「高い家」を、買わないで! 査定編
対米不動産投資家兼コンサルタントの中山道子です。私の専門領域は、「遠隔にいながら、アメリカの商取引の特長を生かし、堅実に米国不動産投資を行い、リタイアに向けて、海外分散的な資産形成を行っていく」こと。
2003年以来、こうした手法で、東京在住中に、商売の傍ら、自ら、投資家となり、2006年からは、自らの失敗などから学んだことを前提に、コンサルティング、投資物件紹介もやっています。
今日は、ちょっと、「けち臭く」思えるかもしれませんが、どういうことをいいたいかというと、、、
たとえば、カルフォルニアなどの素敵なエリアで、300万ドル台の家がひしめいているところに、150万ドルの家を買うとしたら、これは、それほど、心配な買い物とはいえません。「友人たちを呼ぶのが、恥ずかしいよ」といわれると、それは、わかりませんが、、、(笑)
気をつけなければいけないのが、エリア内で突出して金額が高い物件を買うことのリスクです。
不動産投資のイロハとして、アメリカで、よく、
Buy the ugliest house on the street.
といいます。
両脇よりみすぼらしい家は、
■ 隣の家より、安く買えて
■ 同じ通りにはもっといい家がある
ので、こっちが得をするのです。
ちょうど、その反対で、両脇より高い家は、損をするのですね。
その「損」の出し方を具体的に見てみましょう。
最近、こういう相談に乗りました。
「あるエリアに、40万ドル台の二軒屋(duplex)を買ったけれど、入居トラブル、管理トラブルに悲鳴を上げています。もう手放したいのですが、どんな値段で売れるか心配です。」
たまたまちょっと拝見してみると、
■ 周りは、一軒家ばかりで、20万ドルもしていない
■ 似たようなmultifamilyが近くにない
状況。
買うときは、これが、投資アングルで、
■ 一軒屋=オーナー比率が高いエリアで賃貸人の質を高められる
■ これから、こういうタイプの物件の価値が値が上がりしていくニッチエリア
と思われたのでしょう。
しかし、こうやって、「お荷物」になってしまうと、残念ながら、このようなネガティブスパイラルが予想されなくもありません。
■ 近隣物件で類似の売却歴が出ないので、値段のつけようがない!
もちろん、購入額そのものを目安とするしかないでしょうが、買うほうも、銀行ローンを必要とします。2007年秋以降のサブプライム住宅ローン問題で、
■ 銀行は、今貸し渋り。
買いたいと思ってくれた人が、査定を取って銀行に提出しても、今時分だと、「査定の結果に満足できないので、別途当行にて、査定を取り直します」などといわれ、合意した購入価格自体に異議が生じかねません。
いかがでしょうか?
こうなると、場合により、この物件を、望む価格に近いところで売却するには、いわゆる、オーナーファイナンシングで、銀行を通さない方法しかありえなくなるかもしれません。
逆に、オーナーファイナンシング【私は、初級者には、絶対勧めません】で物件を購入される方に注意。
オーナーファイナンシングの物件購入は、現金購入に準じて、ラクですが、その反面、買主にとっては、上の例のように、銀行が、担保価値について、内輪目の査定を持ってきて、売買価格に異議を申し立てる、といった状況があった場合でも、それをバイパスすることになるでしょう。
「思った価格」が、本当に、お買い得か、銀行が融資をつけるのであれば、融資が通るかを、計算に入れた上で、購入を進めるべきだと思います。
銀行が、ひょっとして、今現在のこのご時世で、この物件に、それだけの担保価値を認めない場合でも、かまわず、この値段で買おう
という心構えが出来ていますか?
こう脅してしまうと、びっくりされるかもしれませんが、査定が出にくいエリアなんかでは、査定の精度が落ちるため、売主が用意してきた査定は、信用しないほうがいいということなんですね。
上の方の問題に戻ると、損切り計画断行にあたり、痛恨の失敗は、やはり、「周りに、類似の物件がないエリアで、突出して高い価格の物件を買ってしまった」ことにあるといわざるを得ません。周りに、30万から50万ドルといった、類似物件がたくさんあったらとしたら、状況は、相当違うのではないでしょうか、、、
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