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アメリカの専門職は、時給制(弁護士/会計士)

アメリカと日本は、いろいろな慣習の違いがあり、弁護士や会計士などとの付き合いが頻繁になるなのも、そのひとつかもしれません。

日本国内の確定申告なら、「自分でやっているよ」という有能な投資家様も多かったりしますが、「アメリカは、ちょっと自信ない」と思われることが多いのではないでしょうか。

私自身も、申告は、人任せです。

ここで、アメリカの専門職の方々(弁護士、会計士など)とのお付き合いの仕方を確認してみましょう。オーナー様の多くが、戸惑うことが多いようです。

アメリカの専門職は、時給制で、弁護士は、「私は、時給250ドルからです」などという料金体系が多く、「案件ごといくら」といった便利な「定食メニュー」が、ないようです。


日本人の感覚からすると、「時間でなく、出来で、請求せい!」というところ。「これこれの相談をしたいのですが、いくらかかかりますか?」と質問し、「私の時給は、150ドルです」と答えられることほど、日本人の心の中に、不安をきたすことはないようです。


私も、昔は、キットそう感じていたのでしょうが、最近は、慣れてしまい、この料金体系が、顧客フレンドリーでないところも含めて、「こんなものよね」と、問題点も含めて、なんとも思わなくなっています。

一応、受注をする専門職の側から考えてみると、同情すべき点もあります。

大体、こうした場合、多くの専門職は、30分から小一時間くらいの最初の面談や電話会議は、無料のやり取りはしてくれます。なので、「お試しは、そこで」という気持ちがあるのかと思います。向こうが、時給制を採用する理由は、「その仕事を片付けるのに、何時間かかるか、わからないから」なんですね。弁護士、会計士というのは、大体小規模な事務所で、多少の誤差を吸収できるような大企業ではありません。そのため、「1時間働けば、いくらになるから」という、自分に一番わかりやすい方法で、自分の経営基盤の安定化を優先した請求体系を作らざるを得ないのです。

さらに分析してみると、こうした方々は、後払いで受ける仕事が多く、新規顧客開拓のみならず、その回収も、結構面倒な仕事。後払いということで引き受けた仕事に対し、請求書に対して、支払いを渋られたりといったことがあっても、職業的な体裁もあるので、あまりおおっぴらに、顧客を追い掛け回したりも出来ません(笑)。

私の知っている弁護士の知り合いは、大体、「債券未回収の刑」にあった経験があります。弁護士になるには、大学に行った上に、3年間、大学院に行かねばならず、学費は、1,000万単位なわけですから、むしろ、多くの”士業”の先生方というのは、下手をすると、経営が大変そうだな、というのが、私の偽らざる意見。

しかし、そうはいっても、頼むほうとしたら、いくらになるかわからない状態が最後まで続き、しかも、時給単位で、結果のよしあしは、つけの額とは、関係ないわけですから、アメリカ人が、弁護士を嫌ったジョークをたくさん作るのには、こんなところにも、理由の一端がありそう。結果、「顧客満足より、自分の事務所の維持費。とにかく、取れるところから取る」という方法で営業しているんじゃないかと思う人も、見かけます(汗)。

発注側として、気をつけるべきことは、1に予習、2に予習、です。


弁護士に相談をする場合は、自分自身が、専門外の人間向けの本を一冊位読んだり、セミナーを聴きに行くといった”事前の予習”をいかにするかが、請求額を、多分、1,000ドル単位で、変えるでしょう。満足度、つまり、何を必要として、それが実現できたか、についても、しかりです。


「この人」にと決める前に、やはり、リサーチをした結果を生かし、後は口コミとか、ネットの評判とか、できるだけ、調べて見ましょう。飛込みであれば、広告ではなく、地元の弁護士会に問い合わせるところからのほうが、安心できます。

アメリカの弁護士は、専門分野が広いので、たとえば、「専門分野、家族法」と書いてある人に、不動産関係の相談をしても、仕事ほしさから、「できる」と言い張る人もいるでしょうが、その実は怪しいです。また、同じ不動産についてでも、不動産取引を専門とする人に、相続対策や訴訟対策を相談しても、同様です。

次に、話をするときは、必ず、「これは、billing(時給請求が立てられる) されるのか」を確認し、向こうの意向をはっきりさせます。

多くの弁護士は、そこら辺、アバウトで、大体は、「最初の1回目の相談は無料または込み」ですが、そこから、「毎時、クレジットカードの前払いでお願いします」という人、「500ドルの着手金を払って、差額は、確定後、後払いでお願いします」とうい場合、そして、「全額、後払いで、時給制」というタイプの請求の仕方があります。

毎回前払いなら、表面的には、不愉快な気はしても、後から想定外の付けがくる危険はなく、「この程度で250ドルか」と思えば、その段階で、その人を使うことをやめられます。それに対し、後払いの場合、気安く、先生にメールや電話をしまくると、その多くが計上されていて、後で後悔する可能性があります。


最後に、心情的に、納得はしにくいけれど、他にオプションがないのが、”最終的なアウトプットを確認するのは、こちらの責任”という問題。


日本人は、つい、「専門家」と思うと、相手を”先生”と見上げ、また、全面的に信用する気持ちになりがちですが、弱肉強食世界のアメリカでは、”監督していないと何をされるかわからない相手”くらいの気持ちで、こうした方とも接しないと、行き違いや間違いが生じ、しかも、そのつけは、こちらが、払わさせられます。

具体的に言うと、書類作成を依頼し、それが出来上がってきたら、間違いを校正するのは、こちらの仕事です。

アメリカ人って、「出来るだけ早く、仕事をやっつける」のが美徳で、どんないい人でも、「丁寧に間違いのない仕事を仕上げる」ことはしません。

これには、アメリカ流の合理性があるのだと思います(多分。好意的に、そう思ってみましょう)。

このように、アメリカ人は、どうやら、あらゆることに、つまりは、自分の時間の使い方にも、費用対効果の考え方を導入していて、2時間で仕事の9割が終わる場合には、もう1時間かけることで、仕事の完成度を98%まで高めることには、意味がない/この例だと、料金体系上も、クライアントの支持が得られないと思っているわけです。そして、経済効率からいって、ぜったい、これは、真です。

しかし、そうなると、こういう場合、残りの10%をカバーするのは、こちらの仕事なわけです。最低でも、自分の名前や物件住所などのスペルミス位は、自分で確認しましょう。

本当に忙しい人、重要な案件で、自分では歯が立たないときは、「校正(proofreading)やセカンドオピニオンを提供してくれる第二の弁護士/会計士」をアポイントすることに、意味があるかもしれません。

だんだん、lawyer jokes の沿革が、わかってきましたか?

ここで、弁護士ジョークをひとつ。


++++

Unreasonable bill

A client who felt his legal bill was too high asked his lawyer to itemize costs. The statement included this item:

"Was walking down the street and saw you on the other side. Walked to the corner to cross at the light, crossed the street and walked quickly to catch up with you. Got close and saw it wasn't you. -$50.00."

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不合理な請求

ある顧客は、自分に対する請求額があまりに高いような気がして、弁護士に、「請求のより詳細な明細を書いてくるように」依頼した。

すると、下のような請求案件まで、計上されていた:

「通りを歩いていたら、向かいにお客さんを見かけたので、通りを渡ってご挨拶しようと急いで追いついてみたら、違う人でした。50ドル」

++++


公認会計士の場合は、そこまではひどくないですが、こちらが、エクセルなどに上手に入力が終わった段階で話をしないと、やはり、同じように、時間の無駄=こちらのお金がロスになります。

以上、目安としては、「最初の30分から小一時間は、挨拶を含め、通常、無料または込み」、「こちらから出来るだけ準備を済ませ、電話や会議をする場合は、必要な質問などはすべて、リストアップしておき、可能な限りの予習やできる範囲のことは終わらせる」、「会議などの内容は、そのたびごとにメモし、返事を忘れないようにする」、「請求がたつかどうかは、一歩一歩確認しながら」などが、アメリカの専門職の方々とのスマートな付き合い方。

スムーズに行っても、「最初に、小1時間の電話会議」、書類作成の場合は、出来上がってきたところで、もう一度、自分が確認し、それに基づき、間違いを指摘するなり、補足の質問をするなりの必要があって、5分や10分は、話をする、または、メールをもう一度やり取りする、その上で、ようやく、最終的な請求額が確定する、といったイメージでしょうか。

ポイントは、まだまだあるような気がしますが、さらに、大切なのは、「可能なら、定期的に、仕事をあげる相手を作る」こと。ファミリードクターならぬ、ファミリー弁護士ですね。CPAであれば、毎年、申告を手伝ってもらうわけですから、これは、トラブルがなければ、自動ですが、弁護士の場合は、ある程度のやり取りをできる相手を、必要とする専門領域について、2人、そろえられると、最高です。

たとえば、私たちは、不動産投資家ですから、不動産取引についての専門家を、2人、別々に相談できる体制であると、いいわけです。そこから、「訴訟弁護士を紹介してください」といった専門家間のreferral(紹介)も、してもらえるようになります。

弁護士については、この前、メルマガでも、取り上げたことがあります。こちらから。メルマガ登録がまだの方はぜひよろしくお願いします。


えらそうなことを言って、お前は、全部、出来ているかって?そんなわけ、ないじゃないですか、、、><

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