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アメリカに転勤しましたがローンは組めますか?

ブログをごらんになっている方から以下のご質問です。

★★
要旨:
アメリカで働くことになりましたが、労働ビザが降りたばかりで、社会保障番号の取得や運転免許証の取得もまだです。現状で、アメリカのローンが組めるでしょうか。紹介された物件を買ってみたいですが、可能であれば、ローンを使いたいのです。
★★

ご紹介物件に関連してのお問い合わせですが、こう言うケースが良くあるかもしれないので、ここでもお答えします。


お答えは、 「可能ですが、すごく難しい」 です。


アメリカに行って、loan officer(各銀行のローン取り扱い者)に相談すれば、「もちろん!」と答えると思います。ですが、これは、そのまま信じてはいけません。

私も、「まったくの外国人でも30%ダウンすれば結構ローンが取れる」と書いていますが、但し書きがあります。

ひとつは、融資額。このブログで案内するような物件は、30%ダウンすると、融資額が3万ドルにも満たないようなものもあります。あまり小さいと、銀行にとっては、「手間ばかりでそんなけちなローン組めないよ」となるのです。


もうひとつは、どれくらいpaperworkを準備できるか、です。

在外の外国人の場合は、その国の収入状況や与信状況を申告します。

与信状況というのは、大まかに言うと、銀行との取引証明と、借金についての取引状況(例えばクレジットカード利用歴など)に分かれます。

前者について言うと、日本で言うと、自分の日本のメインバンクとの取引状況を開示するわけです。口座をいつ開設したかとか、最近の残高はとか、英文証明書をとってくることを要求されます。

もちろんアメリカの銀行にそうした付き合いがあれば、それでOKなわけですが、質問者様は、これまで、アメリカではまったく与信になるような経済活動はないとのこと。

そうすると、一応労働ビザがあるものの、まったく労働ビザがない在外の外国人と同じ種類の証明書類しか、提出できないわけです。


しかし、ここで、考えて下さい。

この方は、アメリカに赴任され、日本の銀行にはこれからは、ちょくちょく行くわけにはいきません。

「英文で、日本の銀行の残高証明書と口座開設日証明書をとってきてください」

といわれても、はいはい、と印鑑片手に走っていけるわけではないのです。

そうすると、この方は、アメリカの銀行口座は、開設したばかりで与信にならない、しかも、長く付き合いがある日本の銀行の証明書はもう取り寄せられない、そういう「エアポケット状態」になるわけです。


完全に在日の方なら、逆に、日本の銀行の証明書をすぐとってこれますから、これだと、この方のようにビザがなく、単に日本に住んでいる、という方が有利ということになります!


この方の状況でローンをすぐ組もうと思う場合、私に思いつくのは、「アメリカの銀行に相当な額(場合によったらローン額と同じくらいの額)の定期を組む」方法。つまり、現金担保です。そうであれば、ローンを組ませてくれる銀行がないとも限りません。でも、これでは、レバレッジではないですよね。


もうひとつは、日本に里帰りする時期を狙ってローン申請をし、帰国時に証明書を取る戦術。気をつけなければいけないのは、銀行へのローン申請は、一度したら、ずっと有効ということはなく、期限があるので、その期間が終了したら、またイチからやり直しになります。


あまりローン申請を繰り返すと、アメリカのクレジットスコア(与信)が悪くなります。

社会保障番号をとったばかりの人間が、満足な与信もないのに、いきなりローン申請の打診をしまくっているということがクレジットヒストリーに掲載されると、金融機関から見たイメージが大変悪いです。また、このローン申請の打診の履歴は、2年経たないと削除されないので、気をつけないと!


最後に、日本にご両親など親戚がおいでなら、ひょっとしたら委任状や印鑑証明など預ければ、本人でなくても対応する銀行があるのかもしれません。

配偶者が日本に残っているなら、一番やりやすそうですが、一家で転出であれば、日本の金融機関の不親切さからすると、むずかしそうではないでしょうか。


ここまで話したことは、銀行についてだけです。それ以外の部分についてはまた別の機会としましょう。


以上を前提にすると、私の回答は、「このHPで掲載される物件程度の価格であれば、現金で購入する余力があるということなら、まずは、現金で買われたほうが現実的ではないでしょうか」です。


なぜ、現地のローンオフィサーは、簡単に「OKですよ!」というのでしょうか?

それは、個々のローンの申請に必要とされる書類というのはあまりに多様なので、こっちのこうした事情などまで勘案することはいちいちできないからなのです。

しかも、向こうは100%出来高ですから、最初からあまり、「ローンを取るには、色々な書類がいるわよ」とか、いってしまうと、お客さんが逃げますから、最初はあたかも簡単にローンが取れるかのような言い方で誘う必要があるのです。


この方の場合も、日本の金融機関などの証明書等の問題をクリアすることができさえすれば、ほぼ必ずローンはすぐ降りるでしょう。ですから、ローンオフィサーが、「あなたのように労働ビザを取ったばかりの人でもOKですよ!」と答えるのは、あながち間違った回答ではないのです。

ただ、申請途中で、「こう言う書類を準備してきて下さい」と事務的に連絡が来て、「えっ、そんなの、日本に帰国しないと取ってこれないよ」「そんな種類の書類、日本の機関は発行しないんだよ」となったら、向こうは、「そうなの、あれば通るのに」、そこで終わりになるだけです。

ローンオフィサーは外国人のことなどほとんど理解していません。気をつけましょう。

あるいは、こう言う場合、ローンオフィサーというのは、実に簡単に、「それなら、銀行は、現金の定期預金を何万ドル作れば、ローンをするといっているわ」とか、手を差し伸べるつもりで、こちらにとっては、すごく酷く聞こえる別の選択肢を突然、提供してくれます。ローンで物件が購入できると思って頭金くらいしか用意せずに、契約を締結し、こういう羽目に陥ることを考えてください、、、


★★★


この方の場合、現金で購入された後、リファイナンスローンの申請をおいおいされればよいかと思います。但し、上の状況は同じですから、すぐというわけにはいかないかと思います。ですが、リファイナンスなら、帰省時を狙って、とか、場合によったら、アメリカでの与信ができるまで我慢するのも、ずっと楽なはずです。

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