日本のカントリーリスクをどう考えるか 読者様からの質問
日本中心に、遠隔投資で、米国不動産投資を、7年ほども行い続けている中山道子です。
ブログは、光栄なことに、いろいろな方々にごらんいただいており、時々、読者質問などもあります。
今週は、こんなやり取りがありました。
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中山様
ブログをいつも楽しく拝見しています。
さっそくですが、NY州のSyracuse と Rochester に1棟8戸のアパートの購入を考えています。
現在、日本にある家賃収入のみ(月額16万円)だけが収入源で1年前に現金で購入したものです。また埼玉県のY市に持ち家もあります。
不動産担保で日本では3千万円の借り入れが出来ると言われたのですが、カントリーリスクや利回りを考えると以前住んでいた事もある、アメリカに投資を考え始めました。
先生のアドバイス、またはお会いしてコンサルティングをお願いしたいのですが、ご都合その他はいかがでしょうか。
お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
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ここでは、私が、日本のカントリーリスクをアセスメントする立場に身をおけるわけではありませんが、時々、不動産には、こういう「資産リッチ」な方が、おいでになります。
なぜか女性に多いのですが、1千万から数千万の物件をキャッシュで持っていて、「現在失業中です」とか、「他の所得はありません」とかですね。
こういう方は、皆さん、まだ、お若いので、(とはいっても、もう20台ではない)不安になる気持ちはわかります。私も肌身で理解できますが、40台にも差し掛かれば(この女性様の年齢はチョットわかりませんが)、男性と比べても、ましてや、簡単に再就職できるものでもなくなりますし、、、
そこで、不動産をさらに増やしていくことを考えるわけです。
しかし、原資がないので、借り越しをして、、、
■■■私に言わせれば、これは、危ないです■■■
この方が、「日本のカントリーリスクを感じている」という場合、それをどう定義されているのかわかりませんが、一般的な理解として、地震等を想定し、「この物件から再融資を受けても、日本国内にはこれ以上投資をする気にならないなあ」ということなのかという前提で話を進めます。
そうすると、今度は、海外キャッシュ投資のための融資を借り起こすのはいいですが、国外への投資は、為替リスクをもはらむので、「今後円安になるだろうなあ」という目算が多少あったとしても、この方の現状で、それに賭けるのは、どうかなという気がするのです。
日本の不動産投資は、うまくいっている方にはこたえられない「うまみ」があります。業者さんであってすらも、2%台といった低率で、ローンが長期間にわたって借り起こせるようなほかの国は、私は、知りません。
しかし、他方では、地震リスク、(当面の金利が安いため)今後の金利上昇リスク、空室リスク等々、想定しだせば、多少の不動産収益オンリーで、10年後、20年後、いや、死ぬまで、「このままでかっ飛ばし続けるぜ」と思える方は、少ないだろうと思うのです。実際、それについては、どの国でも同じだろうと思います。
この方の場合も、物件価値は、担保価値3,000万、オールキャッシュでの月収は、現在、満室想定で?、16万。
ここで、日本という国に対して、カントリーリスクを多大に感じていて、しかも、他に収入がないこの方が、この物件にさらにレバレッジをかけるのは、私は、危険だと思いました。
この物件にさらにレバレッジをかけることが、本当に、「日本のカントリーリスク」に対する分散戦略となるでしょうか?むしろ、「自分のプロフィールの脆弱さというパーソナルリスク」を増やすことになることのほうが怖いような気がしませんか。
そこで、この方のお問い合わせには、何回か、お返事はしましたが、今日は、いやなやつと思われることを覚悟で、下のように、お返事してしまいました。
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K様
最初のメールを読み返して思いましたが、担保価値3,000万の評価を受けている物件のリターンが、現在、オールキャッシュで、3-4%台(でしょうか)というのは、不動産としては、世界的に、ごく標準リターンで、そこから融資を借り起こしして、再投資をすると、海外であれば、国内以上に為替という不安定要因が入ります。
今後、それこそ、カントリーリスクの結果、この物件自体に空室問題が生じる可能性もあるわけですし、日本で、もうひとつ大地震が起これば、今の評価で売れるとも限りません。今は、レバレッジを高める時期では別にないと思います。
Kさんが、これ以外に収入がなく、カントリーリスクを感じられるなら、つまり、日本にいる必要がないということかと思いますので、この家賃収入(プラス自宅賃貸収入)で安定して生活できるところに移住されるなり、就業やプチ起業されるなり、それと同時に、多少先の話になるにせよ、この物件のサイクルがどんなものとなるかという物件の中長期戦略を練られることを考えるほうが早くないかと思います。
Kさんの現在のプロフィールから言って、私自身は、米国投資のみならず、不動産への再投資は、特段、お勧めしません。セミナーは、情報収集ですし、ご本人の判断基準を作っていくのに有為かと思いますので、ご参加歓迎します。
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ご自宅もおありになり、当面、生活には困っていないけれど、将来が不安ということなのではないでしょうか。
「今困っている人」に比べれば、ぜんぜん、優位ですので、その優位を維持し続けるには、この方は、不動産以外の収入源を作っていくことを考えられるほうが、ご自身にとってのリスク軽減になると思います。
まじめそうな方ですし、今、ほかの事をされていないことには、介護とか、闘病中とか、何かとご事情があるのでしょう。普通のフルタイム勤務やパートが難しければ、いわゆる、プチ起業を志すことです。
私自身、子供と家にいられるように、つまり、フルタイム外勤は、できないということで、投資とコンサルを両方やってきました。自分の不動産投資だけだと、上に述べたように、長期的なリスクも大きいですし、私自身、退屈すると思います。
お客様にいろいろ教えていただけることで、自分が成長し、ビジネススキルを維持し続けること自体が、私にとってはチャレンジで、面白いのです。
こういうバランスの中、この方のお問い合わせがあっても、「予算3,000万をどうやって使ってやろうかな」などという短期的な視野に基づくやり取りをする必要がなく、この方には、「米国のみならず、レバレッジそのものを、薦めない」と思ったことを(そう思う自分の意見が正しいかはわかりませんが)いえることは、私にとって、重要なこと。
私自身も信頼してサービスを利用するビジネスパーソンの方々は、靴屋さんからセラピストさんまで、みんな、これができています。
ちなみに、このブログの運営には、年間、10万もかかかっていません。起業って、楽しいですよ。
追伸 この記事、結局日本のカントリーリスクについての記事になっていないですって?本当ですね、、、ぽりぽり、、、
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