すべてうまくいくことは、、、ありません!
初心者の方のご相談に乗る際に、時々思うことがあります。昔の私もそうだったのですが、それは、「按配がわからない」という悩みです。ちょっと反感を買うかもしれないのですが、、、
「すべてがうまくいってほしい症候群」は、こんな感じです。
__ 「日本の高額納税者様のモデル例」
■ 為替。例 2015年の今はドルが高すぎるので待つ。
■ 低金利でローンを付けたい。
■ 各種支払い後、キャッシュフローすること。
■ 税金対策のため、木造なら築22年以上で。
■ さらに木造なら、5年目に売却。
■ その際には少しだけ値上がりしてほしい。
■ 同じことを5年サイクルで毎年繰り返す。
■ 英語はだめなので全部日本語で。
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(すべての高額納税者様が、こうだといいたいのではなく、たまに、こういうお話を聞くことがあるということですので、一般化ではなく、単なるモデル化だとご理解ください。)
どの条件も、別段、「いけない」わけではありません。そして、多くの人が、こうした「複数の条件」を当然お持ちでしょう。高額納税者様の悩みはそれなりに深刻で、節税対策を考えられるのも当然だと思います。
しかし、よく聞くこの例は、いくつもの条件があり、これらをすべて満たす不動産投資をしたいというのは、私に言わせれば、虫が良すぎるのです。
これは、投資がまったくの初心者である方だけではなく、
■日本で不動産で成功されている方
■別のビジネスで成功されている方
なんかでも、お見受けすることがあります。
いずれも、「エントリーするに当たり、按配感がない理由」は、それぞれです。
初心者は、投資のコツがまったくつかめていないから。私なんか、若いときは、鼻っ柱が強かったですから、自分は、よその人よりうまくやってやるなんて、根拠のない傲慢そのものでした。当時の世間知らずが、恥ずかしいです。
と同時に、「不動産・ビジネス経験豊富な方」でこういうケースがあるのは、どうしてでしょうか?
ひょっとすると、それは、その方々が、「成功体験に達するまでの道のり」を忘れてしまっているからかもしれません。
ビジネスや不動産のベテランで、成功を収めている方であっても、たぶん、最初は、つまずくことが多かったと思います。またうまくいかないプロセスから、試行錯誤をする道のりを経られているはず。その間、最初から最後まで、すべての条件が最適化できていた人はいないでしょう。
むしろ、普通は、逆境から何とか間とかやっていくうちに、いつの間にか、成果が出せるようになり、そうなると、いろいろなことがうまく回り始めるのです。その段階では、よその人より、ずっとうまく成果が出せているかと思います。
しかし、最初の「起業の道のり」が遠く昔のことになってしまっている、そういう方の場合、投資やビジネスにまったく勘がない人同様、過去の起業の道のりではなく、直近の成功感だけを前提に、当初の期待をとても高く設定するケースに遭遇する場合があります。
しかし、対米投資は、「新たな起業」です。
冷静に考えてみると、米国は、昔も今も、世界から、金持ちが、お金をパーキング(置いておく)するために必死でやってくる国。競争相手は、「自国の政変に備えている人」だったりするわけで、真剣味は、こちらのレベルとは、まったく違うのです。そこで、値上がりする安定物件を、例えば一等地のマンハッタンやサンフランシスコで買うとなれば、「買わせていただく」感じになります。
なので、「外国人だけど、ローンを取りたい」といっている段階で、正直、こうした一流市場では、売主にとって、「それほど望ましくない買い手」になります。
外人がローンを取るなんていっても、売主は、「本当か?」と思うわけで、オファーをしても、二番手扱い。
現金で買うという別の方の買い付けが入った場合は、こちらの買い付け価格が、現金価格より高くても、NOといわれることになるわけです。
日本の減価償却方程式を前提に、木造の中古アパートを買えば、短期間で節税になります。節税対策のため、物件価格はできるだけ大きく、しかし、キャッシュフローはできるだけ多くしたい。
しかし、頑丈な集合住宅というのは、日本でも、海外でも、どちらかといえば、RCなわけで、節税額を大きくし、しかも、キャッシュフローも最大化するように、あえて、古くて大き目の木造マルチユニットを買おうという話になれば、空室対策、管理や修理に手間取る可能性が高まります。それに加えて「英語はまるきりだめ」となれば、自分でトラブルを呼び込んでいるようなもの。
自分の利益を最大化したい。
当然過ぎる欲求ではありますが、他方で、それでは、そんな自分のバーゲニング・チップは何なのかということを、売主や仲介さん、管理会社などの第三者から見て、判断することも同時に必要となります。
そして、実は、一つ一つの条件を課す毎に、自分自身の立場も、どんどん制約されることになっていくのです。
くどいですが、「ローンを組みたい」「キャッシュフローしたい」という二つの条件は、それぞれが、個別には成立しえても、同時にとなると、相互背反的なので、そのきしみは、上の例のように、「管理が大変になる」といった全然別の形で跳ね返って来かねないわけです。
ここで、あえて嫌われることを言います。
私の場合は、ご相談者様に、あまりいろいろ言われたら、投資家様は、「まだ、実際の投資準備はできていない」と判断し、フェードアウトします。
一応、「あらゆることを最適化することは、難しいと思いますので、何が最優先なのか、順位を絞っていただければ」とお答えはしますが、何度も、同じことをご説明したりするために、私からご連絡したりはしません。
それは、投資家様のリテラシーが低すぎることがわかった段階で、くどくどお話をするだけ、自分の時間が損だからです。私のような「大して働く気がないセミリタイヤ」族はもちろん、普通に仕事ができる業者さんやコンサルさんは、リピートのお客様を抱えていますから、みな同じだと思います。
それでも、あえて、この記事を書きたかったのには、実は、理由があります。
それは、こういうことをいっていると、どうやら、
「任せてください」
と、頼もしい言葉が聞ける場合があるらしいからです。それは、どうしてだと思いますか?
これ以上は、書きたくありません。ご想像に、お任せします。
ただ、私の考えを再度述べますと、この初級ステージにおいでの方が、次の、より現実的なステージに到達されるためには、一通り人の話を聞いたり情報収集をしたという、その次の段階として、「自分が何を求めているか」をじっくり考えなおし、投資戦略を絞り直す必要があります。
解決を「外」に、過大な要求という形でばかり求め続けると、逆に、ずっと深刻な問題を、引き寄せることになりかねません。
いろいろ情報を収集した後、どうしたらいいかわからないという方は、この自省のプロセスを、大切にしてください。この期間は、過剰な営業攻勢は、シャットアウトです。
また、「最初からすべてがうまくいくことはないです」とは申し上げたいですが、「何年もやっているうちに、だんだん、いろいろうまく収まるようになる」ことは、ありえますと、付け加えたいです。
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