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ところで、米国が貧困大国なら、日本はどうなるんですか?

対米不動産投資家中山道子です。

米国の貧困の問題については、私もたくさん書いてきました。弱小海外不動産投資家にとっては、アッパー米国市場は、「高嶺の花」。気をつけないと、貧困ビジネスになりかねないのですが、そうすると、管理、メンテナンスが、大変です。

2015年4月20日、ネットで面白い記事を見ました。

「貧困大国」アメリカは、衰退していくのか
人気エコノミスト中原圭介氏に聞く
三井 智映子 :フィスコリサーチレポーター」

という記事で、充実して読み応えがあると思いました。

しかし、記事に欠けていると思ったのが、この論点。

「米国が、貧困大国なら、日本は、何なんですか?}

世の中、自分のせいでなくても、(または自分のせいでも?)不本意な生活をしている人は多数おり、そうした方々というのは、世の中すべてに、「自分中心の結論ありき」。

「中国人が京都に来るのはうるさくてかなわない」(いえ、今後の日本は、観光立国の道を目指さないと、、、汗)、「ファストフードの店員ごときが、時給1,500円の要求をするなんてどついたろか」(第三者が、経営陣の考えを、勝手に先取りして、労働者の権利であるデモを非難する必要ないと思いますけど、、、)、エトセトラ、エトセトラ。

何でも、視野狭窄は、困りますが、実際には、そうした短期的視点に流されやすいのが、人間というもの。私自身、知識がないエリアでは、同じ状態なんじゃないかと思います。なので、第三者に対し、発信するときは、大体通り一遍のリサーチをしてから表明意見を決めます。

しかし、普通は、そこまで慎重になれないもの。そして、メディアというのは、時として、そういう相手に対して、巧妙な印象操作工作を行い、そのことにより、紙面を引っ張ろうとする、そういうビジネスなんだと思います。

さて、何がいいたいかというと、上の記事、まずは、一部御紹介させていただくと、、、


//////《記事引用。抜粋》

アメリカのGDPの7割は家計による消費です。中間層や貧困層は、働いて得た所得のほとんどを使ってしまいます。経済学的に言えば、消費性向が高く、貯蓄性向が低いのです。ところがそうした層では昨今、実質賃金の水準が低下し続けており、多くの家計でこれまでと同じ支出を維持できなくなっています。その一方で、富裕層は稼いだお金をすべて消費せず、その残りの額を再投資に回しています。アメリカのGDPの7割は家計による消費です。消費性向が低い人に所得が集中すると、供給に対して需要が足りなくなり、経済は成長できなくなってしまいます。

//////《記事引用。抜粋終わり》


中間層の役割論というのは、米国で、2008年、9年の危機を脱した後に、「マクロ経済は回復した、富裕層は前よりリッチになったのに、中間層が回復しない、貧困層は前より貧困になった」ということが、浮き彫りにされて、出てきた議論です。

研究熱心なこの経済評論家の方は、まさに、そんな議論を受けて、日本も、同じように考えないと、と指摘されているわけです。(日本のGDPにおける家計消費の比率は6割程度)

しかし、この記事だけを、さらっと読むと、「米国って大変なんだな」で終わりそう。

ところが、まったく別の観点から評価しなおしてみると、2015年現在、今の為替を前提に、最新調査を見ると、

■米国の貧困率は、17%で、日本は、16%と大差ない
■米国の世帯所得中央値は、5万3,000ドルで、日本は、4万ドル
■米国ではトップ2割の世帯が10万ドルを稼ぐ。日本ではトップ5%が8万ドル。
■米国では、世帯の5%が、100万ドルの資産がある。日本では、1%。

こういうデータを前提に、考えてなおしてみてください。米国が、「貧困大国」なら、日本は、何なんでしょう。。。

私でも一読して突っ込むくらいですから、コメンテーターの経済の専門家の方も、たぶん、こんなことわかっているんじゃないかと思います。

最後に一行だけ、

『FRBのイエレン議長も、バーナンキ前議長とは異なり、「何が何でもインフレにしなければならない」という愚かな執念は持ち合わせていないようです。物価上昇率よりも雇用の質を重視する彼女の姿勢を、日銀の黒田総裁にも見習ってほしいところです。』

という発言が日本に関連してされており、ここしばらく実質賃金が下がっていた日本の状況に対する警鐘を鳴らしたいといった思いがおありなのではと感じました。


しかし、「日本は本当にまずい、やばい」なんていう発言は、一般の方々は、聞きたくない。中国人に、日本で、我が物顔をしてほしくないのと同じです。東洋経済オンラインでは、「米国経済が危ない!」「中国経済の崩壊?」といった見出しのほうが、一般的な読者の方の共感を呼ぶのだろうと感じました。

しかし、私のブログでは、別に一般の方に対する人気取りも必要ないですので、私は思ったことを言います。日本は、本当にまずいと思います。貧困問題において、日本は、今後、米国に「追随」していくかも、といった「明日はわが身」的なメンタルでおいでの方がいるとしたら、認識が甘いんじゃないでしょうか。

統計ははっきりしています。

貧困層どころか、中間層、専門職にとっても、日本は、今、「稼げない」国になってしまっているのです。「ロースキルなファストフード店員ごときが、時給1,500円、月収24万も貰おうなんて、ばかばかしくて」というマイナス志向なネットの声は、まさに、「所得が長らく伸び悩んできた中間層」の悲痛な叫びでもあるのでしょうね。

しかし、「たいした仕事をしていない?やつらが、それなりの給料を取れる」ことが起こるとしたら、それは、株式市場の回復より何より、一般労働者層にとっては、賃金アップという、歓迎できる景気回復の兆しのはず。

今、失業率は下がっていて、賃金だけが上がっていないのですから、ここで賃上げ要求をしないで、どこでできるのでしょう?

車内のベビーカーが気に入らず、観光客の訪日を喜べず、同胞の賃上げ要求を支持できない今の現代日本社会の一面が、社会経済をさらに縮小させるなどということがないように願っています。

中山からのお願いです。
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