航空会社も対日市場の在庫管理に悩む、、、NW編
先週、京都観光旅行から帰宅し、ふとわれに返ると、すでに、3月上旬。あわてて、6月の対米不動産投資視察旅行の日程調整に入りました。
無事、飛行機の予約を済ませ、「この便でお願いします」と皆様にご案内しましたが、、、
数日しかあいていないのに、「やってみたけれど、満席と出る!」という数々のお声が、、、
例によっての日本人型/アメリカ人型のせわしない旅程なので、飛行機に同乗ができないと、壊滅的。去年は、確か、4月上旬まで特段支障がなかったのに、、、
そう、どうやら、ノースウエスト航空【デトロイトへの直行便を出している唯一の航空会社】が、在庫管理方法を変えたらしいのです。
あわてて今日の日曜日に、調べてみると、
■数日前、木曜日段階で在庫が「9」と出た私のNW便が、現在は在庫ゼロ。
■NWAのオウンサイトで調べてみても、同じ商品構成にすると、ずばり、28万!
私自身は、17万円台なのに、、、
いろいろやっているうちに、思い当たるふしが。
そう、NWは、多分、去年以来、何かのコンピュータソフトを使って、在庫管理をするようになったのでしょう。ひとつのフライトにおける、「キャンペーン価格=格安航空券」と「正規価格」の顧客の比率や、搭乗率を均す方法など、涙ぐましい計算をして、利益率を確保するための、、、【勝手な推測】
気持ちはわかりますが、そうなると、迷惑するのが、私たち小規模旅行軍団。20人いれば、グループツアーを企画していただける可能性があるのでしょうが、そこが、日本人にあまり人気がない妙なところばかりに行くスケジュールである上、人数が、少ないので、「各人格安航空券で、たまたま、同じ飛行機に相乗り」をしないと、いけないのです。
今日パソコンの前に座って調べたところ、幾つかのことが、わかりました。
■NWAは、日本語表示のほうではなく、英語プロパーサイトなら、在庫がある!料金は、私の予約額と同ランクの約1,770ドル。
■www.orbitz.comでも、同じ商品構成が、同じ値段で、可能だった。
+++++++++
ああ、このインターナショナル時代における情報格差なり?
NWAが、日本語サイトと英語サイトで、異なった商品を販売するのですから、「日本人を馬鹿にするのか!」と、ついひがみそうですが、向こうにも、「事情」があることに思い至りました。というのは、日本の業界システムでは、これだけ先の旅程では、決済は、先延ばしが一般的。私自身が、予約できた条件も、最終的な振込みは、旅程から1ヶ月前にすればよいのです。
それに対し、英語のシステムだと、どうやら、「今、クレジットカードを入力し、今後変えたら、2万5,000円の変更手数料がかかるぞ」と脅しが入ります。
細かく読めば、「本人や近親者の病気など、医師の診断があれば、キャンセル協力をしてやる」等、いろいろ書いてありますが、つまりは、英語ワールドのほうが、決済/支払いサイトが、短いというか、向こう優先なのです。【ただし、実際には、通常は、英語ワールドでも、実際のサービス使用日、たとえばこの例で言うと、搭乗日以降に、引き落としになるかと思いますが、、、】。
これ、BtoBや、貿易でも、問題になってますよね、、、
前、輸入品を扱っている国内ディストリビューター様とお話したとき、「日本では、手形ですもん。輸入は、当然前払いで、、、」と、苦労を話されたことを覚えています。このサイトで、いつも、アメリカの個人小切手の不合理について嘆いている私ですが、もっとひどいシステム【手形】を、すごい金額単位で、ビジネス決済に使っているのが日本。中小の社長や経理担当者様ならなら、「こういうところこそ、日本はもっとアメリカ型に洗脳されろ」くらい思われるかもしれません(汗)。
そして、こんな内外格差に、NWは、困り果て、「日本へのディストリビューションには、気をつけないと、在庫管理が進まない!」となったのでは、、、
別段経営コンサルタントではない私なんかがこんな分析をしてみてもしかたありませんが、日本の旅行代理店さんにこの木曜日にお話したときも、「自分たちは航空会社の在庫がパソコンで表示されるのを見ているだけで、在庫を抱えているわけではないから、向こうがどうなっているかとか、今後格安在庫がもっと放出されるのかとか、そういうことは一切なんともいえない」とおっしゃっていました。
自社仕入れをするなら、こういう在庫も、日本でも、販売可能でしょうが、こんな薄利多売の商品をわざわざ代理店がいちいち抱えられませんよね。
逆に言うと、私にアテンドしてくださった日本の代理店さんも、英語ワールドで在庫があることまで調べていなかったか、あるいは、そういう状況を知った上で、そういう場合は、国内取り扱い基準では流通させられないチケットであるだろうことを、知っていたのでしょう。
いろいろ、考えさせられました。
これは、日本人にとっては、一大問題。NWの在庫くらいなら、別段、私が困る程度かもしれませんが、世の中、一事が万事、こういう調子になっているのだとしたら、、、
日本は、国内流通が、不合理だから、海外では普及している優れた商品を届けられない
日本には、非関税障壁があって、グローバルな市場とはいえない
すべてにつけ、「アメリカさん」の肩を持つのではありませんが、よく聞く、そんな、海外業者の批判も、この例なんかに端的に当てはまるような。そして、「英語ワールドより消費者寄りの商品構成を求める日本市場」に相対するためのその解決は、当然のごとく、まともな経営者からすれば「日本の消費者の選択肢を別の形で狭めることで、日本市場でも、利益率や資金の回転を確保すること」による決着となります。
こういうところで、いちいち、私たちが、知らずに、「得」をしているようで、結局、「損」をしているとしたら、、、そして、日本が、いまだ、鎖国状態であることは、英語世界では、常識になっているとしたら、、、
すでに同行を決定されているお客様方には、上の事情をご案内の上、「もう、予定を入れられるのであれば、NWAの英語サイトでカード決済手配をしていただくほうが安心かもしれません」とお願いしました。日本語のほうのサイトに、同じ商品が回ってくるかは、あくまで、英語サイトでの販売個数に応じて、だろうことが予想されるからです。
+++++++++
同じ「商品に対する消費者の目の厳しさ」が、日本のkaizen理論や、世界のトヨタ、最近でいえば、精緻な日本ANIMEを作ってきたともいえるのでしょう。
いまさら、「戦後」ではあるまいし、「日本がアメリカや、海外に劣っているといった時代ではない」とは、確かにいえますが、しかし、実際には、いくら、「アメリカの没落」や、マルチラテラリズムなどといってみても、グローバル社会では、すでに、アメリカの経済動向とは独立に、アメリカ開発型のビジネスシステムが、支配しています。【それはそれで、問題だということになるのでしょうが、私たちは、今を生きるプレーヤーであって、政治家や哲学者ではありませんから】
こんな落差が、いまだに内外にあることも、私たち投資家は、知っておくことに意味があるといえないでしょうか。
そして、ビジネス書に、20年も昔から書いてあることを引用するまでもなく、現代では、このディバイドを乗り越えることが、私たち一人一人の個人に、可能となっているのです。しかも、今このご時世、この差別化をもたらすのは、別段、アメリカ国籍やアメリカ居住ビザなんかではありません。もう、お分かりですね。ずばり、英語力とパソコンスキルだけで、いいのです。
*********