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米サブプライム問題再燃

 [東京 25日 ロイター] 米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題が再燃したことから、信用リスクに敏感になってワイド化した海外クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の影響を受けて、国内CDSでも企業の信用力に対する警戒感が一層強まっている。

 サブプライムローンを組み込んだ証券化商品の損失が拡大するとの懸念が広がっており、国内CDSでもリスクヘッジ(信用リスクを回避)の需要が高まっている。 

 <海外CDSがワイド化、サブプライムローン問題長期化を懸念>  

 24日の米債券市場は、米住宅市場をめぐる懸念から株価が大幅に下落したことで、リスク回避のための運用資金が流入した。米10年債利回りは7週間ぶりの低水準をつけた。住宅金融大手のカントリーワイド・フィナンシャル(CFC.N: 株価, 企業情報, レポート)の第2・四半期決算が33%の減益となるなど企業決算が予想より弱い内容となったことがきっかけとなり、住宅市場問題の影響が拡大するとの見方が強まった。住宅市場問題の影響が幅広い企業の決算に表れたことから、企業利益と経済の健全性に対する懸念が高まっている。 

 相場が波乱となる中、サブプライムローン問題が深刻化するとの見方が強まり、米国・欧州のCDSがワイドニング。インデックスの推移をみると、米Hivol(ビッド)は20日に136.5bp、23日に141.75bp、24日に145bpと、前週末から8.5bpもワイド化。欧州の信用力の低い指数クロスオーバーも20日の343bpから24日の363bpと、20bpワイドニング。海外CDSに関して、新生証券・債券調査部シニアアナリストの松本康宏氏は「落ち着きどころがみえない状況にあり、当面はワイド化基調をたどろう」とみている。

 サブプライムローン問題の見通しについて、みずほ証券・クレジット調査部シニアクレジットアナリストの石原哲夫氏は「債務免除や金利減免などのローン条件の修正がなかなか進まないことから、この問題は少なくとも1年以上、収まりそうにない」とみている。多くのローンが当初固定金利、以降を変動金利という条件で設定されているだけに、金利が上昇すれば借り手の返済額が跳ね上がり、返済不能に陥るケースが増加しかねない。貸し手側の影響も大きく、サブプライムローン融資に積極的だった金融機関だけでなく、「サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を組成した投資銀行、証券化商品を購入したヘッジファンドなどが大きな損失を出す可能性がある。裏付けとなる資産価値が予想以上に低下すれば、ファンドの解散もあり得る」(ある大手証券の起債担当者)との見方もでている。

 マーケットが住宅市場に対し神経質になっていることから、25日発表の6月米中古住宅販売、26日発表の6月米新築1戸建て住宅販売など米住宅関連指標に注目が集まっている。「とくに、米中古住宅販売が弱い数値となれば、米国では株安、債券高、CDSのワイド化の動きがより強まる」(ある外資系証券のアナリスト)との指摘があった。

 ロイター調査によると、6月の米中古住宅販売戸数は、借り入れコストの上昇や貸し出し基準の厳格化の結果、前月から減少する見通し。エコノミスト69人の予想中央値は年率587万戸と、5月の599万戸から2%の減少を予想している。

 <国内CDS、インデックスが最高水準に上昇> 

 米国市場の影響をダイレクトに受けたことで、日本の相場も波乱となった。25日午前の外為市場で、ドル/円が一時119.98円まで下落し、5月11日以来、2カ月ぶりの円高水準をつけたほか、株式市場では、日経平均が一時前日比200円を超える大幅な下落となった。円債市場は、米債券高、ドル安/円高、株安から金利が低下する場面がみられた。 

 国内CDSも海外CDSの影響を受け、敏感に反応している。インデックスを中心に信用リスクを回避するプロテクションの買い意欲が急速に強まった。CDSの指標となるiTraxxJapanシリーズ7は24日に28bp、25日に29.25bpを付けて取引開始の3月以降、最高水準に達した。80銘柄で構成するiTraxxJapan80シリーズ7もワイドな動きを続けている。

 個別銘柄では、アイフル(8515.T: 株価, ニュース, レポート)など消費者金融セクターにワイドニング圧力が強まっているほか、23日にはめったに取引されない西松建設(1820.T: 株価, ニュース, レポート)が25bpと前回の出合いから2bpワイドな出合いが観測された。新光証券・債券営業部投資情報室クレジットアナリストの金子良介氏は「出合いが少ない銘柄も取引されるようになるなど、プロテクションの買い意欲が強まったことを示している」と指摘する。

 ワイド化を促す要因として「これまで積極的に信用リスクをとるプロテクション売りのポジションを取り続けてきた投資家が、ワイド化の流れを意識するようになり、プロテクション買いに運用姿勢を転換した」(ある国内証券のアナリスト)との見方もある。マーケットでは、プレミアムは需給面から一段とワイド化する可能性が高いとみている。 

 <国内SB、信用力に不安のある銘柄が売り対象> 

 サブプライムローン問題の影響から、国内でも信用リスクを意識した投資家が増え始め、国内普通社債(SB)でも売り物が目立つようになった。投資家動向について「米ベアー・スターンズ(BSC.N: 株価, 企業情報, レポート)傘下のヘッジファンドが損失を出したことをきっかけに、4─6月まで残高を積み増してきた投資家が信用力で劣る銘柄を中心にポートフォリオから外し出した」(ある大手証券のアナリスト)との指摘があった。

 アイフルのSBをみると、スプレッド(気配)は残存期間5年で、前週に90bp程度とタイトな動きをしていたが、現在100bp台前半にまでワイド化。マーケットでは、消費者金融セクターに代表されるように、信用力に不安のある銘柄が売られやすくなったとみている。新生証券の松本氏は「債務担保証券(CDO)で損失を出した内外投資家が国内SBで利益の出ている銘柄を対象に利益確定の売りを行っている」と指摘。

 サムライ債(円建て外債)についても、ベアー・スターンズ、米リーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)などのスプレッドはワイドなままだ。残存期間4年のベアー・スターンズは、6月初めに20bp台前半で推移していたが、現在74bp程度。リーマン・ブラザーズも起債した5月24日のスプレッドから22bpワイドの45bp程度で推移している。 

 (ロイター日本語ニュース 片山 直幸)

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