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弁護士とのお付き合い

日本でも、ビジネスオーナーの方は、司法書士の先生なんかと、お付き合いをたくさんされるかもしれませんが、アメリカは、日本以上に、何かあると、弁護士先生をお願いしないと困る社会。

日本は、法律のプロフェッショナルが、細分化されており、かつ、司法書士などが、法的業務に広く携われるようになっている印象。

他方、アメリカでは、弁護士でないと、たいがいの仕事は、やってもらえません。

他に、パラリーガル(paralegal)という種類の人々はいるのですが、このかたがたは、教育や経験上、法律の実務に従事している補助員です。弁護士と異なり、個人に対するアドバイスをしてはいけないことになっています。通常、弁護士の補佐的業務に従事しています。

また、弁護士自身が、多様で、当然、エリアが細かく分かれているので、それぞれのエリアでの専門を標榜します。有能だったり、野心的な弁護士はいろいろなエリアに手を出しますが、通常、経験のあるエリアに自らの業務を限定することが、多くの場合、必要であり、かつ、ビジネス経営にとっても、意味があるということになるでしょう。

私は、このエリアでは、幸い、それほどは、経験がないといえますが、それでも、10人単位の弁護士と、付き合ってきました。その限られた経験の中から、アメリカの弁護士との付き合いで私が感じるのは、「10中8、9」かまではわかりませんが、大体、7割方、こちらのニーズに合わないことが多いこと。

どういうことかというと、弁護士がすべて悪いという話ではないのですが【でもアメリカでは、そういうジョークもたくさんありますよね】、私のイメージでは、州の司法試験を通っていても、他の専門家同様、マーケッティングが、専門スキル同様、必要というか、逆に、試験さえ通ってライセンスさえあれば、商売のためには、前者のほうが、ずっと大切なんじゃないか、ということ。

弁護士も、他の小規模自営業同様、みんな、一国一城の主だったり、数人の共同経営で、大きな会社組織になっていません。営業がうまい人が、有能かというと、、、そして、その逆も、また、真なわけです。

不動産仲介をてつだってくれる不動産屋さんについても、よいエージェントは、なかなか、知り合いになれない、向こうは、口コミで仕事はいっぱいで、営業なんか、していないことが多い、という話をしましたが、弁護士も、あるいは、そういうところが、多いかもしれません。そうなると、立派な広告やウエブサイトを出している会社なんかも、逆に、不安な場合があるのかなということになります。

そもそも、弁護士に何かをお願いする場合、不定型な内容なことが多いので、見積もりを出す向こうも、手間がかかります。なので、一概に弁護士を責められないのですが、「不案内な当事者」の経験から、私が感じることは、、、


■通常、簡単に電話で、案件を説明する時間は、誰でも無料でやってくれるが、その後、時給になり、通常、時間で、200ドルといった金額を、前払いしないといけない。このとき、無料で話を聞いて、「有料に切り替えれば、ちゃんと答える」と返事をし、最初の1時間目を払うと、結局たいした話は聞けない。向こうからすると、まずは、金払いのいいクライアントを見つけていかないと困るので、こういったマーケッティングトークになるのかなという感じがする。

■誰に頼めば、有能なのかが、頼んで結果が出るまで、わからない。投資先で、不動産屋さんの口コミくらいまでなら、何とかなるにせよ、「よい弁護士を知らない?」と聞いて、まともな答えが返ってくる確率は、さらに減ります。私自身のケースで言うと、アメリカ人と立場が違うので、アメリカ人相手では、有能な人なのかもしれないけれど、「外国人」関係は、通常、また、別枠。一番ネックになるのが、起業のときや税金申告について。

■外国人相手、企業相手の弁護士では、こちらの予算に合わない。これは、公認会計士についてもそうですが、日本でも私たちが聞いたことがあるような会社、つまり、CPAなら、デロイトといったランクのところですが、こういう会社に依頼するには、個人投資家の私たちは、予算が小さすぎるのです。アメリカの場合、日本語ができることをセールスポイントにしている弁護士も、州によっては、それなりの数、あるわけですが、不案内な外国人を親切に手取り足取りアメリカ社会の慣行になじませてくださるわけですから、その分、当然、コスト高。

■エリアごとによい人を選んでいかないといけない。一人、よい弁護士を見つけても、投資をする州を変えれば、他の人を見つけなければいけなくなるのがひとつ。また、同じ州の問題でも、その人が、専門としているのは、たとえば、不動産法とすると、訴訟になれば、法廷、訴訟専門の弁護士が必要になります。また、税金が絡んでくれば、CPAや不動産専門弁護士は、租税弁護士に相談しないと、といったことを言ってきます。やっているうちに、いろいろなエリアに、「これ」という人を見つけないといけなくなってくるのですが、それまでの「弁護士難民」の旅は、大変つらいものです。

■弁護士は、不動産専門であっても、通常、投資家では、ありません。ディールメイキンングに必要といえば必要ですが、数字のチェックやリターンの確保などは当然まったく見てくれないほか、コミュニケーションをとるのも、向こうが、legalese【米語で、弁護士言葉】にこだわるので、一苦労。何か指示を出すと、「何がいいたいのかわからない」とか、いろいろ、言ってきます。他方、向こうが法律文書を作ってくると、こちらは、チェックに一苦労。それでも、結局、トラブルになれば、最終責任は、こちらです。トラブルになった段階で、こちらの意図が弁護士の起草する文書に反映されていなかった、なんていうことも、あるかもしれません。


私の今の考えは、、、


弁護士を探すプロセス自体、物件の中長期修繕計画同様、組織的、かつ、中長期的な視野で、コストを使い、行っていかなければいけないプロジェクトである。

という認識。

物件を修繕していくときは、皆さん、いろいろな資料を取り寄せ、相見積もりを取った上で、計画を立て、大変な時間的コストを支払う上、場合によると、大きな支出を行い、結果、「あの業者はどうも、、、」「今度の外装は、あっちの業者に、、、」といった軌道修正をしながら、必死に、出入りの業者さんリストを作成します。このリストには、大変なお金がかかっていますね。営業がうまい業者さんでも、修繕がまずかったり、割高だったり。一番悪いケースだと、しばらくたたないと、欠陥があったことすら、わからず、欠陥や問題が出た段階で、結局、収拾は、同業の、より良心的な業者さんに泣きつくことに。信頼できて、割安だとわかっている外装業者さんとのお付き合いが、始まったとしても、その業者さんに、電気施工をお願いするわけには行きません。紹介してくれた人がいても、その人にクレームすることは、できませんね。

弁護し探しについても、あらゆる面で、まったく同様の覚悟が必要です。金額も、通常、修理と同じような金額がかかります。

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