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Quitclaimとは何か 権原放棄/委譲

この前頂戴したお便りです。

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中山さんのブログに関しては、時々読破するのに気の遠くなる感じがすることがあります(汗)
もちろん情報量が膨大なためなのですが、これほど多くの情報を無料でシェアして頂き、
読むのが大変だと弱音を言えること自体がものすごく贅沢な悩みだと思います。

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がんばってアップしてきた甲斐がありました。


今日は、クイット・クレームという書類について。

Quitclaim deed【quit claim deedと書く場合もある】という書式です。単に、略式には、quitclaimとか、quit claimと呼びます。QCと表記する場合もあります。発音は、クイットクレーム。

これは何かというと、正確に日本に同様な書式がないので、弁護士先生が使うような英米法辞典でどう訳されているかは、私は、確認していないのですが、権利放棄証書といったところでしょうか。

Claimは、日本語化しているクレームという言葉そのもので、ここでの意味は、権利を主張する、という意味のクレーム。

Quitは、やめる、ストップするですね。

つまり、「これこれの物件に対する自分の権利を主張することを放棄することを法的に約束する」書式です。

なんで、譲渡契約書のほかにこういうものが必要なのかといわれれば、あるいは、大陸法的には、論理的な説明はないのかもしれませんが、英米法はコモンロー(慣習法)の国ですから、昔から、そういう形の書類があったのだとしか言いようがないのではないでしょうか。

この書類は、権利を放棄する人間が、権利を有していない場合も使えるのが特徴。簡易な書式なのです。って、どういうことか?

用途は、いろいろ、あります。ある意味、大変、重要な書式です。

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クイットクレームの用途の例:

■夫婦間の財産法に関連し、既婚オーナーが、、配偶者とは別の単独所有形態を希望するとき、その旨の夫婦間合意を、第三者に公示するため、「一筆入れてもらう場合。」離婚時トラブルを事前回避するため、婚姻中に単独取得する物件を登記するとき、あらかじめ、使ったりします。

■売買の実体がないのに名義が変わるとき、オーナーが、名義書換登録を一方的に指示する。この方のように、自分の所有する会社による物件所有へと切り替える場合、資本の現物出資であって、売買ではないので、この書式を使います。

他にも、投資家間の現状ママ(現状有姿、物件の状態のみならず、権原についての現状ママも含む)取引、、、

コストは、通常、recording fee(登記代)程度。日本のように、夫婦間であっても、名義を書き換えると、何十万単位の登録代(登録免許税 不動産の固定資産税評価格×4/1000、登記事項証明書1通につき1,000円)がかかるのと比べると、便利にできています。

また、これは、名義書換の手続きなので、その実態が何であって、申告を要するか、また、どう申告するかは、アメリカの税理士と相談して、IRSや州への確定申告で計上する問題です。

これ以上、細かい説明をししても、まったくわからないかもしれません。

日本の民法は、本来、大陸法系、つまり、「まず条文を作っていく」スタイルの、ナポレオン法典やドイツ民法が基礎となっているので、本来、ロジカルに、できている建前です。

それに対し、英米法は、「こうなっている」「こう使う」といった説明であって、なぜ、のようなことをいちいち聞いても、「それはね、歴史をさかのぼると、イギリスの荘園制の時代に、領主の息子の相続問題や軍役問題を回避するためにね、、、」といった話に陥りがちなので、深追いしても本当に仕方ありません。

クイットクレームに限らず、不動産関係の書式には、古語が出てくることも多く、know all men(ここにに衆人に知らしめることとす)とか、unto(に対し)とか、herewith(これをもって)とかいった「今じゃ使わないよ!」的な古文が、バシバシ出てきます。別段、意味が通じれば、現代語にしてもいいと思うのですが、これも、「そういうスタイルの書類だ」と思考停止するしかありません(笑)。

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