つぶれなきゃいけないのは、『さくらや』じゃない!
世界を支配する?アメリカ経済。アメリカの不動産の落ち込みぶりについて、また、記事を書こうと着手し始めましたが、よく考えると、アメリカ人を今、「恐怖のどん底」に落とし込んでいる住宅ローン地獄問題って、日本では、普通なんですよね。皆さんは、そういう考え方をしてみたこと、ありますか?
私がどういうことをいいたいかというと、、、
ウオールストリートジャーナルが公表した意見記事のタイトルは、『こんな状態のあなたは、融資返済をあきらめていいんだよ(When It's OK to Walk Away from Your Home)』。2月26日付けです。
■融資を受けているアメリカ人世帯の4分の1が、オーバーローン状態に(担保割れ)。
■うち500万世帯は、25%以上の値下がりを経験
■25%以上物件が下がっているあなた、ということは、物件が元の価格に戻るには、33%値上がりする必要があるってことだよ
もう、楽になっても、誰も責めないから。銀行も、商売づくでやったことだから、向こうも責任があるし、この段階で、与信が落ちるくらい、たいした問題じゃないよ、、、
戦略的融資踏み倒しの消費者向けアドバイス記事なわけですね。
それはいいですが、今、入門者セミナーの準備をしていて、思い出した統計があります。まったく同じ統計があるか、不勉強で知りませんが(業界の方も結構見てくださっているようなので、ご一報求ム♪)、
日本人にとっては、上の状況って、1990年代末以降、ずっと、フツーのはずだなっていうこと。
自宅の担保われくらいで、日経新聞の意見記事に「苦しむのはもうやめなさい」なんていうコラムが出たら、いや、これは、大変なことになりますよ。
私がたまたま承知している統計としては、日本には、社団法人不動産流通経営協会という団体があり、ここが、定期的に、住み替えをした消費者に対するアンケートをやっているんです。
なんで、こんな不利な設問をするのかわからないですが(笑)、このアンケートでは、定期的に、「住み替えにあたって、売却損が出ましたか、その額は?」という項目があり、毎回の調査で、売却によるロスの額は、増えていくばかり。
最新版、2009年度の抜粋は、こちらから。
原本は、こちらから。
二つは、まったく同じ統計ではないわけですが、日本のほうのこの統計は、「買い替えを決めた世帯」。母数が少ないですが、反面、多少は、余裕のある世帯層であるだろうこと、また、買い替えを決めるにあたり、わざと、値下がりしている時期を選ぶということまでは、していないだろうということ程度は、想定できそう。
そして、結果は、、、
パンパカパーン!
75%が売却ロスを経験しており、うち、42%において、その額は、1,000万以上
前買っていた家の平均額は、4,000万、売却平均額は、2,500万。はい、半分の方が、エクイティの37%を割り込んでいたわけですね。
念のため、この統計は、単年度の傾向ではありません。過去の記事にも取り上げたことがありますが、ネットで同協会が公表しているのが、第六回以降、2001年次からのもので、同年、売却損を出した世帯は、75%。1995年次は、売却損を出していた世帯は、14%しかなく、こうした多数への増加は、1997年次(45%が売却損)以降のものらしいです。こちらから。
この統計を見ると、日本は、バブル崩壊後、「失われた10年」なんていう言い方がありましたが、実需レベルの不動産についてみると、結局、「経済は、回復しないで、また、再停滞に入った」、というのが、実感ではないでしょうか。今後のこの調査で、直近、これらの数字が大きく改善するような変化って、皆さん、思い当たりますか?
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アメリカ版バブル破裂で、アメリカでも、これに似た(多分、ここまでひどくない)状態に陥ったため、アメリカ、ひいては、全世界は、パニックしているだとおお?銀行に借りた金を、返さないでらくになろうぜだとおお??
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アメリカ人って、ひ弱だなあ!アメリカ経済って、こんなものか!これが、政府マター、金融業界や連邦の責任だなんて、ホント、やつらは、甘えているぜ!
自宅を投資と考えて、老後のたくわえやインフレヘッジを作り、それに失敗したときは、さっさと逃げ出すのが得策だなんて狭いジコチューな了見を持つ権利が自分たちにあると思い込んでいるアメリカ人に比べ、肥大化した住宅、建築業界をひたすら底支えするために、あえて多額の売却損を出しつづけ、今日もあくせく働くわが中流日本人のカミカゼ魂を、今こそ、全世界に、見せてやろうぜ!オウ!
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