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Out of Pocket とは何か Asking the Right Questions

私のこのブログは、「脅かし系」?ですが、当然のことながら、日本でも、アメリカでも、そういう情報は、なかなか、見つけることは難しいです。そこで、あえて、米国の不動産関係の情報の中でも、私は、そうしたブログやメルマガに好んで登録していますが、この前、そうした中のひとつから、out of pocket に気をつけろ、という指摘がありましたので、紹介したいと思います。

Out of pocket というのは、そのまま、「自分の財布から(お金が出て行く)」、といういい方で、英語自体としては、まったく難しいところはないのですが、実は、アメリカ人自身、こういう耳当たりがよく、一見、理解しやすい表現に、足がすくわれるんだな、といまさらながら、思わさせられました。

アメリカ人でもありがちなやり取りとして、こんな例を考えて見ました。融資取得の例です。

Client: How much will my total costs be?
Loan Officer: Your out of pocket expenses will be XYZ dollars.

顧客:私が、今回支払う費用は、いくらになりますか?
融資担当者: お客様のアウトオブポケットの支払額は、XYZドルとなります。

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一見、単純なやり取りで、別段、英語の例題に出てくるほどの難しい表現はまったくないのですが、ここでは、顧客と融資担当者が言っていることには、齟齬がある可能性があります。

決済がはじめてのこの顧客は、「不動産を取得する際に自分が支払う手数料の総額はいくらですか?」と聞いているのかもしれません。業界人でないわけですから、質問自体が、期せずしてアバウト。他方、業者さんのほうも、こんな質問に真剣に答えていたら、「どんな種類の経費、手数料というものが、そもそもあるのか」を含め、1時間でも2時間でも、レクチャーをしてあげる羽目になるでしょう。

そこで、融資担当者は、簡単に、「今回、当該顧客が、決済のために銀行から引き出して振り込まなければいけない金額(アウトオブポケット)のみ」を、教えているわけです。

顧客をだますという悪意とばかりも限らず、まあ、決済をスムーズに誘導するための営業トーク、潤滑油とでも、いうpractical な面もあるかと思います。

どこが違うのかといえば、不動産取得に必要な各種のコストを、upfront で払う方式が、out of pocket の額の話だとすれば、それに対し、支払いを繰り延べ(roll over といった言い方もします)するオプションも間々あるわけで、後者の場合、顧客は、それが、自分が負担することに合意をした手数料だという認識が薄まるわけですね。

そういう繰り延べ式の手数料も、決済や融資の条件に組み込まれている場合、直近のout of pocket がいくらかという話をし合っても、直近以外の部分(hidden costs、隠されたコストといった言い方をします)についての開示や理解は進んでいないという場合がありうるわけでです。

米国では、融資の種類があまりに多様で、融資条件は、あまりに多岐にわたるがため、ここまで来ると、すごいビジネススキルとよほどの余暇がないと、out of pocket でない経費、手数料については、自分がどういう支払いを選択し、その結果、金額は、いくらになったかを、真に理解するのは、相当難しいというわけ。

たとえば、日本でも、投資のベテランは、銀行とのネゴがお手の物かもしれませんが、アメリカでは、返済金利自体、多くの場合、ネゴシエーションの対象となっており、「融資を組むための手数料を安くすることを要求する」と、「その代わり、返済金利や総額が高くなる」というのがひとつの定石だそうです。

しかし、だからといって、融資関係の手数料を upfront 方式 で支払うことにすると、購入のための頭金のほかに準備する関連費用が膨れ上がるため、多くの人は、「毎月の支払額は、それほど変わりませんから、後で払うオプションで、大差ないですよ」と説明されたりして、ほっと一息をつくというわけです。確かに、通常、ローンというのは、転売による繰上げ返済が圧倒的なので、次の買い手が、希望する価格帯で物件を購入することにOKさえしてくれれば、ババ抜きのように、爆弾が、手元で爆発せず、済まされたということになります。

日本でも、よく、「賃貸か、ローンか」といった議論の中で、よく出てくるのが、「ローンのほうが、家賃より、安い!」という殺し文句。よく業者さんの宣伝で使われます。

しかし、ここでも、固定資産税や保険、修繕費、また、物件が値下がりしたときのリスク負担といった計算を本当にしだすと、相当、複雑な話になり、本当に、「買ったほうが得」かは、ケースバイケースだろうと思われます。

こういうと、ああ、そういった話ね、と、ぴんと来る方もおいでになるかと思います。

不動産投資英語では、asking the right questions できるようになるには、そして、専門家の回答から何を読み取るか、そこに、相当な投資リテラシーが要求されます。Academic な話ではなく、実践の中から、出てくる、ビジネススキルですね。


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