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日本の家は、なぜ短命?

オールアバウトに掲載されていた記事があったので、ちょっと転載してみます。オリジナルリンクは、こちらから。

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◆わずか30年前後と日本の住宅が短命な現状

大塚 有美氏

家を建てるなら、だれもが「長持ちする家」を建てたいと考えますよね。ところが、日本の家は、意外に短いサイクルで建て替えられているというデータを発見しました。

下は、日本の家と欧米の家の寿命について、国土交通省が建設白書の中で試算したもので、「平成8年から過去5年間に除却された(取り壊されたという意味だと推察できます)ものの平均を出したもの」です。
グラフでわかるように、アメリカの住宅の平均寿命が約44年、イギリスの住宅の平均寿命が約75年に比べて、日本の家は平均約26年。

また、日本の家のライフサイクルが短いことは、住宅金融公庫利用者調査でも、明らかです。上のグラフの一番下の32.2年という数値は、平成12年度の住宅金融公庫を利用した人の調査結果の中から抜粋したもので、「取り壊した既存建物の築年数の平均を算出した」数値です。

グラフに作成していない数値データもご紹介すると、一番築浅で築4年以内、もっとも古い家で築90年以上となっていますが、ボリュームゾーンは、平均に近い築30から築34年の23.0%、それに築25から築29年の22.9%が続きます。そして、なんと、54.8%の人が、40年未満の家を取り壊しています。
最初に紹介した国土交通省の調査よりは長いものの、欧米の平均寿命と比較すると、まだまだ短いですよね。

それは、いったいなぜなのでしょうか。

◆希望している住宅の耐久性と平均寿命

「長く暮らせる家づくり」のガイドサイトでは、5月から6月にかけてのあなたの一票で、住宅の寿命についてアンケートを実施しました。その結果、下のグラフのように、ほとんど方が築40年以上を選びました。築20年くらいと答えた方は一人もなく、築30年、築40年もそれぞれわずかです。多くの方が、家の耐久性について、築40年以上を期待しているにもかかわらず、現状は、築26年程度で解体されていることになります。

このふたつの調査の数字を見て、どのように感じますか? あまりにも短いですよね。日本の住宅は、短期間で解体され、建て替えられているのです。

◆なぜ、日本の家の寿命は短いのか

日本の住宅のサイクルがこのように短いのはなぜなのか、その理由を考えてみましょう。

まず、第一に考えられるのは、現存している住宅の質が低いこと。住宅そのものが足りなくて、質よりもとにかく量を確保しなければならない時期が戦後の日本にはありました。その間に建てられた住宅は、供給を目的としていたために高品質とはいえないかもしれません。しかし、終戦後まもなく60年。そうした家も少なくなり、建築基準法や公庫の基準、品確法なども整備されてきましたので、徐々に住宅の品質はあがってきているとは思うのですが…。

ふたつめは、中古住宅の流通が活発でないこと。日本では、通常築15年経つと、建物についての評価はほとんどゼロになってしまうと言われています。家族構成やライフタイルの変化とともに、今の住まいを売って住み替えようにも、中古住宅は売却が難しいもの。このような背景もあり、古い物件になればなるほど、売買するより、いっそ、取り壊して建て替えようということになるのでしょう。

3つめは、リフォームのしにくさ。暮らしていくうちに、間仕切りを取り外したり壁をつくって間取りを変えたり、増築したくなるものですが、住宅の構造や仕組みがそれに対応できなければ、壊して建て替えることに踏み切る家庭も多いはずです。住宅は耐久性があるだけでなく、将来の間取り変更が可能な構造であり、さらにリフォームしやすいように水まわり配管などにも工夫があることが大切です。逆にいえば、こういった条件をクリアしている住宅なら、家族の変化に合わせて、リフォームしながら、常に快適に暮らしていけるわけです。

◆使い捨ての思想を止め、長寿命の家を考えよう

今、環境について関心が高まり、いろいろな側面からさまざまな試みや活動がなされています。住宅を取り巻く問題も同じだと思います。住宅を使い捨てにするのではなく、環境の面からもスクラップ&ビルドを極力減らし、できるだけ長く快適に暮らせる家を検討する必要があると思うのです。

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この記事に指摘されているように、日本の家屋は、これまで、短命とされてきました。上に挙げられている要因のほか、より、構造的な理由があるかと思います。それは、


●古い住宅には、銀行のローンが降りない


と言う理由ですね。

アメリカやイギリスの銀行は、古い家に、30年ローンを組みます。日本では、大体、ローンの長さは、新築から最大35年。なので、日本では、「上物(うわもの、建物のこと)」は、ローンを返し終わったときには、資産価値がゼロになってしまい、その物件の価値は、土地の時価になっていきます。

築40年の物件でも、30年ローンが組めるようになる、そうなって、初めて、ここで指摘されているような、「家を大切にする」体制が、国としてできたことになるでしょう。


しかし、一概に、「だから日本は、後進国」とばかりもいえません。たとえば、土地が豊富で、物件は、使用価値がメインだと考えるアメリカ。家を大切に使っていく発想が根付いているのも、消費者主権の現れでしょう。

しかし、日本は、土地が狭く、物件の価値は、「土地の有効活用」だと考える、それが、現在の社会制度に反映しています。30年、40年ごとに、ローンを取るためには、新規プロジェクトを立ち上げなければいけない日本。「この土地は、本当に有効に活用されているのか」を否が応でも見直している、と言うわけです。

ただ、同様に土地が少ないと考えられるイギリスでは、古いものを大切に使っていく思想が大切にされています。今後の日本の参考になるかもしれませんね。

しかし、日本の現状が、イギリスの水準に追いつくのを、投資家のあなたは、待っていられますか?


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