与信トラブルで購入オファーが無効に
対米不動産投資家の中山道子です。
数年前、2013年に不動産市場でまだ回復が始まっていなかったとき、シカゴで購入したお客様の物件が、現在、FOR SALEなのですが、この前は、買い付け証明が届いたのに、すぐにダメになってしまったということがありました。
与信トラブルです。
物件購入の際には、不動産協会が作っているテンプレートを使うのが一般的。そこには、どうやって購入するかということを選ぶセクションがあり、「融資が取れなければ買わない」といった条件付きのオファーが可能です。
通常、キャッシュで買うのは外国人(米国ベースの融資がとりにくいから)や投資家だけですので、平時には、圧倒的に多くのオファーが、融資を条件とすることになります。
今回、お客様のコンドに来たオファーは、融資が条件。こういう場合、銀行が融資をする蓋然性が高いことを証明するPREAPPROVAL LETTER(融資審査仮合格書とでもいうのでしょうか)というものを通常もらいます。
融資を取るときは、日本のように、特定の銀行から仮審査合格書が来るというより、通常は、複数の銀行の融資を仲介する融資ブローカーからの書類が来ることのほうが一般的です。
ということで、買い付け証明が来たとき、レアルたーさんからは、融資についてのPREAPPROVAL LETTERが来るまでは、確定ではありませんから、という断りはありましたが、実際、このオファーは、なんと、そのレターが取れず、頓挫しました。
理由は、なんと、最新の与信照会を行ったところ、「購入希望者の兄弟が彼のクレジットカードを使いこんでしまっていた履歴が出てきて、それを直すのに時間がかかる」ことでした。
一度与信に傷がつくと、自分のせいでなくても、クリーンアップに相当な手間がかかるのは確か。下手をすると、何か月も電話で対象金融機関と取ったり、内容証明通知を出し続ける羽目になりますし(仕事を休んで?)、弁護士を雇ったりすれば、それに加えた出費は何千ドルといった額になっていきます。
このケースの具体的な事情は分かりませんが、最近は、IDENTITY THEFT保険は、誰にとってもマストであるということを言いだしている人も多いようです。他方では、自分自身でこういうことができる有能な人にとっては、自分のクレジットカードや銀行口座の確認を怠らないこと、個々の金融機関のポリシー確認など、日々の注意で、リスクをほぼ軽減できるといっている場合もあります。
米国で自分の与信の管理をするのは、資産防衛の一番の初歩ポイントかもしれません。
最近は、MINTやPERSONAL CAPITALといった無料のオンライン家計管理サービスが広まっており、自分の口座をすべてリンクさせると、そこだけを見れば、すべての口座の最新状況が手に取るようにわかり、便利です。
もちろん、QUICKEN(会計税務申告ソフト)といった昔からあるサービスでも同じことができます。
生活が複雑化するにつれて、必要とされているファイナンシャルリテラシーや情報処理委能力のレベルは、高まるばかり。私も、パソコンに向かっている時間の相当部分を、何らかのレベルで、資産管理活動に使っているような気がします。昔、普通に出勤して、「外の仕事」(?)をやっていた時は、どうしてそんなに長く外出して、自己資産管理と全く別のことをする時間があれほどあったのかと思うくらいです。もちろん、若いころは、資産はそれほどなかったんですが、逆にいうと、若い時から資産管理ということの重要性がわかっていれば、もっとずっと早く、経済的自由が達成できただろうなと思います。
社会がこれだけ変わっても、教育は、私の若い時と変わらないようで、残念ながら、高校や大学では、いまだ、そうしたことを学ぶことは難しく、高校や大学でよい生徒、学生であっても、資産管理イシューに通暁しているということには直結しないようです。
今回、私のお客様にとっても、売買契約が成立するかと思ったら、いきなりケチがついてしまい、がっかりですが、あこがれの自宅購入を希望していたローレンス君(実名登場!)にとっては、期せずして、信頼できると思っていた家族に足を引っ張られるというショッキングかつ苦々しい学習経験となってしまいましたね。
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