まだ、値上がりすると思っている人が…
日本在住者とアメリカ居住者との間には、温度差があると思うのが、この問題。
バブル崩壊後の日本人は、投資にはより慎重で、これは悪いことではありません。
それに対し、私は、
■アメリカでは、不動産には長期資産性があります
■アメリカには中古市場というものが確立していて、日本より不動産の資産価値を保全しやすいです
ということを強調しますが、他方、時々、アメリカ側の人と話すと、
「そんなにうまくいくと思っているのかなあ」
と逆に、心配になることのほうがまだ多いです。
今日、お電話でお話したのは、カルフォルニア在住の日本人女性様。円ローンのお問い合わせで、最終的には、「難しいと思います」と申し上げざるを得ませんでしたが、その方は、
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今は、不動産がカルフォルニアでは本当に下がっているから、日本の人も、どんどん買えばいいのに、皆さん、転勤してきた方なんか、ぜんぜん、手を出さないんですよね。3年や5年の間こちらに住むのであれば、買えば、必ず儲かると思うのに、、、よく、忠告してあげるんですが。
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とおっしゃるので、私は、
「それは違うと思います」
とあわてて申し上げました。
確かに、一部のカルフォルニアの市場は、割安なエリアだったら、築浅のスターターホームなら、20万ドル台で売買されているようです。
しかし、これも、私は口をすっぱくしていいますが、実住物件は、エリアを選べません。事実、その方自身、通勤のために、より高額なエリアに、居住し、ずっと高いローンを払っているということでした。
転勤族の方が、数年以内に再度転勤することがわかっていて、車を二台調達し、アメリカの与信がまだ何もない状態でローンを組んで、与信のよいアメリカ人より劣る条件で家を買い、その家に家具を入れる、というのは、大変なコミットです。
転居時、つまり、3年後に、市場が高騰しているとも限りません。そうしたら、「もう二年持っていれば、市場が回復する」と思ったとしても、その二年間、ローンの支払いよりも、家賃が低い可能性が高いとしたら、、、
カルフォルニアで、エリート駐在員の実住クラスの家のローンは、5,000ドル、1万ドルといった額になるでしょう。売却するのに、3ヶ月かかるとしたら、家を売るのに、ローン等毎月の支払額で合計2万ドル、売却手数料は物件価格の6%、しかも、3-5年前には、すでに購入時に購入価格の6%を払う約束をしたわけですから、各種手数料やコストの比率が実はいかに多いものなのか。
カルフォルニアは、確かに、将来、資産性の高まりが続くでしょう。しかし、そうした見込みで、
「買えば儲かる」、
「今下がってるから、買い時」
式の短略化が、アメリカ側の方々からまだ抜けないのは、大変恐ろしいことだと思います。
物件購入は、エントリー、ホールド、エグジット、すべてに戦略が必要であり、前二者で、エグジットの柔軟性を確保する、と覚えておきたいものです。
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