出身家庭の所得と大学
アメリカ不動産投資の中山道子です。
米国不動産投資をされている層は、教育熱心な親御さんであることが多いので、今日は、ご参考までに。
米国の大学への留学をお子さんのために考えられている方にとって、米国在住でない場合、一般的なランキングくらいしか、参考にする余地がないかと思いますが、しばらく前のNYTには、なんと、
「大学ごとに、在学生の出身家庭の所得」
が調べられるインタラクティブな記事が出ましたので、よろしかったら下のリンクをどうぞ。
Some Colleges Have More Students From the Top 1 Percent Than the Bottom 60. Find Yours.
例えば、「家庭の所得ランキングナンバーワン」のワシントン大学セントルイス校、実に
「親の所得の中央値が、30万ドル近く」
「84%が、トップ20%所得家庭から」
なんだそうです。
高額所得者様でも、こんな大学なら、お子さんが同級生とお付き合いしても、「安心」ですね。。。お金持ちが、この学校にお子さんを行かせるモチベーションは、そういうところにあるのでしょうか。大学で知り合った相手と結婚してもらうほうが、世間に出てから知り合った人と結婚されてしまうより、家庭環境、価値観が合う相手に出会える可能性が高そう。親同士も、ビジネスとか同窓のネットワーク、コネになること、間違い無さそうですね。
比べると、国際的に名前を轟かせるハーバードに行く学生の出身家庭の所得の中央値は、16万ドル強で、単なる中間層。大学教授かホワイトカラーの管理職なだけ、あるいは夫婦で働いてようやくこんなところかなって感じでしょうか。。。一応、67%が、全米上位20%に食い込んで入るのですが。
米国では、大学進学時に、所得によって、大学に払う額がそれぞれ違うので、ほぼ全員が、親や本人の所得を証明書類付きで大学側に提出し、所得が低めであれば、有名私立なら、学費は安くなります。
なので、例えば、東京で親が年収800万のお子さんが、ハーバードに合格し、家庭に大した資産がなければ、学費の心配をしなくても、ほぼ確実に、卒業させることができます。
所得1,500万円以下位で、資産があまりなさそうなご家庭でしたら、「学費が高そうな高級私立のトップランキング」を狙うのが吉。(ただ、こういうところの合格率は5%前後で、宝クジの要素も入りますので、相応の学力があっても入れるとは限らないように見えますが。)
それに対し、微妙なのは、年収2,000万の人や、所得はそれほど高くないけれど、資産が少し多めな人でしょうか。
どの大学にも、「アバウトに、我が家の経済状況なら、合格したらどれくらいの費用がかかるのか」を計算する計算機があり、ハーバードの例で見てみると、
1)年収800万、資産2,000万、家族4人のご家庭出身者なら
今のレートで、寮での生活費を含め、年間50万位覚悟してくれれば、後は全部カバーする!と出ます。米国人でなくても待遇は同じなのは流石ですね。
これが、
2)年収2,000万、資産5,000万、家族3人のご家庭出身者となってしまうと、
年間600万は必要になる
と出ます。
他にも、損をするケースが、所得は低いのに、資産は沢山ある場合。
3)年収600万、資産1億円、家族2人は
年間500万のご請求
が立つ、と、家族のプロフィールによって、必要になる学費はまちまちなんですね。
米国の世帯年収の中央値は、だいたい5万6,000ドル位ですが、「子供がいる二親世帯」の所得は、今、8万5,000ドル位が中央値です。
2017年現在の為替だと、年収1,000万ですから、日本以上に、「子育てに覚悟がいる社会」です。
ちなみに、この前、「”自分が宅配ピザがいかに好きか”について書いた作文(エッセイ)」がウケたということで、なんと名門イエール大学に合格になったと報道された高校生がいましたが、この学生さんは、天下のイエールを蹴って、奨学金のオファーがあったということで、アラバマ州立のオーボーン大学というところに進学したそうです。
Williamson student writes about pizza, gets into Yale University
記事によると、家族の中で大学に進学したのは彼女が初めて。
多分、イエールは、奨学金は、経費全額のオファーではなく、オーボーンは、生活費も合わせた丸抱えだったのでしょう。アルバイトすれば、イエールも行きたければ行けそうなんじゃないかなと外野は思いますが、。作家マルコム・グラッドウエル氏のベストセラーで有名になったコンセプト、Big Fish Small Pond 戦略ですね。
全面的な奨学金が欲しい場合は、自分の立ち位置が、その大学の在学生中のトップランク数%でないと。イエールに行って、「フツーの学生」をやるより、オーボーン随一の秀才を目指してほしいですね。
そもそも、学力やIQが高い人が全て、社会経済環境にかかわらずアイビーに行ってしまうと、普通の社会と、そうした学歴アッパー社会との均衡がますます取れなくなるということで、アイビーリーグなどの有名校による「優秀な人材の独占の傾向」を憂う人もいますので、ここらへんは、ライフスタイル的な選択で、どちらが吉でどちらが凶かという問題ではないともいえるでしょう。
ただ、実はオーボーン大学も、有名州立大学の常で、出身家庭は、世間一般から見れば、高額所得。インタラクティブ資料を使って調べると、家庭所得中央値は14万ドル強で、世間相場の3倍近く、イエールが20万ドル弱であるのと比べて、そこまで格差が大きいとも言えない気がします。
そう、多くの親の年収が1,000万以上であると言われている東大と同じで、米国も、有力な州立大学の親は、みんな、当然のように、「年収10万ドル以上」をクリアしているのです。さすが人口の多いアメリカ、高所得者の層も厚いです。今度、サウスキャロライナ大学の卒業生(親の所得中央値10万ドル)に会ったら、そのことを、ぜひ、思い出してください。(笑)
しかし、これだけ色々わかるって、すごいと同時に、怖いですね。
みんな、この便利なチャートを見て、「自分に合う大学は、ここかな」と、”自主規制”できるという。。。アメリカ人も、実は、日本人以上に、大いに空気を読んでいる、「階層」ごとのクラスター化は、日本よりずっと可視化している、そんな結論が確認できたのでした。。。
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