問題ないように見えるかもしれませんが、、、


実は、現在、これをそのままやることは、相当難しく、一般的には、ほぼ、不可能といってしまっていいのです。


その理由を、より詳しく見ていきます。


**********ダブルクロージングをやっちゃダメなこれだけの理由*********


その1)Aは、売主に対する詐害行為を働いていることが多いから

そもそも、Aは、自分自身は、決済をする意思も資金も、持っていません。B夫妻に銀行の融資が降りなければ、Aは、決済不能です。しかし、本来、契約の申し込みというものは、契約を履行することが、不可能と知った上で、行ったとすれば、その行為自体が、売主に対する詐害行為だったといわれかねません。こういう場合、この段取りを合法的に、トラブルフリーに行うための唯一の方法は、Aが、売主に、”物件を転売できない場合は、買わない”ことを、最初から自己開示するやり方のみ。売主が、「それでもかまわない」といってくれて初めて、Aは、このジレンマから開放されます。しかし、当然、ビジネスとして債務処理に追われている銀行が、このような購入条件を飲む可能性は、通常、ゼロで、その意味では、Aは、こうしたディールメイキングの実態を売主から秘匿して行おうとすることが多いのです。Bのクロージングが生じない場合、契約義務を履行できないAは、売主や銀行から損害賠償請求を要求される法的立場に身をおくことになるでしょう。


その2)Aは、買主であるB夫妻に対する詐害行為を働いている可能性が高いから

B自身が、物件が13万ドルであるにもかかわらず、銀行融資を取り付けてくれる協力費として、16万ドルでの購入に合意をする、というシナリオもありえますが(B夫妻が共犯者のシナリオ)、もし、Bが、物件自体に16万ドルの担保価値があると思ったのであるとすれば、その分、Bに対して、Aは、物件が、16万ドルの価値があると信じ込ませるに当たり、鑑定詐欺を働く必要が通常、存在します。そもそも、1)の状況と同じで、Aは、Bに物件を売れる立場に無いのに、持っていないものを売る売買契約を結んでいます。売主が、事情を知って、売買を拒否したら、B夫妻も、Aを、詐害的契約不履行で、訴えることができます。

その3)Aは、融資銀行に対する詐害行為になる可能性が高いから

物件には相場というものがあります。この物件が、「現状相場13万ドル」であれば、売主側の銀行は、この取引に、問題を感じないかもしれませんが、最終的な買主であるB夫婦に融資をする銀行は、「13万しか担保価値が無い物件に対し、16万という契約が、合理的であると信じる」状況が無い限りは、融資はしないはず。このため、通常、こういうシナリオには、Bへの融資銀行に対する鑑定詐欺がセットになっていることが多いのです。もうひとつのシナリオは、「物件の現状相場は、本来、16万ドルなのに、ショートセールを担当しているレアルターを抱きこんで、最初の銀行に、相場は、13万が上限だと思わせる」タイプの鑑定詐欺。

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こうした”架空の二重決済”は、決済代行会社や弁護士にとっても、アラート案件。なので、まともな会社なら、絶対手を出しません。

アメリカでは、物件を購入する際に、権原保険(名義移転を担保する)が購入できるという特徴があり、これは、融資がつく場合は、融資銀行が購入を義務付けます。そして、こういう決済の場合は、権原保険会社も、取引の詐害ポテンシャルの高さ故をもって、NGを出すのです。あまり知られていませんが、決済代行会社は、権原保険会社の監督下にありますから、この点からも、独自の手順違反はできないのです。

ネットを簡単に閲覧すると、英語で、double closing は、違法でないのに、みんな、手伝ってくれないから、丹念に、手伝ってくれる決済代行会社や弁護士を探そうぜ、といった書き込みがたくさんあります。

確かに、テクニカルには、「同日、二つの決済を、一つの物件に関して行う」こと自体は、まったく違法ではありません。

しかし、2通の契約書がある場合、それらを読んだ上で、上のようなトラブルの芽がひとつまたは複数存在している場合は、マトモな関係者は、当然、「あなたのご希望されるようなダブルクロージングは、違法(の潜在性があります)ので、関知できません」と返事をするわけです。

決済代行会社や弁護士で、これらの決済に手を貸すことをOKするのは、fraud(詐害行為)が存在することがわかって、それでも、それを気にしない場合のみでしょう。当然、こうした場合は、決済采配は、普通の低額料金では無く、スペシャルにコミッションを払って、”抱き込み”をする形となるでしょう。

これだけいろいろな要素が全部揃えば、必ずや連邦権限案件となりますから、FBIにも捜査権が生じます。

さて、最後に、こういう状況を、テクニカルに合法的にする方法は、確かに、いくつかあるかと思います。でも、私の記事は、ここで終わりです。

ネット上のグルーの売る「ショートセールで儲けようぜ」的な教材で、意味があるものがあるとすると、「ここから」を説明するものであるべきでしょう。しかし、そもそも、こうした現場の状況は流動的でもありますので、たとえば、1年前に他州でやってできたといったような体験談程度では、”現在の自分”にとっては、別途、弁護士のコンサルなしには、たいした意味が無いことのほうが多いことも、肝に銘じておいてください。

このブログを読んでくださっている方々は、こういう詐害行為のカモにならない、ましてや、「そうやるのか」などと、詐害行為に乗り出すようなことは、厳に慎んでください。

「勉強になる」という励ましの声に支えられて、私も、無料のこのブログ運営に心血を注ぎ込んできましたが、「推理小説を書いていて、自分の筋書き通りに人が殺されるのに震え上がる小説家」に近い気持ちになることが、残念ながら、時々、あります。

最後に、ディスクレーマーです。

私は日本でも米国でも弁護士ではありません。この記事は、一不動産投資家として、無料にて個人的な意見開陳をするものにとどまり、弁護士の監修を受けていません。いろいろ話が複雑になるので、弁護士以外の不動産業者さんなど、各種不動産関係者にこのようなことを聞いても、細かい説明をすることは、皆さん避けるはずです。その理由は、弁護士助言業務に無資格に携わろうとしたかのように見えてはいけないからです。

私自身は、弁護士資格のみならず、倫理的な縛りとなるような、アメリカの関係資格をまったく持っていないので、逆に、細かい部分で、法的に不正確な表記があっても、責任を持たない旨、ディスクレーマーをして、皆さんの便宜のため、この記事を公開することを選びました。読者様も、以上事情をご賢察の上、良識を持って、この記事をはじめとする、私のブログ掲載情報をお取り扱いください。

さらに、こうした”実際のところ”にご関心がある方は、ぜひ、私の投資指南DVD購入のご検討や、私のセミナーなどに足をお運びください。


、、、

今日は、ちょっと書きすぎました、、、大汗


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