管理組合費対保険の例に見る投資スタイルの違い Homeowner's Association Fees and Insurance Premiums
この前のDVD勉強会でも皆さんにお話しましたが、アメリカって、なんでも、結構、わかりやすくできている社会です。部外者へのトランスペアレンシーとか新規参入が容易とか、そういう特徴も、この、「わかりやすい社会」アメリカの特徴のひとつではないでしょうか。
この、管理組合費対保険料という対置も、その、「わかりやすっ!」の典型例。
どういうことかというと、、、一般に、アメリカは、日本より、家の火災等保険料(Dwelling and Fire Insuranceといったいい方をする)が高いのですが、それにしても、さらに、家の保険料が高いエリアと、アメリカ内で言えば、そう高くないエリアが、あります。
それで、図式化すると、その対置は、こんな感じです。
管理組合があるエリア、物件
→ 管理組合が巡回をして建物やコミュニティ内の資産保全につとめる
→ 保険会社は、HOがあることで、安心するので、保険料は、安い
管理組合がないエリア、物件
→ 管理組合がないので、誰でも通りを出入りでき、向かいの家が、犯罪の温床になるカモ?
→ 保険会社は、疑心暗鬼。保険料は、高い
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わかりやすっ!
私の投資先、デトロイトでは、3万ドルで買った家に、同額のDwelling and Fire Insuranceをかけるのに、年額、800ドルといった金額がかかります。
それに対し、ノースラスベガスに持っている家の同種の保険は、22万ドルに対し、年額、400ドルを切るのです。
もちろん、いずれにしても、日本より割高水準かとは思いますが、「マジに訴訟社会」のアメリカですから、これは、「そういうもの」なんですね。
そのことを織り込んで、こうした「資産形成型」のエリアと、「万年不況型」のエリアを比べると、このように、何倍かわからないほどの料率の違い。
デトロイト投資をご案内すると、「保険が高いですね」と、皆様に、目を向かれますが、「それなら、カルフォルニアの素敵な物件に高額投資をしなさい、場合によったら、毎月、HOAフィーを300ドル、600ドル払うのとどちらかを、お選びください。The option is yours!」、というのが、アメリカ社会なのです。【注:CAでも、一戸建てで、HOAがないところももちろんあるようです】
但し、もちろん、探せば、中庸というか、例えば、ネバダやテキサスのように、HOAが、あっても、フィーがそれほど高くなく、保険も高すぎないエリアがあり、こういうこともあって、アメリカ人は、カルフォルニアを去って、内陸へと人口移動を始めているのです。
【但し、こうした州の間でも、比べれば、結構な違いがあります。上に挙げた例だと、テキサスは、固定資産税がウルトラ高額。州が、不動産価格上昇を嫌って、わざとストップをかけているわけですから、私に言わせれば、固定資産税が安く、州税自体がそもそもない上に、円ローンが使えるネバダとは、日本人投資家にとっての投資環境は、雲泥の差だと思います。】
ちなみに、私の上のベガスの家の管理組合費は、現在、130ドル也。カルフォルニアやハワイの家とは比べ物になりませんが、それなりに意味のある金額で、保険と合計すれば、年間800ドルどころか、2,000ドルに近いことがお分かりになるでしょう。
それでは、
HOは、あるのと、ないのは、どちらがよいか?
なんともいえません。
管理組合費は、共有部分がゴージャスなほど、割高になり、利回りに食い込みます。そのコストの大きな一部は、保険。お互いが、運命共同体になるので、よいときはよいけれど、悪いときは、、、
例えば、マンション(コンドミニアム)だと、高級な物件だから、管理は問題ないや、ホームオーナーズアソシエーションがある物件を選んだんだから、安全性、資産性や流動性はばっちり、利回りは我慢したけれど、その犠牲を払ったことに、意味がある、なんて思っていても、いざ、物件を売ろうとするときに、棟の中で、別件の訴訟が起こったりしていると、それだけで、銀行が、訴訟リスクを嫌い、買主に融資付けを拒否してきたりして、売却が困難になったりすることがあります。
細かいことに口を出してくるHOとのやり取り自体も大変ですし、そもそも、物件を貸すのに、戸数制限がある場合も。
しばらく前に融資付けをしたカルフォルニアのあるコンド物件は、価格がエリア比で見ると、格安だったので、びっくりし、興味がわいたので、自分で多少調べて、以下のことがわかりました。
つまり、この物件は、管理組合で貸し出し制限をしていて、自分の部屋を賃貸に回すためには、ウエイティングリストにのらなければならず、しかも、一回テナントさんが出てしまうと、再度、ウエイトリストの最後尾に回されてしまうんだそうです。
そのお客様は別荘にということだったので、問題はないわけですが、本当に実需以外のメンバーを排斥するこのスタイルでは、最終的には、物件の資産価値自体も、低空飛行のままでしょうから、そこを、わかって、しかも、割り切らないと、買ってはいけない物件ということになります。
駆け出しのレアルターさんなんかに、「とにかく安い物件を」、なんてムリをいうと、こういったときに、不精をして、管理組合の取り決めを調べてくれないままに、スルーされてしまうかもしれません。Covenants(規約)は、ぶ厚いのが、決済前に手渡されますから【最近は、CDになっている】、「誰からも聞かされなかった」などと甘えてみても、規約を受け取れば、その旨を、決済時に自主的にサインするわけですから、いずれにせよ、すべては、自分の責任です。
それに対し、「HOがない一戸建て」は、管理コストが割安ですし、第三者にいろいろ言われないでいいわけですが、その代わり、保険料が高くなり、強盗などのエリアリスクも高まる上、明日、あさって、向かいの家が、クラックハウス【麻薬がらみの犯罪者の根城】にされてしまう可能性がゼロとはいえません。
私に言わせれば、これは、好き嫌い。
但し、当然、それぞれのオプションの中でも、個別具体的に判断を働かせる余地があって、資産形成エリアで、HOAがついてくるなら、私なら、一戸建て、共有部分は最小限で、HOのフィーが安め、という物件を薦めますし、不況エリアでは、「特に割安なエリア」ではなく、「不況エリア内ながらも、地元のみんなが素敵だと思っているエリアを、細心の注意を払って、選び、管理に熱心な管理会社を選ぶ」必要があります。
私の場合、ベガスの家は、管理組合が資産を守ってくれているという想定の元、節約をして、管理会社は通さず、テナントさんとは直接やり取りをしています(お客様には勧めませんが)。
他方、デトロイトについては、まれに、強盗被害が、あったとしても、それでも、定額コストは、ベガスより低く、利回りが高いんだと割り切って、こうした「想定外経費」を払う覚悟です。事実、対デトロイト投資をして以来のこの3年間のうちに、自分の持っている物件に、一回、空室時に押し入りがあり、暖房器を盗まれた経験も、あります。但し、保険を使わずとも、修復コストは、1,000ドルもかかりませんでした。
どんな投資スタイルであれ、そもそも、不動産投資家は、fair weather(調子のよいとき)だけを経験するわけには行きません(私の知る限り)。あなたは、どっちが、好きですか?
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