マジック! BEFORE AND AFTER 9XXX M通り
2013年7月に、6万ドルちょっとで、シカゴで、私の投資パートナーが、購入した要修理案件。この度、修理(英語でフィックスアップといいます fix up)をし、16万ドルで売却が決まりました。
ビフォーアンドアフターの写真です。
キッチンBEFORE
キッチンAFTER
バスルームBEFORE
バスルームAFTER
地下室のバーBEFORE
地下室のバーAFTER
同じ物件かと、思わず、私も目を凝らし、写真をいろいろ確認しなおしたりしてしまいました、、、
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この案件は、私の米国在住のパートナーである「修理屋さん」が、リフォーム転売業の一環として行ったもの。
このエリアに目が利き、過去の実績のため、コネがある彼は、こうした物件を、銀行放出なり、手放したがっている人からなどの連絡で、値踏みをし、利益が出ると見たら、迅速に、売買や修理を繰り返していくというわけです。
この物件は、2013年の7月に、6万ドル強で購入されたもの。
エリアは、シカゴの南部で、高額所得者が居住するところではなく、犯罪率も高めなのですが、だからこそのこの値段。地元の人以外はなかなか立ち寄りにくいところですが、逆に、そのため、現地状況を知悉しているパートナーにとっては、「他人にとってはギャンブル」かもしれない状況が、「確実な金儲けかどうか」がすぐ見分けがつくというわけですね。
物件は当然要修理。また、現状有姿(修理なし、そのまま)での引渡しなので、「隠れた瑕疵」がある可能性もあります。
そのため、いくら安くても、修理の腕や段取りに自信がない人間にとっては、リスクのほうが大きいのですね。土台にクラックなんかがあったり、地下室で水漏れがあるような場合もあり、そういう時は、いわゆる全面リフォームになってしまうので、下請けに任せるのではなく、先頭に立って修理を指揮する力がないと、太刀打ちができません。
物件が当初購入されたときの写真を見てみましょう。居住中のショートセール案件(任意売却。)
修理後は、こちらです。
この案件では、購入費用や修理代とあわせ、合計、10万7,000ドルを、私のご紹介した投資家様が、融資されました。条件は、年率12%の金利で、半年が前提。今回、3月か4月中に決済しそうですが、1ヶ月の延長となったわけで、投資家様は、300ドルの融資延長手数料の支払いを受けて、これに、OKを出されました。
これだけの実績が有れば、銀行から直接回転資金を取り付けられるかと思いがちですが、小規模のフィックスアップ業者は、業種として、あまり信用がないのです。
さらに、問題なのが、取得しようとする物件の特徴。格安で購入される物件は、通常、ほかの銀行のロスカット案件なわけで、こうした要処分案件に、よその銀行が、銀行融資をしてあげることは、できません。物件の状態自体が、居住不適格レベルであれば、銀行ものでなかったとしても、それ自体が、通常融資のネックともなります。
そもそも、融資を受ける場合、通常、決済期間は、1ヶ月となるうえ、「確実にお金が準備できる」とはいえません。そのため、格安案件は、「2週間で絶対金をもってこい」といった条件が突きつけられることが多く、実際、買い付け証明を出す段階で、「全額、キャッシュを持っていることを証明するため」の銀行預金残高証明が必要。
こうしたいくつものハードルがあるため、現地投資家は、短期の融資については、高金利だが、銀行などの融資よりも、臨機応変に対応してくれる短期つなぎ融資の相手とタッグを組む必要があるというわけです。
この案件の場合、修理後、MLS(Multiple Listing Service, REINSに対応する米国の業者掲載ネットワーク)に掲載し、今回、めでたく契約の運びとなったというわけです。
もちろん、ここまでの道は、毎回順風満帆とはいえません。
今年、特に苦戦したのは、冬の大雪。
もともとが積雪が多く、冬は、客足がとまる土地柄。一般に、感謝祭後は、クリスマスもありますし、雪も降るということで、2月の確定申告シーズンが来るまでは、売買は、オフシーズン。
とはいっても、普通の冬なら、ゼロになるというところまでは行かないところ、世界中で報道された今年の厳寒で、FOR SALEサインをあげた11月末以降、内見自体が少なく、今回の売買契約が成立するのに、3ヶ月以上かかりました。普通の自宅売却でしたら、遅くもないのですが、空室で、すぐに引っ越してこれる案件ですから、この間、多少焦れますね。融資を受けているほうとしては、修理後は、とにかく早く売らないと、置いているだけで、金利や保険代などがかさんで、純益が足りなくなるわけですから、、、
周囲では、20万ドル近い価格をつけて軽く売却できた案件もあるのですが、この案件も、3BRなのに、金額的にも、正直、多少苦戦しました。
パートナーによると、理由は、3ベッドルームのファミリータイプの家であるのに、3つめのベッドルームが、1階や2階にあるタイプの家ではなく、地下室にあるタイプの間取りだったことが、敗因だったようだということ。
こういう家も、割合よくあるのですが、もともと、建てられたときは、たぶん、2ベッドルームだったのでしょうね。そして、地下室は、ハリケーンなどもある地方であるため、土台であるのみならず、避難場所として、大体、必ずあります。
それが、その後、いろいろな人が居住している間に、地下室を、リフォームし、3つめの寝室を作った。ということで、3BRと表示できるようになったため、パートナーも、普通のファミリー案件として、販売可能と判断したのですが、実際にやってみると、
「1階と2階合わせて、3ベッドルームか、4ベッドルームの案件のほうが、鑑定額が高い」
という実感だったということでした。
エリアや顧客層によって、小さめの家が好まれる場合もあります。たとえば、高齢者向け、リタイア組向けの地区では、一階建ての2ベッドルームは、標準といっていいでしょう。子供が大きくなれば、高校生や大学生の子供が、地下室の寝室を占拠するというのはよくあるパターンですし、小さい家族であれば、地下室は、お客さん用や、下宿人用ということもありえます。
しかし、それにもかかわらず、APPRAISER(不動産鑑定士)は、一律、地下室に寝室がある場合と、一階か二階に寝室がある場合と比べると、5,000ドルの差をつけるのだといいます。(これは、シカゴの当方承知の慣行ですので、全米で同じかはわかりません)そうなると、よしんば、契約で、たとえば、17万ドルという合意ができても、銀行の融資の基礎となる相場評価が崩れてしまいます。
ローンで購入する側は、事前に与信調査を経ていますから、「あなたの与信なら、頭金を5%用意すれば、これこれの金利で融資できます」といった仮審査結果を前提に、行動しています。
最初、買主が、《17万ドルでもほしい》と思ってくれていた物件が、銀行の担保力査定で、16万ドルしか価値がないと出てしまえば、売主は、売価を、16万ドルに下方修正させられざるを得ません。もちろん、買主と売主の力関係や、買主の懐事情の問題で、「銀行の鑑定は、16万ドルだが、購入価格は、17万ドル」といった例がありえないというわけではないのですが、しかし、そうすると、上の「頭金5%」という前提で買主が動いている場合、16万ドルの5%に上乗せして、1万ドルを自己負担で支出しなければいけないので、「それは、予算オーバーですよ」となる買い手の方が正直多くなるわけなのですね。
売主側としては、もちろん、それなら、17万ドルで、他の買主に買ってもらおうとしても、その買主の銀行のよこした鑑定士が、物件に、16万ドルという値をまたつける可能性があるわけなので、こうなってしまうと、ギブアップです。
融資をする投資家側としては、当初より多少長めの融資となっても、金利は日割りですので、余剰資金であれば、特に問題はないのですが、「融資をしている側」と、「実際のフィックスアップをする側」では、利益構造が違います。
ということで、投資家様は「どうでもいいよ」と、ハッピーに終わりそうですが、実際のフィックスアップに当たったパートナーは、「このエリアでは、今後は、1・2階に合計2室しか、寝室がない案件は、今後は、ターゲットにしないかもしれない」といっていました。もちろん、それも、仕入れ値との兼ね合いでしょうが。
補足
この案件は、2013年5月19日付けのメルマガで、タイトル「10万ドル前後短期融資案件ご案内」として、融資希望者様を、募集した案件です。
応じてくださった投資家様へのご償還は、売却時に、同日、金利を日割り計算して、行われます。担保は、第一抵当権だったため、2014年3月4日に、第一抵当権解除の書類の準備に入っている段階です。
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