為替リスクとアメリカ不動産投資 円高、円安
2008年3月下旬の今現在、アメリカに対する不信から、金融市場のドル売りは止まりません。
参考記事は、たとえば、こちらから。
日本などはアメリカの国債をたくさん持っていますから、こんなときの不安は、考え出すときりがないでしょう。
1ドル100円を切っている現在、ごく単純にいえば、不動産を買うには、お得な時期ではあります。
ここ数週間の間にクロージングを控えている私のお客様には、心から、お祝いの言葉を送りたいと思います。
ただ、私は、いつも、お客様には、こう申し上げています。
投資というのは、いつでも、自分に追い風にすべてが向かうということはありません。
たとえば、こんな例はいかがでしょうか。
私が強力にお勧めする円ローンは、海外投資が、円の低金利、しかも、金利のみ支払いオプションで実現できてしまうという夢の投資パートナー。
しかし、この商品だって、すべてが、自分の都合のよい風に持っていけるわけではありません。借り入れ金利は変動ですから、まずは、それが、リスクのひとつであることは当然です。【ただ、歴史的には、円というのは、欧米貨幣の半額以下の金利である時期が圧倒的です】
さらに、このローンは、海外での不動産を購入し、円で、借入額を確定するわけですから【そうでないと、円で調達したことにならず、円の低金利をエンジョイできません】、
契約締結日の為替レートで、借入金がようやく最終的に確定するというある意味、大変、恐ろしいローン
なんですね。
購入を決めた、●月●日には、物件購入価格が、20万ドルで、為替レートが、たとえば、100円だったとします。借入額自体は、査定額の7割ですから、この場合、査定が、20万ドル以上と出れば、14万ドルを貸してもらうことまでは、この段階で決められます。これだと、1400万円ですね。
しかし、2ヵ月後の×月×日、契約締結日【アメリカでは、クロージングといいます】には、為替レートが、110円となってしまったら、借り入れ額は、ドルでは、14万ドルのままですが、円で確定する借り起こし額は、なんと、10%増の1540万円。
このリスクを、コントロールすることは、できません。2ヵ月後の為替の動向なんて、場合によったら、上昇か、下落か、といった、傾向すら、一般には、わからないものです。
私自身は、お客様にはこう、ご説明しています。
金利のみ支払いで、金利自体は、たとえば、2007年、2008年段階では、2.5%といった率でした。
乱暴ですが、金利のみの支払いでこれだけの低金利の場合、1400万借りていようが、1540万借りていようが、毎月の支払額には、たいした違いはありません。
1400万を、2.5%で借りた場合の月額は、29,100円。
1540万を、2.5%で借りた場合の月額は、30,000円。
その差は、900円です。
もちろん、ちりは積もれば、ということもありますし、実際に返済時には、元本には、10%もの違いがあるわけですから、「まったく意味がない誤差」とは、いえません!
しかし、それが、この円ローンという金融商品の為替リスクなんですね。【ただし、借り起こし貨幣スイッチングを効果的に利用することで、逆に、為替を自分の味方につける道は残されています。しかし、スイッチングが可能なのは、3ヶ月毎であって、毎日ではないので、結局は、細かい調整は、難しいようにも思います。】
ですので、私は、お勧めするとき、この、元本借り起こし額の誤差が自分に不利だったときも、それを最小化するためにも、「長期で考えるのがよいです」と申し上げます。
そして、こうして、投資を長期的に考えていったときには、やはり、「今の為替」に細かく拘泥していても、それが、自分にプラスであっても、向かい風であっても、結局は、「総合的に見ていく中の一要素」以上のものではないといえるのです。
投資は、冷静に、淡々と。為替や市場といった、自分がコントロールできない環境の変化に一喜一憂して、大成はもくろめません。
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