【貧乏父さん】は、あなたや、私かもしれない! 相続編
この前、私は、メルマガで、「ヒツジさんはまずいです」警報を出しました。ヒツジさんとは、私がこの前国立科学博物館で出会った人々のこと。
誰でも、ヒツジさんになりがちなのが、怖いところ。私も、ヒツジさん状態でいた状態が長いですし、今も気づかず、ヒツジさんをしていることがある可能性が大です。しかし、ヒツジさんはまずい、と思うか思わないかで、投資家とそうでない人たちの人生が大きく分かれていきます。
ヒツジさんは、投資家の世界では、【貧乏父さん】とも呼ばれています。ロバート・キヨサキ氏の名著【批判もたくさんありますが、冷静な人なら、得る事のほうが、ずっと多いはず】、『金持ち父さん 貧乏父さん』のタイトルからですね。
キヨサキ氏の貧乏父さんは、
■高学歴で、高度の知性を持ち
■まじめな勤労者、立派な父親、尊敬すべき隣人
であったのに、
■ファイナンシャルリテラシーが決定的にかけていた
ために、勤勉な人生を送ったにもかかわらず、老後、経済的には不如意のうちに、死亡したということです。それに対し、キヨサキ氏の友人の父親が、キヨサキ氏の金持ち父さんとして、彼のファイナンシャルリテラシーを伸ばす手伝いを、してくれたということでした。
あれだけの古典?となると、内容ができすぎていて、「本当かいな」という気すらさせられるエピソードの数々が出てきますが、よく考えてみると、私の周りにも、【貧乏父さん症候群】とでもいえるような症状を現実に、観察することができることに思い当たりました。
++++++++時価数千万のマンションが、親戚の荷物置き場に+++++++++++
最初の一組は、知り合いの夫婦。二人とも東大を出て、夫は、有名な大学病院勤務、妻は、私立大学教授。子供も3人いて、みな、優秀です。
嗚呼、フーテンのような私とはなんと言う違い。
しかし、実は、この二人、【高学歴だったけれど、それほどビジネスについての知識はなかった貧乏父さん】の再来のような二人ナンです。前から疑っていましたが、そのことが決定的にわかったのは、ここ数年。なんと、彼らは、相続した都内一等地マンションを、「荷物置き場」にしたまま、放置プレイをしているのです。
親戚の子供が、昔から、荷物を置きっぱなしにしていたりして、それを片付けるための申し入れをするといったことも、どうやら、面倒なよう。遠慮しているのかもしれません。ファミリータイプの物件なので、ローンもないのだし、多分、貸しに出せば、月10万を軽く超える副収入になると思うのですが、、、
日々の生活が、大変だったり、忙しかったりといったことも、当然あると思います。しかし、これだけ社会的に地位のある二人が、なんと、私生活におけるファイナンス部分では、正直、だらしないことか、、、
++++++++時価数千万の中古一戸建てが、10年以上もの間、放置プレイ+++++++
うちの近所にあるお宅の先代は、もともと、400坪近い大きな区画を持っていて、それを、数十年の間に、切り売りされてきました。
それによって得た金額は、時期にもよるでしょうが、20年以上前の当時、何千万円といった額になったのではないかとも思います。
それなのに、なぜか、これだけの資産を相続されたはずの今のご夫妻は、大変質素な生活を送っておいで。庭師の方など雇わず、70歳のご主人が木に登って剪定したりと、見ているこちらがひやひやします。
世事にたけ、観察眼の鋭い母は、「どうして、きちんと会社勤めを終えて、退職していて、土地だって売ったし、息子さんたちも、ちゃんとした会社に勤めているのに、あんなに質素で、ちょっとしたことも、植木屋さんに頼む程度のお金がないのかしら。おかしいわね」と首を傾げます。
しかし、より恐ろしいのは、彼らが売った区画で起こっていること。
3軒の小さな分譲一戸建てができて、それらが売れたのはいいのですが、実はそのうちの一軒は、もう、多分、10年以上にわたって、空き家なのです。
ここでも、上と同じパターン、相続に絡んだ問題ですね。
この小さい一戸建てを買われたのは、有名な一流商社にお勤めだったご一家だったということ。お子さんは、複数人いるということですが、売ることも、賃貸付けすることもなく、ただ、さすがに、社会的責任には敏感らしく、管理会社さんのようなところには頼んでいるようです。もちろんの事ながら、固定資産税の支払いもされており、物件自体、それほど劣化して見えるわけではありません。
築20年強、うち半分が、空家。管理会社のおかげか、空室10年にして、状態は、外からは、まだまだ、いいように見えます。
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実は、こういったケースは、思うより多いのではないかと、最近感じます。というのは、前に、駅前を歩いていて、同様の状況にある別の方に、声をかけられたことがあるからです。
+++++++埼玉から、2時間かけて、出てきて、死んだ親の家の庭掃除+++++++++
うちは神奈川/多摩川近く東京近郊。2年近く前のことだったか、歩いていたら、向こうからくる奥様が、私に、質問をしてきます。
「すみません、最近、ゴミ袋って変わったんですか?」
そう、ちょうど、東京で、有料ゴミ袋に切り替わったときだったのです。
どうして、いかにも主婦然としたこの奥様が、そんなことも知らないのかと不思議に思う私に対し、彼女は、なんと、こういったのです。
「親の家の庭掃除と換気に、毎月、埼玉から来るもので、こちらの勝手がわからなくて、、、」
この奥様も、60歳に手が届くような年齢ではないかと思いましたが、いつまで、毎月、往復4時間かけて、死亡された親御さんの家の庭掃除や換気に通い続けられる気なのでしょうか。
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日本のことは何もわからない私ですので、「現在のオーナーに話をつけて、安くたたいて、転売してやろう」などという野心は、生じようがありません(笑)。通常、こういった商談は、何軒ものオーナーに、持ちかけていかないと、成功しないものですので、無精者の私なんかには、いずれにせよ、到底ムリでしょう。
しかし、ここで指摘したいのは、これらのケースは、多分、実質、社会現象化しているのではないかということ。地元の不動産屋さんだったら、まめに、エリア内のこうした空き家の遠隔オーナーと話をしていけば、商売になることも、あるのじゃないか、と思える、くらい、、、
100万単位、1,000万単位の問題なのに、こういうことをしている方々の金銭感覚は、正直言って、私たち投資家には、イメージがつきにくいところですが【お金を生む活動は、それが、勤労所得でない限り、胡散臭いものだと思われているのではないでしょうか】、それにしても、ブログをご覧になってくださっている皆さんも、思い当たるお知り合いが、おいでになるのではありませんか?
今後、東京で、こうした放置空室物件が増え、しかも、子供世代が、このように、だらしない状況で物件を放置し続け、結果、資産継承が孫の世代にまで及んでしまうと、名義人が、10人といった複雑な名義関係になることになり、ますます収拾がつかなくなるでしょう。
今は治安がよい東京ですが、こんな「歯っかけ」の家が立ち並ぶ通りや、入居率の低いマンションができてくるエリアが登場したら、治安も、脅かされかねません。
実は、ほかにも、近隣で、現在、オーナーが高齢による長期入院と相成ったところが、すぐ目の前にあり、この家も、ここ1年、放置が始まったところなのです。こちらなんか、お子さんがおいでにならず、多分、親戚の次世代に、家がわたることになるでしょう。
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現在、都心では、中古売買が盛んだといわれますが、それにもまして、こういった類の、潜在的な中古の在庫の数は、増加の一歩をたどるでしょう。
そうした中、現在、中古売買という市場が、ようやく、認知されはじめたという事実は、これまで、スクラップアンドビルドで成長をしてきた日本社会にとって、大変なパンドラの箱がオープンしたことを意味すると私は思ます。
景気が戻っても、「中古でいいです」「賃貸で不都合はありません」という人の数は、どんどん増え続けるでしょう。なんといっても、こういった体の在庫は、限りがありません。供給のほうが、需要より、高いということが、恒常的な出発点ですから、大家さんたちは、ただでさえ、シェアハウス経営、ライダースマンション作り、農園付きアパートと、限りない妥協と選択肢の提示をし、ますます、自らの首を絞めてきています。
いや、こうした一連の流れ自体が、住宅需要主導の景気回復という概念を、空洞化させるはずです。
中古住宅の資産価値や市場価値が、日本社会で認知されていくかもしれない、そう、日本の不動産事情が、グローバルスタンダード化に近づくとき、日本社会は、少子化のつけを、空恐ろしい形で、支払う羽目になる可能性があります。
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そして、もうひとつ、私たち一人一人が、心に刻んでおくべきことがあります。私のブログを読んでいる方は、現在、「ようやく手に入れた家、マンションのローン返済真っ最中」の世代。
大変失礼ですが、ローン返済のみならず、自分の死後の始末の手配や、お子さん方への、最低限のファイナンシャルリテラシー教育は、進められておいででしょうか?
皆さんの家は、ご自分のものでもありますが、社会、コミュニティのインフラストラクチャーの一部でもあることを、お忘れにならないでください。
一生かけて、自宅のローンを返済したと思ったら、次世代のお子さんにとっては、それは、お荷物にしかならない、しかも、近所に、迷惑がられて、空き家、お化け屋敷に終わる、そんなのは、悲しすぎませんか。
デトロイトに行かれると、皆さん、「焼け落ちた空き家があったよ」なんて、恐ろしがられますが、日本の空き家率は、しばらく前の統計の段階ですでに、12.2%で、デトロイトの11%より、高いのですから、、、。
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