駐在員様の憂鬱 「買うべきか、買わざるべきか?」
日本在住の私ですが、逆に、投資を本業としていることを認めてくださる在米駐在員の方々が、円ローンとの関係で、時々、実際の居住物件について、ご相談をされてくることがあります。
実住【実際に居住すること】の場合は、投資目的を兼ね備えようとしても、うまくいかないことも多いものです。
こういうご相談があるときには、大体、私が思い、申し上げることは、以下のようなことです。
***無理して、買わないで、いいのではないですか***
それには、いくつか、理由があります。
■ 勤務地というのは、会社の都合で決まるもので、投資の都合ではありません。
カルフォルニア、ニューヨークといった、割高感の高い、高級エリアへの転勤で、ご家族が喜ぶような、居住に手ごろであって、しかも、将来的に資産性が高い家を探すというのは、「できてラッキー、できなくてあたりまえ」。
■ 転勤族が、アメリカに与信ができるには、しばらく時間がかかります。
ビザが取れても、アメリカで税金の申告を1-2回していない場合、与信があるとはみなされず、在外投資家に準じた扱いを受けます。アメリカ人に準じた良好な融資条件でイキナリ家が買えると思ったら、失望することがあるかもしれません。
■ 転勤時が転売時とは限りません
企業戦士の転勤は、2-3年から「いつきてもおかしくない?」。
「長期の予定で転勤になったのに、半年で日本に返された」なんていう方まで、、、現在のアメリカの多くのエリアが、資産性回復を見せ始めるのに、5年で足りない場合があるとしたら、転勤するとき、物件が、多少は値上がりしていないと、売却時にロスが出ます。売却時のロスが確定できない場合、大きなマイナスキャッシュフローを覚悟してください。日本企業が進出するような素敵なエリアの物件の賃貸利回りは、3%前後でしょう。
■ 円ローンは、使えない可能性が高いかも
実住物件には、円ローンは使えません。ひとつ考えられるのは、転勤後、円ローンへの融資切り替えをすることで、物件を売らなくてもすむ可能性を考える方策ですが、その場合、円の収入が必要になります。たとえばアメリカからドイツに転勤して、支給給与は、ほとんど現地貨幣、では、円ローンに切り替えできず、アメリカの融資を払い続けることになるわけです。
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時々、前に、アメリカで居住していた物件を、円ローン融資に切り替えたい、というご相談を受けますが、こうしたケースで成功する例はまれです。
というのは、なんと言っても、皆さん、アメリカの融資で高額を借り起こしてしまっていて、しかも、含み資産がほとんどないからです。
たとえば、60万ドルの物件を、アメリカ駐在時代に、10%の有利な頭金で買ってしまい、帰国後、物件が、55万ドルに値下がりした、なんていう例の場合、円ローンに切り替えるために、55×30%=16万5,000ドルのエクイティが必要です。
他方、借り起こし額は、49万5,000ドル。
つまり、円ローンに借り変えるためには、49万5,000ドルと38万5,000ドルの差額である、11万ドルを再投入しないと、これが、できないわけですね。
こうなると、お問い合わせされてきた方が、ほぼ全員、断念されています。
しかし、支払いを抑えるために、再度、最初の数年が優遇金利になる米国の変動ローンへの借り換えを志向されるようです。過去にビザがあったり、グリーンカードがあれば、それが可能ですが、しかし、これは、当面のカンフル剤に過ぎず、売却が可能になる、景気の回復をひたすら待つわけですね。
アメリカに転勤され、近隣に素敵な物件を多数ご覧になると、さぞかし、夢が大きく膨らむだろうと思いますが、米国駐在員様は、現在は、こういうマイナス志向のシナリオを念頭に置くのが現実的です。
せっかく、投資マインドがあるのでしたら、会社の賃貸補助が可能か検討するとか、購入は、大きな家ではなく、同僚より小さい家にしておくとか、車も中古車に乗るといった節約をする、また、場合によっては、本当に割り切ってしまい、割高だろうが、手狭だろうが、家具付き賃貸を続けるといった、犠牲を払うことも、致し方ないかもしれません。
その上で、節税対策を考えるなら、賃貸のまま、投資に適合するエリアに、身の丈にあった物件を買うのもよいかと思います。
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