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海外中銀の米債購入が長期的に減少も、外貨準備分散の兆候か

海外中銀の米債購入が長期的に減少も、外貨準備分散の兆候か
6月6日16時14分配信 ロイター


 [ニューヨーク 5日 ロイター] 米金融市場では、海外中銀による米国債・不動産担保証券(MBS)への投資が伸び悩んでおり、今後一段の利回り上昇につながる可能性があるとの見方が出ている。
 海外中銀による米国債の購入は、米債市場の支援材料となっており、一部では長期金利を0.90%ポイント押し下げる要因になっているとの試算もある。
 米国債への投資が伸び悩む半面、米国債よりも利回りの高い米政府機関債には、海外から安定した需要がみられるという。
 JVBフィナンシャル・グループのチーフエコノミスト、ウィリアム・サリバン氏は「米国債市場がここ数週間軟調に推移している背景には、海外中銀が米国債を一時的に売り越しているという事情がある」と指摘。
 ニューヨーク連銀の週間統計によると、連銀保管分の海外機関の米国債保有状況は、過去7週間中5週間で売り越しとなっている。過去7週間の売り越し額は50億ドル。
 サリバン氏は、これについて、海外中銀が外貨準備の分散を進めている兆候ではないかと指摘。今後もこうした流れが続くかどうかは、まだ分からないが、米国債市場に長期的な影響を及ぼす可能性があるとの見方を示した。
 米国債の発行残高4兆3000億ドルのうち、約半分は海外勢が保有している。最大の保有国は日本(6123億ドル)、次が中国(4202億ドル)だ。
 過去7週間の売り越し額は、ごくわずかな額にもみえるが、海外中銀は、今年4月中旬まで週平均54億ドルの米国債を買い越していた。
 <日本の米国債保有は減少>
 サリバン氏は「海外中銀の売りがさらに増えれば、米国債の見通しが急激に悪化する可能性がある」と指摘する。
 先週米財務省が行った2年物と5年物の米国債入札では、海外中銀からの応札が、通常の半分程度にどとまった。
 アナリストの間では、連銀保管分の外国機関の米国債保有残高が、中・長期的に減少傾向にあると判断するのはまだ早いが、その可能性はあるとの指摘が出ている。
 米財務省が毎月発表している対米証券投資統計によると、日本の米国債保有高は第1・四半期に110億ドル減少。中国も外貨準備を国債からよりリスクの高い資産に分散する意向を示している。

 ドイツ銀行の米金利調査担当責任者、ムスタファ・チョードリー氏は「今年の米債市場で、海外勢の買いが回復するとは思えない。多くの中銀が債券以外の資産に外貨準備を分散しており、プライベートエクイティーに投資する例も出てきた。非ドル建て資産への外貨準備分散も今年いっぱい続くだろう」と述べた。
 米国では、MBSの発行が拡大しているが、ここ数年と比べると、海外からの投資は「散発的で、特に海外中銀の需要は非常に少ない」(チョードリー氏)という。
 ただ、政府機関債への投資が着実に増えているため、米債市場全体でみた場合は、影響は限定的。海外勢による政府機関債への投資は、通年で過去最高を記録する勢いという。
 連銀保管分の外国機関の政府機関債(政府系機関発行のMBSを含む)は、5月30日時点で7280億ドル。昨年末の段階では6000億ドル弱だった。
 <人民元に注目>
 中国政府が人民元高の加速をどの程度容認にするかが、米国債市場に影響を及ぼすとの見方は依然として多い。
 人民元が急激に上昇すれば、中国の保有している米国債など、ドル建て資産の価値が目減りするためだ。
 中国政府は、急激な元高を容認しない姿勢を示しているが、一部のアナリストの間では、中国の外貨準備分散化は、元高に伴う資産の目減りを防ぐことが狙いではないか、との見方も出ている。
 バンク・オブ・アメリカのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ジョセフ・クィンラン氏は「中国は、人民元切り上げの日に向けて準備を進めている。中国としては、今のうちに資産の分散を進めておきたいだろう」と指摘。中国が一段の元高容認に先立って米国債を売れば、米債市場の圧迫要因になるとの見方を示した。
 ただ、短期的には、米国債・政府機関債の発行縮小や、海外中銀の外貨準備拡大が、海外勢の需要減退の影響を相殺するとの見方もある。
 連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のティモシー・ビッツバーガー財務担当役員は「海外勢の需要が2003年の水準で推移すれば、需要が供給を上回ることになる。中銀の外貨準備は2003年以降、拡大傾向にあり、海外中銀は、米国債・政府機関債の新規発行分をすべて購入しても、外貨準備の多様化を進められる可能性がある」と述べた。

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