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値段は戻ったが、どこかが、違う?

対米不動産投資家の中山道子です。

全米不動産協会提供のスライドで、わかりよいものがあったので、最近の動向を見てみたいと思います。共有は自由にしてよい設定のようですので、こちらに、張っておきます。


Leadership Summit (August 2015) by REALTORS®

いくつか、抜粋させてもらいますと、まずは、このスライド。

債務処理関係の物件売買の数のここ数年間の動きです。だいぶ減っています。


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物件価格も順調に回復しており、実は、バブル期の価格を、越しています!市場は回復し、活況で、みんなが儲かっているのか??

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経済動向を見ていれば、「そんなにうまくいっているばかりでもないんだろう?」と思われて当然です。

売買件数が、まだ、戻っていないのですね。

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もちろん、「まだ、戻っていない」という意味は、バブルのときに比べると、「まだ」ということですが、バブルは、例外なわけで、バブル前の2000年の水準には、戻っています。

ただ、売買件数を見ると、この15年が、「失われた15年になってしまった」感はあります。関係者からすると、15年前への復活ではなく、数年単位での経済成長を実感するためには、不十分ですね。

ちなみに、下のスライドは、その実態に包括的に踏み込むものではないですが、ヒントを与えてくれそうです。

直近1年の間、売買件数の伸びは、25万ドル以上の物件について、より大きかったというデータです。

毎年のデータを見たわけではないのですが、市場ウオッチングをしている立場から、可能性として、「低価格物件は、手が届きやすいように見えて、それほど、売買が盛んではない傾向がある」ということになります。


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察するに、全体として、以下の傾向がありそうです。


■ 市場で最も回復が、または、伸びが著しかったのは、高額物件のあるエリア。サンフランシスコやその近辺は、大恐慌時、物件価格の下落すら経験せず、むしろ、一本調子にあがっていきました。

■ それに対し、同じカリフォルニアであっても、ベイカーズフィールドのようなところは、バブルの時期がトップ価格で、2011年をボトムとすると、回復機運はあるものの、全米統計そのままに、バブル時の価格を上回る、というような雰囲気とはいえません。
 
■25万ドル以下の中央値以下の割安物件を購入する層は、大雑把に決め付けてしまうと、「下半分エリア」に居住している「それなり属性」にしかならないわけですが、この層については、まだ、持っている物件のエクイティが戻っていないために、買い替えができない、または、自宅をフォークロージャーされてしまい、まだクレジットスコアが戻っていない、所得が下がって、頭金がためられない、物件価格の上昇は、緩慢か、不十分である、などのもたつきが続いている可能性があります。

■ 上に関連して、融資は、前は、頭金がなくても、誰にでも、割合、簡単だったのですが、今は、スコアがよくて、しかも、頭金を二割、ためるといったことが、必要になっています。そのため、一般的な属性の方は、家が買いたくても、手が出ないという状況が続いていそうです。

■ 外国人投資家の購買は、今、不動産取引において大きな役割を演じていますが、昔は、外国人でも、比較的容易にローンが取れましたが、今は、米国銀行では、外国人向けの融資は、限定的。ローンがあれば、物件を購入できる外国人層は、米国不動産投資できにくくなっています。

こう考えると、いつもの話ですが、ここでも、不動産市場は、明暗が分かれてしまい、「上のほう」では、物件価格は上がり続け、金利は低く、みんなは、よろしくやっている、しかし、一般市場の展望は、そこまでよくない、という二極化が、浮かび上がってきそうです。これも、大雑把な決め付けで、細かく言い出せば、状況を説明しきれるとはいえませんが。

しかし、概観を続けてしまうと、新聞の見出しでおなじみになってきた「経済は活力を復活させたが、一般人は、依然、生活苦を訴える」みたいな感じでしょうか、、、

外国人ミニ投資家にとっての影響も、考えてみてください。

ぶっちゃけ、外国人のマイナー投資家やサラリーマン大家さんが、キャッシュ中心で買う物件、1,000万以下の頭金を投入して手が出る物件というのは、まさに、額面25万ドル以下が中心になってしまいます。というのも、資産がある程度ある方でも、アウエーなわけですから、一軒に、それほどの勝負はしにくいでしょう。

しかし、こういう動向を前提とすると、この価格帯の物件が、大きくエクイティを増やしていく将来展望というのは、難しい可能性もあります。あがるとしたら、インフレ・スライドとか、エリア成長率とか、そういう感じですね。

エクイティが増えた部分の多くは、よく言われるように、テキサスやサウスキャロライナ、ノースダコタのような新興エリア、それと、ベイエリアのような、「富裕層御用達」エリアで起こっているはずで、「フツーのアメリカ」では、それほどの効果は、いきわたっていないはずです。

つまり、高額物件のほうが、それなりのリターンを見せていく可能性がより高いのです。ただ、高い物件を買えば、儲かりやすいかといえば、「高ければいいだろう」という話ではないでしょうし、そもそも、メインテナンスや固定資産税が割高になります。通常、高い物件、周囲の実需志向が高いほど、賃料利回りは、目標リターン的には地味になり、3パーセントといったものになっていきますので、そこはそこで、「罠」がありうるのであって、やってみると、減価償却以外は、汗をかいただけということもありえます。

ベテラン投資家様が、「今は、いい物件がない」と嘆く日本でもそうかもしれませんが、不動産投資は、「自分でエクイティを作る」時代になってきました。どうやったら、エクイティができるか?

それが簡単にできれば、世話はありませんね。(笑)また、別の投稿で取り上げられればと思います。


 

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