これだけ違う、社会の常識 移住・住みかえ支援機構に物申す
9月19日の朝日新聞の夕刊に、こんな「心温まる記事」が掲載されていました。
■移住・住みかえ支援機構、シニア世代の持ち家を借り上げ、賃料保証、割安貸し出し
どういうものかというと、子育てなどを終え、大きな家が不要になった方々が、マンションなどもっと便利なところに移転。その人々の持ち家に、子育て世代が安く入居。
シニア世代は、資産を維持しながら、安心の家賃保証をエンジョイでき、子育て世代は、格安で、広い物件に居住が可能に、、、
JTIのホームページは、こちらから。
「これは、いいことね。」
「うん、すばらしい仕組みだ。」
天下の朝日新聞は、こんな「食卓の会話」を期待しているのでしょうか、、、
私の意見を言いましょう。
これは、不動産市場の自律性を損ねる悪政策です。
一見中古住宅を生かしていく政策であるかのように見えますが、市場に対する影響力が大きければ、中古住宅の利回りを更に落としていくネガティブスパイラルを誘発しかねません。
そうとなれば、今後の日本は、中古住宅の資産性を高めていかなければいけないという新機軸(「200年住宅計画」)とも、正面から、矛盾する政策。
これは、「ばらまき行政」「市場への悪しき国家介入」の典型ではないですか、と。
家賃保証は、相当の勝算があっても、市場価格より、20%以上は低くないと、商業ベースに乗らないといわれています。
そんな中、国からの支援があるお陰で、保証額は、市場価格より、10数%しか、低くない。民間家賃保証会社の営業も圧迫しています。今後、その看板が守れるかも、更なる追加資金が得られるかにかかってくるのでしょうか。そんなことの為に、国税を払うのですか?
私が投資をしているアメリカだったら、当然、ロジックはこう来るでしょう。
行政が、市場価格より好条件の商品(そう、不動産は、商品、コモディティです)を、国税をつぎ込む事で、投入して、市場の自律性を、乱す、、、これは、自由主義、資本主義経済の根幹にかかわる問題だ、、、
と。
民間投資家が投資をしている物件の隣で、行政が、「支援」の美名の下に、こんなことを行い、民間投資家の物件の空室率が高まり、賃料値下げを断行しなければいけなくなったら、国税を使った経済市場縮小を誘発したことになりませんか?
一生懸命経済活動を行っている人を冷遇し、「シニア」を優遇する。しかも、そのシニア層というのは、家を持っているわけなのですから、どちらかといえば、中流以上。生活保護を必要とする層ではありませんね。同様に恩恵を受けるワーキング層についても、同HPを見たところでは、収入制限などは別にないよう。人より稼いでいても、入居できるのでしょうか。
しつこいですが、こうした方々を優遇するために、国税を使うのでしょうか?それが、正当化される状況ですか?
政治を云々するのは、民間でがんばっている人間にとっては、毎度のことながら、時間の無駄のようなものですが、こういう、ばらまき政策、もう、はやらないのに、こと不動産となると、不動産が、普通の商品であるということが、分らなくなる。これが、日本人(お役人や大手新聞等オピニオンリーダー)の不動産リテラシーです。
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