売買復活に伴い、不動産業者さんも、収入が増加中?
アメリカでは、不動産屋さんのことは、
realtor
といいます。レアルターさんには、二種類のランクがあります。
salesperson セールスパーソン
broker ブローカー
セールスパーソンは、ブローカーに所属して業務に従事する必要があります。ブローカーは、3年の営業歴など、セールスパーソンがより経験をつんだ段階で、独自に仲介業を営むために、必要な資格。
両方とも州単位なので、例えば、カルフォルニア州のライセンスを持っている場合は、ネバダ州での売買を、行うことはできません。
日本と多少違うのは、米国の不動産業が、基本、フルコミッションで成立していること。日本の不動産会社と違い、レアルターさんで、サラリーをもらっている人は、通常、いません。(管理会社勤務の管理専門のレアルターさんとか、ハワイの一部日系の会社などは別)
レアルターさんは、いずれかのブローカーに「所属」しないと、MULTIPLE LISTING SERVICE(物件仲介のネットワーク)にアクセスできません。そして、コミッションは、何らかのパーセンテージで、分け合うシステム。そのときだけ、収入があるわけです。
ブローカーは、このように、レアルターさんを、「雇っている」わけではありません。「センチュリー21」とか、不動産仲介の看板が掲載され、多数のレアルターさんがそこで働いていても、その「会社」は、基本、日本人が思うような会社ではなく、実態としては、SOHOがたくさん働くオフィススペースに近いのです。ちなみに、こうした不動産会社は、通常、フランチャイズ経営なので、日本のように、全国組織の不動産会社というようなものも、余りありません。
というわけで、個別のレアルターさんは、なので、同じ「会社(実は、ブローカー)」に所属していても、「同僚(実は、ライバル)」ではありません。
不動産会社(Realty)には、秘書やオフィス備品はありますが、通常、これらの共有リソースに対しては、ブローカーだけではなく、セールスパーソン側も、「机代」的な形で、支払いをしています。
アメリカでは、不動産業者さんというのは、日本以上に、比較的簡単になることができますが、このように、売り上げを上げるまでは、毎月、逆に、固定の支払いがある出来高の商売。大手の会社が独占しているというより、一匹狼、地元の小規模組織が、拮抗しあっているイメージです。
このような就業形態のため、レアルターさんというのは、通常は、学校を出て、すぐに、フルタイムに不動産会社に勤めるというより、キャリア転換組が多く、また、フレックスタイム希望者、つまり、子育て中の方とか、リタイヤ世代の方が、副業的にやっている場合も、あります。
以上が、アメリカの一般的なレアルター事情の概要ですが、この前、NATIONAL ASSOCIATION OF REALTORS(NAR)のウエブサイトで、久々に、「取引が戻ってきて、レアルターの収入が、上がった」という「業界内朗報」がありましたので、ご紹介してみたいと思います。
オリジナルサイトは、こちらから。
■ 2012年には、典型的なレアルターは、10軒の物件を仲介したのに対し、最新データでは、それが、12軒にアップ。
■ 典型的なレアルターは、このうち、1軒が、フォークロージャー(銀行が強制執行した案件)案件、1軒が、ショートセール(ローンデフォルトで、銀行と、物件名義人が、共同で、任意売却に乗り出した案件)を扱った。
■ 典型的な売上額は、2011年の120万ドルから、150万ドルへとアップ。
■ 「売買成立にもっとも困難をもたらす」のは、3年連続で、ローン取得が難しい状態が続いていること。
■ 典型的な不動産管理レアルターさんは、2012年に、49軒、過去最大の物件を管理した。
■ 2011年の典型的な売り上げが、34,900ドルだったのに対して、2012年の売り上げは、43,500ドルで大幅アップ。
■ レアルターの世帯収入の中間値は、2011年の9万4,100ドルから、2012年の99,400ドルへ。
■ レアルターの87%は、自宅を所有している。さらに、13%が、別荘を持っている。46%が、投資物件を所有しており、10%が、最低1軒の商業案件を所有している。」
■ 業種への新規参入は、途絶えたわけではないが、廃業は依然とどまらず、このため、典型的なレアルターの年齢は、56歳から、57歳へと上昇し、経験は、11年から、13年へと、やはり、長くなった。
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不動産関係者は、フルコミッションなだけではなく、ライセンス維持やNARの会員フィーなど、持ち出しが多い自営業なので、不況時には、顧客がついていない層は、持ちこたえられなくなり、廃業せざるを得なくなることが多いようです。
私の知り合いでも、知り合いのローンオフィサー(レアルターと同様で、やはり、フルコミッションが多い)が、「学校の教師に戻るわ」などといって、びっくりしたことがあります。州政府の財源も、厳しいので、学校の先生も、微妙そうですが、、、汗
そのため、上のレアルタープロフィールを見ると、ある程度、資産があったり、または、ダブルインカムの世帯が多いようですね。米国の一般的な世帯の年収は、統計にもよりますが、5万ドル台程度のようなので、それに比べると、富裕層に近い人々が、営業しているように見えます。
よく言われるのは、「若い人間は、経験不足として、信用されない」といったことでしょうか。自分自身、1度や2度は、家や投資案件、別荘を売り解した経験がある位でないと、仲介を任せられないという気持ちが顧客側に存在するのかと思われます。また、自営業なため、それなりの「回転資金」がある人間、数ヶ月の売り上げが立たない状況があっても、それをやり過ごせる、または、そのようなスタートアップ状態ではなく、コンスタントに、売り上げが立てられるレベルになっている、そういった層が、サバイバルしていることを予測できそうです。
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