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トランプ大統領の税改革案

対米不動産投資の中山道子です。昨日は、顧問弁護士から「営業」があり、彼が担当した私のある投資案件において、保険会社を訴えられるので、「フルコミッション」で、やらせてくれないかということでした。

どういうことかというと、名義保険をかけていたのに、私のその物件は、建物と敷地部分に2つのTAX IDが割り振られていたのが、敷地部分については、名義書換の段取りに見落としになっていたのです。

その点については、結論から言うと大したトラブルにはならなかったので、あまり気にしていませんでしたが、言われてみれば、たしかに補償の権利はあります。フルコミなんで、勝手にどうぞと言いましたが、私の弁護士は、実害がどれほどあったと主張するつもりなんでしょうね。アメリカ、資本主義、万々歳ですね。。。(皮肉です、念のため。実際には、こういう訴訟社会のあり方は、どうなんだろうと思いますが、システムの中にいるので、プレーヤーにならざるを得ない感じです。。。)


さて、昨日、去年のVIPセミナー参加者様から、トランプ大統領の税制改革と私のやっている短期融資投資案件の税率についてのご質問がありましたので、ブログで取り上げます。

以下は米国人、グリーンカードホルダーまたは米国にビザで居住している人以外について、一般の在外外国人についての言及です。原則、日本居住者をイメージしてください。また、大体の概要をご説明するため細かい点は省きます。その為、不正確に見えたり、具体的に判断がつきにくいかもしれない記述があります。ご本人の申告についての詳細は、税理士にご相談ください。

普通の不動産投資の場合、

1)個人名義で投資
2)日本法人名義で投資
3)米国法人名義で投資
4)日本、米国以外の法人名義で投資

の4つの方式が可能ですが、基本、どれも、不動産が米国にある限り、税率は米国では同じです。

短期融資案件の場合、2)、4)のオプションはありません。海外法人名義で投資する場合、米国法人とみなすというIRSの通達があるからです。

そして、

1)個人名義で投資する場合は、日本で雑所得としての申告のみで、米国では申告しません。

そのため、手間は省ける反面、日本での納税率が既にマックスになっている方には

3)で米国法人名義での投資

をお勧めしています。もちろん、1,000万だけの単発投資では、面倒のほうが多いので、その場合でも、個人名義がおすすめですが、イメージとして、1億円、2017年4月末の相場ですと約90万ドルですが、それくらいの資金を運用するとすると、年度末に1割利益が出ると、1,000万、高額納税者の場合、この半分以上を日本で申告することになります。米ドルでホールディングしているわけですから、納税のため、日本円を別のところから手当するか、ドルを日本円に持って来直す必要も生じます。

それに対し、将来に渡って余裕がある資金を注入して投資用の米国LLCを作る場合、日本では、当面、資金を自己名義で還流させるまで、米国での納税だけをしていればいいことになります。(国外財産調書にはもちろん乗ります。)

そして、米国での個人レベルのLLCの今の税率は、個人税率と同じ、ただし、各種控除はあまり使えないので、基本、以下の感じになります。


IRSサイトから、2016年個人納税率


一人オーナーは結婚していても独身者の納税率になるので、8万ドルが利益として残った場合、税額は、連邦税が

$5,183.75 plus 25% of the amount over $37,650

という数式に該当し、

5,183.75ドル+(42,350×25%)=15,771.25ドル

になります。話を簡単にするために、控除はゼロで計算しましたが、配偶者控除や医療控除は付けられませんが、パソコンや視察旅行、関連セミナー参加などのビジネス経費は計上できます。

これに、州税が通常、5%弱かかります。私がやっているミシガン州ですと、4.25%なので、上に加え、3,400ドル。物件の所在地で決まりますので、ネバダ州でLLCを作っても、変わりません。

8万ドルのうち、2万ドル弱、つまり、税金として収めなければいけないのはこのうちの24%となり、高額所得者の場合、日本で個人で申告するより、少なくなる計算です。

もちろん、そのかわり将来、個人口座に戻す場合はその段階で、日本で申告することになります。(米国では一回の申告納税で終わりますので、この二度目のステップにおける申告は不要です。)

LLCに基づく投資の最高税率は39.6%です。LLCの純利益が41万ドル以上の場合です。

今回、トランプ大統領の提案だと、このLLCの税率が、最大15%になることになります。

ただ、概要発表はまだ相当アバウトで、詳細はわからず、また、共和党の中でも批判が多いと聞いていますので、どうなるかは、予断を許しませんね。

法人税を下げることで、経済全体にトリクルダウン(利益が上方から下方に流れて全体が潤う)するという証拠は別になく、実際、法人税を下げたイギリスなんかはその顕著な例だそうです。

むしろ、そんなことをしても、逆に財政困難に陥るだけで、別にいいことはないのではないかとも思います。海外に流出している米国資金が還流するかも、という期待には、特に根拠はないのではないかと指摘されているようです。

また、この動き、短期的には確かに「歓迎」かもしれませんが、長期的に、本当にこんなことでいいのかということは、「利益を得る側」も考えてみるべきではないでしょうか。

冒頭の「保険会社を訴えれば、リスクフリーで利益が手に入るかも」という私の状況と同じで、そういうことをみんながやりあってきたために、米国という社会は、保険の料率がどんどん高くなり、誰しも弁護士費用がビジネスのコストとして必然化し、しかもお互い胸を開いて誠実な付き合いをすることは不可能、そんな殺伐とした社会になってしまっています。

長期的、大局的に言えば、零細規模であっても、不動産投資家が健全な利益を得るためには、他のあらゆるビジネス同様、安定した中産階級(投資先)が必要。賃貸経営のために物件を買ったそばから、エリア内で賃借人層の所得がどんどん目減りしていったり、あるいは、投資しようにも、良いエリアは、高級化しすぎて投資の対象にならないといった状態を想定してみてください。米国居住の顧客様と話をしても、自分自身、そこそこのエリアに住んで子供を「普通」の公立に行かせる、そんな期待すらがままならなくなってきた、それが今の米国だという認識は共通しています。

日本も高齢化が問題ですが、先進国にあって唯一人口が増えている米国も、いろいろな改革が提示される中、昨今の所得格差/二極化問題、恒常的な貧困問題は悪化する一方な気がします。。。


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