アイスランド人が、円融資で大ピンチ?
今日の我が家の朝日(6ヶ月ごとに、読売と読み替えると、販促品をたくさんもらえる。嗚呼なぞの流通経路)のトップは、アイスランド人の窮状。
ヨーロッパで、円建てローンが一般化しているのは知っていましたが、車のローンまで、「通常円建て」とは、知らなかったです、、、
こちらから。
********* 新聞記事引用 *********
家や車のローンの毎月の返済額が急に倍になる――。悪夢みたいな話がアイスランドでは現実になっていた。
レイキャビクの高校教師、アウスディスさん(47)は2年前にアパートを買った。子供が5人なので広めの約200平方メートル。そのローン返済額が今年初めは月11万4千クローナだったのに今は22万クローナなのだ。
実は資金を「日本円」で借りた。それがつまずきのもとだった。
バブル経済で同国通貨クローナは金利が高いうえ、返済額が物価の上昇率に応じて変わる独特の制度もある。それに比べ円はずっと低金利だし、この国のインフレにも振り回されない。返済は円での定額を毎月のレートでクローナに替えて払う。「為替の変動が多少あっても割安」になるはずだった。
ところが、この春ごろから下落気味だったクローナは金融危機で暴落。ついに1クローナが約1円と年初のほぼ半分の価値に落ちてしまった。
手取りで26万クローナの月給のほとんどがローン返済に消えるはめになった。生活は大工の棟梁(とうりょう)である夫の収入頼み。
「通勤は車から燃料代のかからない自転車にかえました。休暇の家族旅行も当分中止」とため息をつく。
レイキャビク郊外の高級車販売店。経営するルナール・オラフソンさん(36)によると、ここ4、5年は客の9割以上が円などの外貨ローンを利用していた。客が購入を決めると一緒にコンピューターの前に座り、銀行系ローン会社のサイトにアクセスする。提供される各種ローンの中から選んでもらいクリック。
「人気が高いのは円だった。クローナの金利は2けた台。それが円だと4%ちょっと。ほとんどの客が円を選んでいたよ。だれも日本のお札なんて見たことないけどね。これからは僕も落ち目だな」
と彼もため息。
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この円建てローンのロジックは、私たちが借り起こしている円融資と似ています。
但し、毎月の返済額は、円の、定額だそうですので、私たちが、3ヶ月固定であるのに比べると、有利といっていいかもしれません(但し、もちろん、金利は、ここでは、4%台と書いてありますから、私たちの現在の融資条件ですと、現在、私たちのほうが、割安です。通常、変動金利を選ぶと、当面割安、但し、長期的には高金利のリスクを負う、というのがお定まりパターンですね)。
つまり、この方々の住宅ローン融資の問題は、「為替リスクをヘッジするセーフティーネットのない方々に融資貸付をした」ことにあるといっていいでしょう。この方々には、円の収入がないのです。
それに対して、私たちの融資は、現在、返済する通貨を選ぶ場合、その通貨での固定収入を証明する必要があります。
ですので、アメリカ在住で、アメリカドルを稼いでいる方は、いくら、高額所得者であっても、円ローンを取得することは、できないのです(当然、米ドルの金利変動型融資申請資格はあります)。
銀行の審査も、現在、相当、慎重で、投資物件であると申告しても、固定収入に基づく支出費から、ローン返済額を決めていきます。「頭金だけがあって、物件は、投資だから、家賃で返済できるから」といっても、通らないケースがありうるわけです。
銀行融資というのは、通らないと、気持ちとしては、こちらは、大変つまりませんが、しかし、審査には、それなりの理由もあります。
実は、しばらく前の、私たちのこの不動産取得のための円ローンという商品は、現地通貨に基づく収入しかない方でも、取得が可能でした。
たとえば、私も、カルフォルニア在住の方で、「しばらく前にこの融資で家を買った」という方も、存じ上げています。日本円の収入がなくても、そのころは、「為替プレイ」ができたのです。今は円が高いですから、円融資を選んでしまっている現地の方の中で、場合によって、毎月の返済額の急騰にあせっている方もおいでかもしれません。
この前、フロリダのあるレアルターさんが、このローンを組んでしまって、とても困っている人々の相談によく乗る、といっていました。属性が、このローンのターゲット層と、合っていなかったのですね。
円ローン融資先銀行からは、これまでの融資基準の変遷について、細かいことは、直接は、聞いていませんが(教えてもくれませんが)、以上のような例で見るように、為替プレイで、失敗をしたりする顧客が多数いて、それで、「商品を、難しく作りすぎた」「リスクが高い商品をオファーしすぎた」と反省したのだと思います。
あまり商品の間口が狭くなると、インテリジェントな投資家にとっては、独自の成績を出していく余地がなくなっていきますが、「万人にぴったり」「誰にでも、役に立つ」商品を作ることは、なかなか、難しいのですね。
つまり、この数年間の間に、私たちが利用している不動産投資用オフショア円ローンは、当初の、「上級者向け」、「好景気向け」の商品だったのが、「初級/中級者向け」、「不況向け」の商品へと、大きく、その特徴を、変え、変ぼうを遂げたわけです。
ここら辺の対応については、相当なフットワークといわざるを得ないですね。やること、やっています。もともと、富裕といってよい層、グローバルで、savvy(敏腕)と評しておかしくない層にターゲットを絞っていたのと、自宅NGのポリシーを貫いていたのが、よかったのだと思います。
アイスランドのこの例に見るように、現地のこういった金融機関も、このような事態を引き起こす可能性を、織り込んだ上で、このようなローンをオファーしたわけではないのでしょう。いろいろな計算違いの結果、「円なんか、見たこともない人々」、「投資初級者」の方々が、自宅をカタに、日常的にFXプレイをしていた、というわけです、、、
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私も、円ローンセミナーで繰り返しご説明しています。この商品は、すばらしい投資商品ですが、しかし、理解するのが、大変難しく、リスク自体をきちんとシミュレーションしておかないと、「騎手が、乗りこなせない駿馬」、「良薬転じて毒をなす」となりかねません。
そして、これが、あらゆる投資商品の共通の特徴。
誰にでも判かる、誰にでも使いこなせる投資商品が、あるとしたら、その商品は、私たちが住むこの地球では、「銀行の定期預金」と呼ばれているはずなのです。
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