ITIN とはなにか 2013年版
■ 2013 年1月14日追記■
2013年最新の状況を概括すると、
1)米国連邦税務当局(IRS)は、不動産管理に基づく賃料収入を、源泉徴収の対象に
2)例外は、納税者番号を取得した場合
3)ITINは、管理会社からの書状、W7と公証済みパスポートコピーを提出して取得
☆ 私は一般向けに、こうしたサポートやお手伝いはしておりません。この記事についても、ほかの記事同様、個別のご質問には、メールでのお返事は、できませんが、セミナー開催時にでも、多少、やり取りすることは可能ですので、メルマガをご登録ください。
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だそうです。現在、源泉徴収が、すべての管理会社が、履行できているというわけではなく、積極的な監査がしらみつぶしに行われているわけではありません。今後、しばらく時間を掛けて周知されると思いますが、米国の不動産管理会社は、一般にみな小規模経営なことが多いので、現場は混乱するかもしれません。
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アメリカ不動産投資家の中山道子です。私は、2003年から、米国投資に着手しており、2006年から、取得コンサルもやっています。
現在、よく思うのは、物件取得時の準備サポートの重要さ。
ここら辺をいい加減にすると、ご本人も、後で困られることがあります。他方では、普通の不動産業者さんは、そっちは、本来は、「仕事の範疇ではない」ので、聞かれてもまったく分からないしサポートする気もないという方のほうが多いでしょう。
例えば、私自身の体験でもありますが、「自分は英語ができるから」と、現地の普通の業者さんとやり取りをしていても、埒が明きません。それは、自分のプロフィールが、「米国の知識のない」「遠隔投資家」だからです。
納税者番号の問題は、この点、今年、本当に困らさせられるに至りました。
ITINとは、Individual Taxpayer Identification Number の略。
米国で、「社会保障の対象にならない納税者」に対して、必要に応じて発行される納税者番号のことです。
米国人は、SSN、つまり、Social Security Number は、出生届を出すと、自動的に、発行されます。それに対して、外国人は、米国で納税する義務ができたときに、納税者番号を申請するのです。
外国人でも、米国で就労するときは、社会保障局への年金積み立てが発生するため、SSNが発行されます。SSNを取得できる例は、実際に労働ビザを取得して、働く場合や、米国人と結婚し、グリーンカードを取得する場合。
学生として、大学内等で、アルバイトをするために申請することも可能です。
ITINのほうは、昔は、申請すれば、誰でも取得できたようですが、今は、「申請する義理がある人」しか、申請できなくなりました。
海外在住者が、どういう場合が、義理があるかと言うと、不動産の場合は、別荘の場合は、所得がないので、当面不要なのですが、賃貸用に投資物件を取得した場合が、それに該当します。
2012年6月21日までは、ITINの取得方法は、比較的簡単でした。
書類は、したのとおり。
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/fw7.pdf
1)上の書類に記入
2)パスポートのコピーを米国大使館または、公証人役場で、NOTARIZEしてもらう
3)1)と2)の二つの書類をあわせ、申告書類と一緒に、合計3点の書類をIRSに提出
☆ 申告に当たって同時にITIN取得申請用紙を出すのであって、申告前に、ITINの書式を出しても、だめなのです。
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これに対し、2012年6月22日から、規制強化で、別の手続きが必要になりました。(リンクを掲載してもすぐ変わるので、御自身で確認してください)
ポイントは、証明書類については、
by submitting by mail their original documentation or certified copies of their documentation
証明書類の原本やそのCERTIFIEDコピーを送りなさい。
という箇所です。
証明書類に使えるのは、パスポートですが、いくらなんでも、現物を気軽に郵送で提出することはできませんね。となると、パスポートのコピーを、これからは、「米国大使館や日本の公証人役場でNOTARIZE」するのではなく、発行政府機関で、サーティィファイしろというわけです。
他方、日本政府は、公式文書を、CERTIFYするということはやっていません。理由は、「公式文書はそれ自体が、CERTIFYする必要があるような書類ではないから/CERTIFY不要なのが公的文書の定義だから」です。
米国政府は、よほど、納税者番号の不正取得に悩んでいる様子ですね。どんなことが、一番問題になっているのかよく分かりませんが、、、まあ、察するに、不法就労とか、マネーロンダリングといったことなんでしょう。
ということで、現在、日本で可能な代替手続きを、今回、お客様のために、多少調べたところ、
■パスポートの最初のページを自ら英訳し
■それを、公証人役場で、DECLARATIONという手続きをしてもらい
■公証人にサインをしてもらう
■法務省の印鑑を押してもらう
その上で、外務省領事サービス室証明班に行き、アポスティーュサービスを受けて、その書類を、IRSに送るということが、ひとつのオプションなんだそうです。
該当ページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/ryoji.html
もうひとつは、米国に渡航している際に、大使館や地元総領事館で、旅券所持証明を取得し、その書類を代用することだそうです。米国用は、米国内の大使館や総領事館でしか発行していませんから、別の国向けのものを取得して代用することはお勧めできないようです。
こうした代替手段を使うことで、IRSの要件を満たすことになるかについての日本側の保障はありません。
以上は、外務省の旅券課で、2012年9月11日の、ヒアリングの結果です。これ以上のことは、個別にお客様にやっていただけるかと判断し、それ以上は、問い合わせしませんでした。
実際、地方の方はどうするのか、、、このためだけに、東京へいくのか?米国旅行をしてみる?いっそ、パスポートを普通郵便でIRSに郵送し、帰ってこなければ、紛失届けを出して再発行する、、、?
一部のお客様は、こうしたご案内に基づき、納税者番号の取得書類を手配してくださったようなのですが、まだ、今のところ、そうした方が、取得できたという状況ではなく、この問題について、フォロー、アドバイス、サポートは、残念ながら、これ以上は、現段階では、私には、できないようです。
詳細は、各人にて、
外務省旅券課 03-3580-3311
IRS 国際納税課 267-941-1000
ご自身のCPA
へのお問い合わせやご相談をお願いします。
確定申告の問題一般について、投資家様が抑えておくべき点は、二点、あります。
1)米国不動産投資をされる場合には、いずれかの段階で、ITINを取得し、米国で申告をしない限りは、物件を売却することができないようになっています。
これをご存じなく、または、別荘だということで、ITINを取得されていない場合がありますが、どちらの場合も、売却時には、ITIN取得の必要が出ます。(MLSに掲載しなくてよければ、つまり、不動産仲介業者ではなく、自分で独自に処理する気があれば、できないことはありませんが、それは、特に、副業の遠隔初級投資家様にとっては、使いやすい制度ではなく、また、脱税目的に使われるのは私も不本意なので、ここでは、ご説明はできません)
売却が決まってから、ITINを発行してくれるかは、今のところ、私自身は、ちょっと調べていません。IRSへお電話されれば、徴税には熱心なので、たぶん、その場で発行してくれるのではないかと想像します。しかし、こういう場合は、売却後、「ホールディング期間中の経営内容をすべてさかのぼって申告しなおす」羽目になりますので、お気をつけください。
2)米国で申告をすれば、条約に基づき、日本の国税局にも、連絡が行きます。売却した年次には連絡が来ない場合もあるかもしれませんが、数年の間に、「物件売却されましたか?」というお問い合わせが、日本の国税局からも来る仕組みとなっているようです。租税条約があるので、「米国で投資をすれば、日本でごまかせる」とは思わないでください。
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