融資のリピート様ってどんな方?
対米不動産投資家の中山道子です。
ここ数年、私は、遠隔から管理を必要とする「大家業」ではなく、「高金利で、1年といった短期間の間、不動産を担保に、融資をする」ことをしています。
不動産への抵当権をカタに、年率12%といった高金利の貸付をするわけですが、米国も、今は低金利。日本とは比べ物になりませんが、普通の自宅ローンなら、与信がいい人は、年率3%台。どういう方が、こういう高金利を欲し、満足しているのでしょうか?
今週、融資が償還になった案件のBORROWER(借り手)から、現地の米国側パートナーに、下のようなメールが来たので、ご紹介します。
相手は、デトロイト市内のデベロッパー。公共住宅などの受注を受けたりする仕事らしいのですが、それが、めちゃくちゃ特殊な業態と経営方法。。。
つまり、まず、こういうデベというのは、
> プロジェクト関係の更地を、たくさん自前で買っておく必要がある
> 例えば連邦関係の資金があれば、そういう助成金申請を常にしている
> 地元規制者である市役所や議会と折衝しながら公営建築を建設、改装
といったサイクルを繰り返すのだとか、、、
1990年代以来のデトロイトのプレーヤーで、累計プロジェクト建築歴は、今の円ドルベースで言うと、150億円の規模に上るということで、これまでの実績をすべて掲載したポートフォリオも出してきてくれました。
デトロイト市は、コネで有名な役所なので、ぶっちゃけ、言ってしまうと、コネのない人には計り知れないやり取りが、あるらしい、、、関係者の多くが黒人であるというのは、言わずもがな。
ということで、小規模オーナー企業だということで、まず、抵当に差し出してきたのが、「自宅兼事務所」。
これが、デトロイト市の目抜き通りに立っている奇抜な建物で、評価できるのかいな、という感じ。鑑定書に、数字は出ましたが、第三者が本当にこういう値段で、こんなお城を買うかは、私には、にわかには、判断がつかなかったです。
なぜって、2014年の視察旅行でも、お客さまをお連れしましたが、ここの周辺って、目抜き通りとはいっても、夜になったら、外出するのが、怖いような場所なのです。
なんでこんなところに住んでいるのかというと、歴史的な沿革があり、オーナーにとっては、ここが、地元のプレーヤーたちに対して、自己ポジションを堅持する意味があるのだとか、、、
特定されてしまうとプライバシー侵害になるので、ここら辺でやめますが、過去の仕事の実績などを見ると、確かに私でも知っている建物の改装を手がけたりしています。
なので、看板に偽りはないのですが、この商売のモデル、上に述べたように、
> とりあえず、よさそうな土地を大きめに買っておく
> 適当なプロジェクトが出てくるまで寝かせておく
> 資金が取れるまでプロジェクトは開始しないが
> 連邦の助成金が実際に支払われるのは、着手してから
とか、めちゃくちゃ、ビジネスモデルが、不安定じゃないですか!?
ストックは寝るし、資金繰りは不安定だし、コネがないとできないし、、、
この件は、資料を特に細かく審査し、担保に差し出された土地なども丁寧に確認をしたりしました。ウオーターフロントの一等地も含まれていましたが、満額で売れないことを前提に、担保は、融資額面の何倍も取りました。
そのようにして、現地と何度も打ち合わせを繰り返し、お客様に最終的に、私の思う情報とリスク要因をお伝えし、ご決断をいただいたのが、この案件です。
ここについても、細かい点は、今回は、省略します。
いずれにせよ、この業者さん、さすが、1990年代からデトロイト市で看板を張っているだけあり、毎月の返済も滞らず、2年後の元本返済もきちんと行われ、しかも、お嬢さんから、上のお便りが、届いたというわけなのです。
======《上のメールの概要日本語訳》=======
今回、ご一緒に仕事がやれて、感謝しています。タイトルエージェンシー(返済の決済のために使います)のケリーと会って、書類には、すべてサインをし、私のほうでやらなくてはいけないことは、終わらせてあります。融資を受けた際の抵当権抹消のための資金はすべて、タイトルエージェンシーに届いているので、来週月曜日に、ご返金の段取りをするということでした。
今、いくつかの案件が、私のところに届いています。今回きりではなく、御社と、継続的なウインウインの関係が築けたらというのが、私の望みですので、次のプロジェクトの打ち合わせをしたいですね。あなた様とあなた様のご家族に、愛と繁栄をお祈りしております。
かしこ
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融資期間中、名義関係書類に名前が連ねられている私のお客様には、なんども、市役所から、「固定資産税滞納通知」が来ました。
資金繰りの一環らしいのです。
デトロイト市の場合、固定資産税の不払いにより、差し押さえに入るまで、2、3年の猶予があり、この期間に、固定資産税をまじめに払っていては、資金繰りがうまくいかなくなるというわけです。。。
米国の役所の金利は、高いですが、更地仕入れなどのコストも高いわけで、つまり、典型的な「自転車経営」なのでしょう。
CPAにでも、資金繰り計画書を作らせれば、こんなことにはならないと思うのですが、そこが、小規模企業。CPAが本当に資金繰り計画を作れるなら、こちらにも、「金利は法外でも払うから、金を貸せ、ウインウインだから!」などという剛毅なご要望は、金輪際来なくなるかも、、、
このように、普通の小市民とは少し常識が異なる豪胆な小規模事業主のご一家様、今後も、ご発展をお祈りしたいと思います。こんな案件を取りまとめしてくれる現地パートナーには、実に感謝、感謝。現地に、リピート様ができている、わが融資グループなのでした。
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