米国式格差社会の教育費差は USDAの資料より
対米不動産投資家の中山道子です。
2016年もはや、6月となりましたが、皆様は、夏の予定は、お決まりでしょうか? お子さんがおいででないかたは、「考えてなかった」というかたも多いかもしれませんが、お子さんがおいでの方は、私同様、子供の夏の過ごさせ方で、大いに苦労しているという場合も多いのではないでしょうか。
今日は、不動産プロパーというより、興味深い資料があるので、「教育ネタ」です。
米国での子育て費用も、今、高騰を極めていますが、これも、余裕がある層とそうでない層についてみると、なんと、その差は、2.5倍。
USDA(農務省)データを見てみましょう。
関係サイトは、こちら。
USDA Cost of Raising a Child Calculator
属性ごとに入力すると、「その世帯属性に応じた平均支出額」が、農務省がとる統計から、算出される仕組み。
これで見ると、
「夫婦が子供一人を育てる場合の全米平均数値」
は、
■ 所得6万1,000ドル以下についてみると、毎年、1万ドルほど
■ 所得6万1,000ドル以上についてみると、毎年、1万6,000ドルほど
■ 所得10万ドル以上についてみると、2万7,000ドル弱
と、実に、第一グループと第三グループで見ると、2.5倍程度の差が出ます。
農務省では、こういう調査を定期的にしていて、2013年の最新レポートをはじめとして、2013年に生まれた子供の教育費の内訳が、下のリンクから、読めます。
Expenditures on Children by Families
興味深いのは、米国での「子育て費用」の一番大きな支出は、実は、教育や託児費ではなく、HOUSING、つまり、住居関連費用であるということ。
どのグループを見ても、上の金額の最大額を占めています。
10万ドル以上の世帯についての2万7,000ドル弱のうちのHOUSINGの占める額は、1万1,000ドルほどといった具合で、高額所得世帯でも、教育・託児費7,000ドル未満より、ずっとかかっていますね。
他方、日本では、「子育て関連費用」には、「養育費プラス教育費」という計算方法が一般的なようで、「大学卒業まで、3,000万」といった数字が踊っていますが、それらには、普通、住居関連費は、入っていないようです。
日本の例
ALLABOUT 少子化を取り巻くキビシー現実 「子供1人に3000万円」part2
日本も、住居費は、当然、相当高いですので、これらの数字に、「子供を持つことによる住居関連費増加」を計上すると、世界の大国米国より、実は、子育て関連支出は、実質、高いのかもしれません。
日本は少子化が著しく、そもそも、結婚自体が、「住居費の問題でできない」という議論がされていますが、出産率についても、政策側が、こういう、”子育て関連費”の本当の現実を度外視するデータだけを、わざわざ、定例予算を組んで、算出し、それをもってことたれりとしているのであれば、問題ですね。
本来、政府データの取り方をモニタリングするのが、研究者、大学関係者やシンクタンクの役割のはずですが、現在の日本では、米国でよく見かけるような大規模な調査を、独立して行う経済力がある研究機関というのは、もう、存在しないように見えます。
データのとり方、読み方、読み手が、ますます、気をつけていきたいですね。このブログの皆様には、「国内の日本語情報だけでは、世界から取り残される」故をもって、ぜひ、海外(米国だけではなく、いろいろな目配りが必要でしょう)との比較の視野を意識しながら、行動し続けていただきたいです。
参考
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