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移民の動向から目が離せない!

しばらく前に「この記事について、コメントしよう」と思いながら、忘れていたら、その間に、2ヶ月たっていましたが、、、私のブログは、ニュース性がどうせないので、気にせず、取り上げようと思います!

ということで、どの国でもホットな「移民」の課題。

米国の人口増加、不動産にとってより具体的に意味があるかもしれない世帯数増加についてみてみると、今後、増加の多くは、属性的に、

■ 高齢者世帯増加
■ マイノリティ世帯増加
■ 移民世帯増加

から登場することが、ほぼ予測されています。

3つめのファクター「移民」については、「今後の政府ポリシー」は確定しないので、将来を予測するのは不明で、今議論できるのは、「既存の移民プール」ですが、、、(なので将来プラスになる可能性もあるかも)

その、いわゆる第一世代の移民の動向について、興味深い結果が出ましたので、それを、ご紹介します。

それは、第一世代の移民のほうが、米国生まれの米国人より、金融危機、不動産ローン危機を、うまくかわすことができたという調査結果。

ちなみに、ここでご注意ですが(基本的過ぎたらすいません)、

移民 IMMIGRANT 
米国外で生まれた人

マイノリティ MINORITY 
米国で生まれたかどうかではなく、人種的なマイノリティで、今の米国では、白人以外のことをさす。ちなみに、米国統計では、中東系・アラブ系(通常キリスト教やユダヤ教ではない)も、白人に入るという例外もある。

が違いです。なので、移民の場合、第一世代のみが、移民で、第二世代、つまり、米国内で生まれた米国人は、人種的にマイノリティであっても、移民ではありません。

さて、ということで、以下から、本題。


紹介記事は、REALTORマガジンから。

Study: Immigrants Fared Crisis Better Than U.S. Natives

研究によると、移民のほうが、米国生まれの米国人より、モーゲージ・メルトダウンによる打撃が少なかった

もともとの研究は、ファニー・メイが行ったもので、それによると、1990年から2000年、2000年から2010年という二つの時期を対比させると、移民組の自宅保有率は、安定し、むしろ、後者の時期、つまり、住宅危機の時期に、上がった。

それに対し、米国生まれ組は、1990年から2000年までは、上昇したものの、2000年から2010年には、多少下落したそうです。

Between 1990 and 2000, the immigrant home ownership rate remained steady, but it rose by 2.6 percentage points between 2000 and 2010, according to the Fannie Mae report. On the other hand, the native-born home ownership rate rose 2.8 percentage points from 1990 to 2000 but fell 1.2 percentage points from 2000 to 2010.

現在、第一世代移民が世帯主である世帯は、188万世帯。今後の予測では、2010年から2020年までの間に、自宅購入世帯の3分の1以上が、この移民層からと予測され、また、賃借人世帯総数増加のうちの4分の1を占めるだろうということです。


移民について、もうひとつ指摘されるのが、同じ国やエスニシティを背景として、ハブを作る傾向があること。これは、21世紀の多くの移民が、人種的に、非白人である場合が一般的であることから、エスニック・マイノリティと、行動パターンがかぶるわけですね。

私の「地元」、ミシガンでいうと、人口約10万人、デトロイト隣接都市ディアボーン市は、アラブ系アメリカ人の人口比率が米国一高いといわれている都市(40%前後)。スーパーや看板は、アラブ語併記です。

また、中華系の住民比率がもっとも高いといわれているのは、カリフォルニアのモントレー・パーク市。人口6万人ほどのロサンゼルス郡内の一都市ですが、住民の実に半分が、中華系といわれています。

メキシコとの国境、テキサス州ラレド市なんか、25万人の人口の9割以上が、ヒスパニック系とのこと。テキサスには、こうした都市が多いですね。

このように、移民は、マイノリティ同様、独自の行動様式をとることも多いということがあり、この層が、「今後の不動産購入・賃貸層」となるといっても、にわかに、「これまでの常識」で対応できるというわけでもなさそうです。

多くの都市で、黒人が中心の地区、ヒスパニック系が好むエリア、ポーランド系が集うエリア、韓国系が多いエリア、といったようなポケットというか、地域の特色が、あります。

日本人の場合、ホノルルは、日系人の比率が、2割ほどですが、そもそも、JAPANESE AMERICANとされる人々の数は、どうやら130万人ほどしかおらず、CHINESE AMERICANの3分の1、KOREAN AMERICANの2分の1強だということなので、もともと、アジア系自体が、マイノリティの中のマイノリティでありますが、そのマイノリティの中でも、人口的に、マイノリティ。

日本人の場合は、お互いが集まりあい、助け合う町を作るほどには、なかなかいかないという状況ですね。

もちろん、カリフォルニアのトーランスやガーデニアは、ハワイ外で一番有名な「日本人(駐在員)が多いタウン」でしたが、それでも、10%前後程度。駐在員の多くは、「長期移民」ではなく、また、現在は、日系企業の移転に伴い、日系のプレゼンスは空洞化しているとも聞いています。

時々、「日本人駐在員向けに賃貸物件を」という方もおいでで、日本人向け大手スーパーの近くなど、それなりに、やり方がありそうですが、他方では、10年単位の長期戦略としては、地元の一般の方へのシフトも前提にしておく必要があるかもしれませんね。

移民やマイノリティの動向は、今後、さらに、重要な意味を持つでしょうが、なかなか、ターゲッティングが難しいところでもあります。

今回、ご紹介した記事は「移民」についての言及。

かぶるところが多いカテゴリーである「マイノリティ」は、一般に、そもそも、自宅取得率が低く、また、マイノリティの中のマジョリティ、黒人やヒスパニック系のカテゴリーは、融資を受ける際に、まだまだ、白人と比べて、劣後するポジションにあることが多いです。

つまり、「移民」が、この間、住宅取得率が低下しなかった背景には、もともと、住居取得率が低いこと、ローン取得のハードルがより高いことが、この記事の暗黙の前提になっているわけです。

しつこいですが、人口増のほとんどは、高齢者世帯増、マイノリティ世帯増、移民世帯増がメイン。いずれも、これまでの「フルタイムに働く人が一人または二人いる世帯」と比べると、世帯所得や学歴など、統計を取ると、苦戦している層です。

そのため、この状況が、どの程度改善していくかによっても、不動産産業の伸びしろが変わってきそうです。


ファニーメイのレポート原典は、こちらのPDFからどうぞ。


黒人、ヒスパニック系のローン取得率の低さについては、ウオールストリートジャーナルの記事を、REALTOR.ORGで転載し紹介している記事がありますのでそちらをどうぞ。Report: Blacks, Hispanics Receive Fewer Mortgages、を、こちらから

*WSJの記事は、有料アカウントがないと、読めないかもしれませんので、転載のほうをご紹介しました。

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