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微妙なインターナショナル・スクール教育に怒るパパ友

こんにちは。中国在住の中山道子です。

昨日は、こちらで唯一といっていい日本人のお友達の「教育相談」に乗ることになりました。なので、今日の記事は、最近人気の多言語教育についての「単なるつぶやき」で、不動産のこととは関係ありません。単に、最近、そうした実情に興味をもたれるメルマガ読者様が、多いので、、、

それで、この方は、地元が長く、奥様は、中国人なので、私なんか、およびでないはずではかという感じですが、お子さんがうちの子より小さく、実は、2歳から、インターナショナルスクールのプレスクールに通わせているので、英語教育についての相談でした。

その方の悩みというか、お怒りの理由は、「小学校に入ったのに、まだ、ろくに英語ができない!」というものでした。


実は、こういうの、関係者なんかは、絶対、言わないと思いますが、よくあることかと思います。

普通の親は、それほど知識がないと、


■インターは学費が高い
■だからよりいい先生をそろえ
■レベルの高い教育をしてくれる
■ので英語が自動的に、学校に行っている間にぺらぺらになる


と思ってしまい勝ち。そのためのツールとして、あちら側が、マーケッティング資料であげるのが、

■IBプログラム インターナショナルバカロレアートで欧米大学進学準備ができる
■ネイティブの先生による少人数の教育

といった「ありがち」パッケージ。

この中国の地方都市でも、実は、教育熱心な中国人の親御さんや、外国人が多いことを反映して、インターは、東京よりあるのではないかと思います。(実際に数えたわけではありませんが) 

地元でたぶん、一番有名なのは、香港に本校がある耀中(YEW CHUNG)《教える語学は、北京語ですが、学校の名前は、香港式です》。米国のシリコンバレーにも、小学部があり、国際的なネーム・バリューは大。香港では、ウエイティングがあるんでしょうが、わが地元、こちらでは、普通に必死に集客してます。(笑)

ユー・チャンは、英語のみならず、中国語教育にも定評があり、私たちも、こちらに来たとき、検討しましたが、「1年生から4年生までは、バイオリン教育が強制です」ということで、なんか、「教養教育」が大変そうだということで、親子で意見が一致し、行きませんでした。

ここは、イギリス系の学校なので、欧米人の生徒は、ヨーロッパ人が多く、アメリカ人は、行きたがりません。その後、お友達のお子さんの関係で、YEW CHUNGのクリスマス・コンサートには、時々、行かせてもらいますが、正直、「小学1、2年生にバイオリンなんかを週に数回強制しても、聴ける代物にはならない」というのが、結論です(爆笑)。やっぱり、小学生なんかに、年間200万も学費を出すことにしないで、よかった、、、

さて、MYパパ友は、ご自身は日本で教育を受け、奥様は、中国の教育を受けているうえ、共同経営者として二人とも飛び回っているので、「新世代の教育」についてじっくりリサーチする時間どころか、日々の学校とのコミュニケーションをとる余裕も、あまりなさそう。ご夫婦とも、英語は、不得意なのです。

このお友達のご一家では、お父さんが、日本語で話しかけ、お母さんが、中国語で話しかけ、それぞれの言語は、家庭で教えることができるということで、国際語である英語の習得のため、学校は、これまでずっとこのアメリカンスクールを標榜するA校のプレに行かせてきたのです。

そうしたところ、お嬢さんは、晴れて小学生になっても、ABCもはっきりしないんだそうで、「何でこんなに長い間通学させているのに、名前が書けるかどうかのレベルなんだ!お前は馬鹿なのか?」とお嬢さんに雷を落とし、泣かせてしまったんだそうですので、深刻です、、、

これは、ずばり、3言語教育の罠で、

子供に多くをやらせすぎ
それなのに、サポートをしてあげなさすぎ

なのです。


お父さんには、

■低学年の多言語教育は、必ず、すべての言語に遅れが出ること
■インター滞在時間だけでは、第三言語の習得には不十分であること
■それを補うには、2倍、3倍、勉強させないといけないこと

をご説明しました。このお宅では、家に帰宅すると、まったく英語に触れないので、お子さんにとっては、英語の練習をする時間が足りないのです。

その理由の一端は、このお子さんの通うインターが、「インター」といいながら、弱小後発のため、実は、中国人の子が中心で、その次に多いのが、韓国人であること。英語がネイティブのお子さんなんかいない状態なため、実質上、低学年の間は、まともな授業はできないのです。学校のほうでも、自宅で補習をしてほしいという気持ちは、山々なんでしょうが、理解のない親には、「それは、あんたの仕事でしょ!そのために、こんなに金を払っているんだ。」と切り返されるので、生徒を集める能力が低い経営基盤の弱いインターでは、父兄に対し、「思ったこと、真実は、絶対言わない」のです。

実は、これは、トップ校でも、アジアの場合は、珍しくなく、わが地元で、一番多い国籍は、韓国人。また、欧米人がいると思っても、ヨーロッパ系の人たちなどは、多様な背景ですから、自分たちも、家では、英語ではなかったりします。《でも西側ヨーロッパの人は親が英語も流暢で、多言語習得ノウハウがあるようですね》

ここで、中国の普通の公立や日本人学校に行かせれば、宿題も、ちゃんとあり、また、親も、ネイティブなので、お母さんまたはお父さんが宿題を見たり、また、家庭でその言語を使うし、そもそも、同級生の語学レベルがネイティブなので、学力(語学力はその一部)自体がぐんぐんつくのですが、これと引き比べると、普通のアメリカ系インターの低学年向けのモットーは、通常、「宿題は、学年×10分」。つまり、低学年の間は、10分単位で、4年生くらいにならないと、宿題は、本格的に始まらないのです。

それまでの間、何百万払ったとしても、学校では、アメリカ式に、「楽しく過ごす」ことが中心。

宿題は、お絵かきをしてこいとか、塗り絵をしなさい程度で、見ていると、この程度の教育だと、結局、学校で身につくのは、ヒアリング中心の理解力が中心であるように見えます。話すのも、簡単な意思疎通だけ。ライティングに至っては、低学年の段階では、それほど身につかないわけです。

ネイティブのご家庭ならば、低学年は、ゆとり教育で十分という場合があっても、非英語ネイティブの親が、学校で英語をと思っている場合は、このご家庭のように、「これだけ長い間行かせているのに、ぜんぜん、学力がつかないじゃないか」というあせりになります。《低学年から結構宿題を出すインターもあると思います。香港資本のYEW CHUNGは、この点、中国式教育に近いようです。また、アメリカ式インターも、小学校高学年以降は、すごく勉強させるところが増えます。》


 
            □ □ □ □ 


お父さんによると、「インターなんかやめさせる」といったところ、「それだけは、お願いだから」と、お嬢さんが懇願するんだそう。そう、インターナショナルスクールというのは、もうひとつの特色があって、特に低学年のうちは、

お子ちゃまに対するエンタテインメント攻撃

がすごいので、行っていると、「毎日がディズニーランド」状態なのです。

自分がつまらない学校生活をすごした親は、こういうのを見ると、「いいなあ!」と単純に思いますが、学校生活は、所詮学校生活。子供が楽しく学べる環境を整えること自体はいいのですが、楽しいだけで済むはずがありません。

アメリカ式ののびのびとした教育というのは、確かに、自発性がある生徒にとっては、理想の中等高等教育システムなのかもしれませんが、そこに持っていくまでに、初等教育レベルで親が必死にならない家庭の子は、単に、「個性」として勉強ができないということで放置されるだけ。アメリカ式の教育の中では、先生は、アジアの先生のように、「がんばれば、誰でも、できるんだよ。できるまで、さあ、先生と一緒にやってみよう!」なんていってくれません。スタンスは、「やりたい人がやって下さい。できる子も、それが個性なだけ。できない子も、それが個性だからOK!」だからです。

このお宅のお嬢さんも、「普通の中国人の子や日本人の子は、もっときつい勉強をやらされている」ことが、父親以上に分かっており、今の学校を引っ越すことになると、毎日のパーティー状態が終わってしまうので、それで、泣いて嫌がっているのです。インター式教育の罠で、NGな学校は、この「子供を接待する」ことで、定着率を図るのです。

これに対し、私の知る範囲では、こっちで教育熱心なご家庭のお子さんというのは、ぜんぜん違うコースをたどります。

中国では、2歳になれば、古詩の暗記や算数の足し算引き算を始め、プレでは、英語を教える中国式の(←ここ大事)幼稚園に行き、公立は、コネやお金を使って、有名公立校に、越境入学します。《私立もあるが、有名公立のほうが、競争が激しく、大学進学に有利と認識されている》

小学1年生になったら、国語は、漢字書き取りはもちろん、教科書のテキストは、毎週暗記で、算数は、いきなり、「今日中に100題解いてきなさい」とか、泣きたくなるような量です。

共働きの親のためには、学童がたくさんあり、親御さんが、家で勉強を見てあげられないお宅は、お子さんが、大体、学童で、学校が終わった後、宿題を見てもらっています。共働きのうちは、夏休みも学童で、中国の学童では、低学年でも、午前中は勉強ですので、お母さんが、家にいない家庭でも、夏の宿題はもとより、前年度の復習と翌年度の予習なんかをやっています。

そんな中国の状況を知っているので、このパパ友が、「プレの後、小学校は、Aインターに引き続き行かせる」と言ったとき、私は、実は、やめるように、アドバイスしたのですが、お嬢さんが、すごく行きたがり、また、学校からは、嘘八百を並べられるしで、つい、学費を払い込んでしまったために、昨日の検討会となりました。

親とのコミュニケーションが英語でない日本人のご家庭の場合、英語インターに行かせて学力を落とさない方法は、宿題がなくても、普段、自宅や補修校で、日本の教科書で勉強をしておき、英語は英語で、独自に家庭教師をつける以外、思い当たりません。語学と同時に、算数も大事で、欧米式インターに任せると、アジア人の思うレベルの算数の水準は、身につかなくなります。

これって、下手をすると、お母さんは、「お子さんの専属家庭教師、奴隷」状態です。小学校高学年になれば、「教えられない」と悲鳴を上げるお母さんも多いでしょう。何がいいたいのかというと、つまり、インターというのは”学費+さらに家庭教師代がどっちゃりかかるスタイル”の学校教育オプションなのです。

物価の安い中国でも、欧米人のネイティブ家庭教師の時給は、4,000円相当とか、日本やアメリカと同じです。しかし、余裕のあるご家庭では、欧米人の家庭教師をつけ、夏は欧米で過ごし、さらには、欧米人に住み込みオーペア《ベビーシッター》をさせ、また、時には、小学校で1、2年留学させたりと、ありとあらゆることをやっています。

普段、仕事に打ち込んでいるパパ友には、そんな「中国のイマドキの現実」をご説明。中山、「何様?」という感じですが、この3年間、私は、ありとあらゆる立場、属性のママ友とのネットワーキングを欠かさなかった結果、相当な知識を身につけていまして。そう、何事も、勝負は、情報収集なのでございます。

ということで、昨日は、2時間の緊急会議の結果、パパ友のお宅では、「負担は、これ以上増やしたくないので、英語のインターに行かせた上、自宅に家庭教師を毎日呼ぶようなことはしない」ということ。そうすると、英語を主たる言語として学校で習得させるプランが、後退することになります。結果は、「日本人学校に転校させる!子供の懇願には耳を貸さない。英語は、今払っている学費との差額の一部を使い、家庭教師をつける」という方針。無事、決まって、、、よかった、よかった、、、

お土産に、いろいろいただいて、帰宅した「にわか教育コンサル」の中山道子でした。。。

中山からのお願いです。
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