ラスベガスから帰ってきました!
主として東京に在住しながら、アメリカに対する不動産投資を2003年から行ってきた中山道子です。2011年11月20日から中国に転居予定です。2011年11月3-8日まで、ラスベガス不動産視察旅行に行ってきました。
*********
トランプタワーホテル。一番小さい部屋は、なんと現在、15万5,000ドルでご購入可能(こちら参照)!ただいまショートセール花盛りなり。
*********
ここ4年の間、デトロイトへの「小額老朽不動産投資ツアー」は、毎年開催してきているのですが、ラスベガスへの視察ツアーは、実は2度目で、4年前に一度行ったきりです。
理由は、「その後、下がる状況が続いたから。」
まだ、購入というタイミングではないという思いが大きかったのです。それに対し、2011年現在、いくつかの兆候が出てきているように思います。
□ショートセールが成立しやすくなっている。
ショートセールというのは、日本で言う任意売却のことです。ローンを組んだ人と銀行が協力して売却している状況で、通常、こういう場合は銀行はロスカットに合意をします。多くのアメリカ人は、二番抵当も組んでいたりして、融資状況が複雑なため、ショートセールを成立させるには、いろいろなチャレンジがあり、このタイミングや、銀行の覚悟のようなものがないと、買う側は、「買い付け証明を出しても、返事ももらえない」状況が続いたりするようです。
こういう中、債務処理を進めるためには、こうした売買がより容易にならなければいけません。ショートセールが成立しやすいレベルに持っていけるかどうかが、売買成立件数に大きな影響を及ぼすところ、ベガスのショートセールは、それなりに成立しやすくなっている状況が進んでいるようです。
□下げ止まり方向の中、取得に動いてもいい時期に入っている。
市場の物件は、相当安くなっており、来年の下落が依然見込まれる反面、下落率は、一桁に抑えられるという予測や、ストリップの景気も、2010年、反転したという報告、今四半期、優良な大規模アパート物件の入居率が反転し始めているといった市場感触もあり、今後、「これ」と思う物件の場合は、取得に動いてもいい時期に入り始めたように思います。
特に、ショートセール案件や銀行収容案件を中心にやり取りすることになるため、オファーをしても、なかなか成談しないため、今、取得準備を初めても、購入まで、1年といった期間がかかる場合があることを前提にすると、準備に入っていい時期と思います。
□市場関係者が新しい状況を理解するようになった。
多くの不動産関係者にとって、ショートセールは、新しい状況。物件単価も下がっているため、廃業したりした人も多く、また、いくらショートセールを追いかけても、プロトコールがよくわからないため、手間ばかりでコミッションにならないという不動産業者さんたちの悲痛な叫びが、ここしばらく、続いていました。
半面、優秀な業者さんには大口ビジネスが集中したりして、逆に、「小口案件はできないよ」という方もいたり。この中で、ベガスも、「ショートセールに慣れてきた」ところがあり、不動産業者さんたちも、ショートセールでお買い得な物件を取得するためのノウハウが蓄積し始めているようです。
++++++++
こうした中の市場調査で、ベガスも、エリアによって、物件価格が3分の1になっているところもあるのですが、これらのエリアは、ノースラスベガス市やヘンダーソン市(いずれもベガスメトロ圏内の別都市)の一部など、逆に、バブルが著しかったエリア。バブル以前の売買実績がないところでは、「値下がり率=良好なエクイティ」と判断するのは早計なようですね。
それに対し、サマリンエリアのように、現在でも、最高な住環境と目されているところは、銀行のREO案件(ショートセールなどが成立せず、フォークロージャーされ、競売で入札がなかった銀行差し押さえ案件)であっても、7割くらいしか下がっていない場合もありました。
私がベガスに2003年に始めていき始めたとき、古めの2BRマンションなどは、6万ドル台で購入できるということがありましたが、それに対し、現在、1BR、2BRのマンションが、3万ドル台、下手をすると2万ドル台から取得できる場合も生じています。
手間と時間はかかりますが、余裕がある方には、こうした物件を取得することには、今後、それなりの意味が生じてくるでしょう。こうした状況は、多くの都市で見られるようになっていますが、「ベガス好き」の方々は、別荘兼投資物件をエコノミー価格で取得するチャンス到来といっていいと思います。
**********
ベガス随一の高級ハイライズ、Turnberry Place Condos内のお部屋からの景色。コンシエルジュから共有スペースから、セキュリティから、どこをとっても、トップランク。エレベーターも、フロントの指示がないと、希望階に止まらない徹底振りでした。といってもこのランクの建物内の物件が、最安値3,000万円といった価格で購入できることに対し、参加者からは、ため息が、、、3,000万の物件例リンクはこちらから。ロスやNYであっても、数億になるでしょう。芸能人やセレブリティがベガス好きになる理由には、ここら辺にもありそうですね。
********
バイヤー側つまり、購入する投資家様が留意しておくべきことがいくつか。
□業者さんコミッションについて
アメリカでは、不動産業者さんのコミッションは、原則、物件価格に入っているのですが(売買価格が、20万ドルであれば、売り手側と買い手側業者さんのコミッションそれぞれ3%は、物件価格に込み)、こうした小額案件の場合、不動産業者さんのコミッションが低い反面、決済に持ち込める案件の比率が、低いため、多くの場合、業者さんは、上乗せで、「コンサルフィー」的なフィーの支払いを買い手側に要求することで対応しています。
銀行側も、こうした場合、売り手側レアルターさんに対し、売却価格以外の一律コミッションを支払っています。
最低目安としては、多くの優秀な業者さんは、一案件フィーが3,000ドルくらいにならないと、動けないという一般的な黄金率があります。
□キャッシュをもって、常時待機。手間も時間もかかります。
現在の市場でのお買い得価格をゲットするためには、外国人の場合、キャッシュ=現金買い以外のオプションは余りありません。これは、現在、外国人に融資を出している銀行がほとんどない上、ショートセルや銀行収用ものは、こちらの都合ではなく、銀行のスケジュールで動いているから。
逆に、7万ドルで掲載されている案件が、「キャッシュですぐ決済するから」というオファーにより、6万ドルOKになる場合もありえます。
こういう市場では、投資家は、業者さんからのメールが来たら、レスポンスタイムは、原則、毎回12時間以下。売り手への返事が、24時間から48時間といった制約の元であることが多いからです。
ショートセールや銀行収用物を扱う業者さんも、「週末休みたいから」といった状況を前提に、パートナーシップを組んで、チーム体制で挑んでいる場合が多いです。銀行からのメールが来たら、家族が病気で旅行している場合などでも、ピンチヒッターのパートナーにオフィスに行ってもらい、契約書ネゴのファックスやり取りをしてもらうといった状況ですね。
地元で携帯でやり取りできる場合はそれほどの問題ではないかもしれませんが、遠隔で、本業がお忙しい方などは、気をつけないと、これで、案件を逃す場合がありえます。
************
状態の悪い銀行保有物件。居住者は、物件に火をつけてしまい、一部の部屋は、半焼状態。その他にも、燃えていない部屋には、壁にわざと穴を開けた後など、怨恨が渦巻く家でした。エリアはとてもよかったのですが、修理をしたら、査定相場より割高になってしまう、、、この写真に変な蛍みたいな光が写ってるけど、ひとだまとかじゃないデスよね、、、汗
**********
□事前にじっくりと投資案件について細かい分析を下す余裕がありません。
たとえば、現在、私がご紹介をしている「対デトロイト投資案件」は、古い物件は、修理をしてしまうと、中がわかりにくくなるため、「当グループで修理をする」ことを心がけており、売主が、市中案件を購入してから、相当のフィックスアップを行っています。
そのため、投資家様は、物件のプロフィールに相当の知識を得てからのご購入をしていただけ、また、実質上の修理保障もあり、購入後、テナントさんが入居してから、多少のトラブルが生じても、最初のうちは、売主が修理対応フォローをします。
しかし、逆に言うとこれは例外的な買い方。
ベガスでも、大原則である一般仲介による銀行物購入が想定されるところ、個別の案件にオファーを出しても、それが成談するわけではなく、物件のプロフィールについて、悪い言い方をすると、多少「その場」的な決断を下さなければいけません。
建物検査の結果、「思うより修理がかかりそう」となれば、契約をして建物検査の結果、「ご遠慮して、次の案件を審査」するといったプロセスも必要。この場合の流れとしては、
:不動産業者さんが物件を見てきてオファーをする。
:契約成立(ここまでも数ヶ月かかっている可能性あり)
:契約で合意した誓約金を積む。1,500ドル位から。
:建物検査士で、レアルターさんが気がつかなかった瑕疵が。
:購入するのを断念し、誓約金を返してもらう手続きに。
(価格交渉できる場合もありうるが、遠隔投資家は、
表面上の修理以上の遠隔修理はするべきでない)
:建物検査にかかった費用は、自己負担。
:次の物件を検討
といったことを、場合によったら、1回以上、行う可能性がありえます。いずれによせ、比較的状況がいいにせよ、こうした物件の場合は、現状有姿ですから、購入後、修理見積もり(ペンキ塗りなおしやカーペット敷きなおし程度)に従い、購入価格から、別途、3,000ドルといった金額を支出する必要が多くあります。
そうすると、
取得費用例 38,000ドル(うちレアルターフィーは、1,140ドル)
レアルターフィー 2,000ドル
建物検査士 250ドル前後
各種決済手数料や保険加入
修理費用 3,000ドル前後
で、購入価格自体は、4万ドル以下であっても、支出金額は、5万ドルに近いという形になります。リターンは、物件価格に上乗せする各種コストが高いため、コストを織り込むか織り込まないかで、替わってきます。
もうひとつ、市中物件の場合、リスクの範囲が不明瞭であるため、「リターンは低めに見えても、リスクが低そうな物件を見つける」ことに、それなりの合理性がありえます。
みんながほしがりそうな物件は、それほど値下がりはしないわけですので、リターンが高い物件というのはそれなりのリスクがありますね。それに対し、テナントがすぐ決まりそうな物件は、修理コストも低く、リターンも低いかもしれません。端的に言えば、オーナーチェンジ物と銀行収用物が、両隣に二つ並べば、後者は、現状有姿(売主がなんら保障しない状況)なわけですから、3割安かもしれませんが、オーナーチェンジ物は、売主が数年居住していれば、売主側のほうで、物件の状態についてのディスクロージャー(情報開示)がありますから、水道管の問題など、隠れた瑕疵の存在は、そこまで心配しなくていいはず。
ベガスは気候がいいため、物件自体は、状態が大変いいことが多いのですが、唯一、硬水のため、水道周りの劣化は、気をつけないと、ほかのパーツに比べ、著しい問題をはらむ確率が常に存在します。こういう中、建物検査で、わかることは、立ち入りのときに瞬間風速的に、ある設備が機能するかどうかと、表面から見て、おかしなところがないかだけ。壁をあけないとわからないこと、一瞥しただけでは気がつかないことが存在することが前提なのです。
++++++
以上、簡単なレポートとなりましたが、いかがでしょうか。ベガスのような一大観光地であっても、本業が忙しい遠隔投資家であっても、ショートセールで成功裏に、400万といった額で、場合によったら、自分の家族が滞在してもおかしいとは言えないようなマンションが買える場合が、いよいよ、現実のものとなってきました。
私自身が、ベガスに現在ホールディングしている投資物件、数年前に、ローンを組んで私同様に物件取得されたお客様は、みな、現在、バリューが逆転し、とりあえず、当面のプラスキャッシュフローを前提に、ローン返済をしつつ、市場の回復を待っている状況ですから、この4-5年の不動産市場の動向には、目を見張らざるを得ません。
私自身、2007年前後の当時、市場は一度、下落し、反転には、7年、10年かかりますといった予測を申し上げましたが、正直、ここまでのすさまじさは、具体的にイメージできていなかったと率直に反省するべきだと思っています。市場価格回復には、10年より長くかかる場合もありうるでしょう。幸い、管理体制はうまくいっており、資金等に余裕のある方々に、丁寧にご説明をする形で投資着手していただいているので、当面冬の時代ということで、ご宥恕していただいている状況です。
その意味で、現地が、今回、「底の入り口」入りをしたように見える今の時期は、再度、ベガス投資を検討することができる第二期(第一期が、外国人向けの融資条件が格段によかった2007年前後まで)ともいえます。
しかし、ご案内のとおりですから、現在の市場は荒れており、投資着手の手順は容易ではありません。2007年前後に物件をご紹介したオーナー様は、デベロッパーからの新築購入で、ローン条件のみならず、物件瑕疵等からも、保証がありました。
それに対し、銀行放出の傷物中古を現金で購入する2011年からのプロセスには、前回よりもさらに慎重な段取りが必要で、最小サイズのマンションであっても、当面の表面修理に必要な額に加え、さらに、5,000ドルくらいは、次の段階のトラブルが生じた場合の予備修繕金を積んでおいておかしくありません。
さらに、取得プロセスが複雑なため、ここを熟知していなければ、例えば、1度だけ渡米すればいいと思っていたのが、結局、何度も行かなくてはいけなくなり、仕事が休める時期まで、せっかく取得した物件も手付かずといったことになりかねません。
英語力や経験がない方が、遠隔で手当たり次第に行うものとはいえないというのが私の考えで、ご相談に応じ、業者さんや管理の監督も含め、私自身が、コーディネーター/コンサルタントとして、ホールディング期間をずっと通して、お手伝いをすることも可能です。私がお手伝いする場合は、渡航が難しい方でも、投資を成功裏に実現していただけますので、旅費やロスタイムの代わりに、コンサルフィーを計上していただく形になるかと思います。
いずれにせよ、こうしたご相談が多数あるので、スカイプで、ミニセミナーを設定し、ご関心のある方々に、ご説明をする時間をもうけようと思いますので、メーリングリストご登録の上、スカイプセミナー受講を、ご検討ください。
中山道子メルマガ登録(マグマグと独自配信二つあります)
*********