アメリカ不動産投資: 決済に、小切手は使えますか? クレジットカードは使えますか?
不動産初心者の方に、時々、聞かれるのが、上の質問。
◇ 小切手を振り出せますか?
◇ クレジットカードは大丈夫ですか?
ネットを見れば、ペイパル決済OKという「FOR SALE BY OWNER案件(売主が仲介なしで直販する場合)」まで出てきますので、初級者にとっては、ひょっとすると、自然な質問なのかも知れません。
不動産の決済のことは、REAL ESTATE CLOSINGといいます。
具体的には、どんな内容が要求されているのかというと、買主にとって、もちろん一番重要なのは
◇名義書き換え
なわけですが、そのために、関係者が行う業務というのは、多岐にわたります。
ポイントの一つは、決済日を決めること。
CLOSING DATE
ですね。
そして、決済日が決まると、それに基づき、
■固定資産税などの売主側と買主側のそれぞれの日割り計算
■売主側のローン返済期日(ローンがある場合)
■買主側の火災保険発効日
■買主側のローン借入日(ローンがある場合)
など、あらゆる日付が決まるわけで、それに基づく計算は、当然、日取りに基づいて、最後の1セントの台まで、行うことになります。
ここで、こちらは「数週間前から教えてもらえれば」などと思いがちですが、タイトルカンパニーというのは、契約書が成立してから、名義の瑕疵リサーチを手配したりするわけで、その期間中は、「決済明細なんか、契約が成立するかわからないのに作っても仕方ないじゃん」という姿勢。
こうなると、結局、
契約成立
↓
1ヶ月後に決済を約束する。決済日は一応決まっている
↓
決済代行会社に、手付けを振込み、決済段取りを依頼する
↓
建物検査をする
↓
結果によっては契約破棄
↓
破棄しなければ、ここで、名義瑕疵の調査
↓
売主が、固定資産税を未払いだったりいろいろ事情がある場合、それを解消するためのやり取りがある
↓
名義保険にGOがでる
↓
ようやく決済日が本決まりする。契約で決めた日にちより早く決済できればOK、だめなら、契約延長。
↓
決済の48時間前に書類が出てくる
といった感じ。
こっちはいらいらしながら待っていることもありますが、向こうは、「契約延長とか、いろいろ直前に段取りが覆される場合だってあるんだから、そんなに早く、決済書類や計算書なんか準備したって二度手間になるでしょう?」というわけなのです。
それで、こういう段取りになっていることを前提に行動する場合、
はい!2日後に、現金いりますから!
といきなり言われるのが、買主の状況。
そういう状況だから、「じゃあ、大体、事前振り込んでおいて、細かい金額あわせの差額は、クレジットカードじゃダメですか?」といった質問も出るのかもしれませんね。
また、人によっては、手回しよく、銀行口座と小切手帳を作って待っている方もおいでで、「もう決済用のお金はあちらの自分の口座に送りましたので、そこから小切手を振り出せないんですか?」というわけです。
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さて、以上の背景、例によって、こっちのほうが長いんですが、これを前提に、最初の質問に戻ると、
日本の決済に詳しい方はすでに答えがお分かりかと思いますが、不動産の場合、基準日を過ぎたら、できるだけトラブルの種、禍根を残さないことが必要。今日はお互い挨拶しても、明日は、電話をしても出ない、そんな仲になる可能性もあるわけです。
となれば、
■小切手は?
小切手って、残高がなくても振り出せますよね?
悪いことを考えない方は、気がつかない!
■クレジットカード?
それじゃ、手数料は誰が負担?
売主にお金が入るのって1ヵ月後ってわけにはいかないです!
といった問題になるわけですね。空手形に基づいて不動産の名義を移すことはありえませんからね。
個人の小切手というのは、振り出した銀行に回収されるのに数日かかりますが、その間、実際に該当口座に資金があるかは、ペンディングになるんですね。なんでこんな恐ろしいシステムを、これほど広く、使い続けるんだ、米国人。。。
さらに、クレジットカードの場合、米国では、米国のクレジットカードというのは、オーソリにOKした後、カード会社に電話して、「トラぶった」といえば、その場で、DISPUTE(紛争)モードに切り替えてくれます。マーチャントとのやり取りに片がつくまでに、1ヶ月とかかかるのです。
計算間違いをしたり、詐欺まがいのマーチャントが横行する海外シーンでは、こういうシステムと、それに対抗するメンタリティが、必要なのですが、逆に、正直なマーチャントであっても、消費者がごねれば、集金が難しくなるシステム。
マーチャント管理がしっかりしている日本とは真逆なのです。
以上のような状況があるため、不動産取引で、受け入れ可能なのは、
■電信送金、口座振込み
■銀行振り出し小切手
のみ。現金も、偽札かもしれませんし、出自がわからないですから、嫌われます。
以上が基本的な考え方です。
そのため、2日前に「振り込め」といわれて、日本からの決済の場合、大変あせることも多いです。送金しても、決済期日から2日たつと、通常は、再契約と決済基準日再設定になるため、内々のやり取りができていない場合に、送金に、何日もかかるような銀行を利用してはいけません。
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