SNAP食糧支援プログラムとは何か 賃貸経営にとっての意味は?
対米不動産投資の中山です。
SNAPとは、 Supplemental Nutrition Assistance Program (SNAP)、昔で言うFOOD STAMPS、低所得者層向けの連邦食糧支援政策です。
今日の話題は、SNAPCHATのことではありません。(そっちもすごいですが笑)
今でもフードスタンプと略称することが多いですが、低所得者層に対しては、現物支給しないと、ギャンブルや麻薬に使ってしまう人がいる、という話で、受給対象となると、デビットカードのようなものを支給し、スーパーで毎月規定額まで、食料品を買うことができるのです。
低所得者層への賃貸をする場合は、管理会社は、通常、
> 家賃補助 SECTION 8
> 食糧支援 FOOD STAMPS(今はSNAP)
を所得として計算します。例えば、
月間所得
家賃補助600ドル
食糧支援権600ドル
アルバイト収入600ドル
と言った感じですね。これで、月間所得が1,800ドルになると、その3分の1の600ドルの家を借りるための審査に合格したことになります。
大統領選における先のバーニー・サンダース候補者の躍進なんかにも見られるように、低所得者層の貧困問題は、最近は全米レベルの社会問題です。
ここ数年、リベラル系シンパの中で流行しているのが、「SNAPチャレンジ」。
どういうことかというと、
「貧困層の健康問題、困難を思いやってみよう。そのためには、1ヶ月、自分も、SNAPの範囲で食事をしてみる挑戦に体当りする!」
というもので、具体的には、最新のSNAPプログラムの支給額は、
<人一人あたり、1日4.5ドルで食料をすべて賄う一ヶ月>
らしいのです。(2017年)
しばらく前に、女優のグウィネス・パルトローも、このチャレンジに挑戦し、「一般ピーポーの気持ちになってまーす♪」といったツイッター投稿をしていたようですが、1週間のSNAPの予算で、あまりに非現実的な買い物をしていたので、逆に、「金持ちの浮世離れ度」が明らかになってしまい、ブーイングされてました。
今の課題は、下のようなところでしょうか。
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数世紀前までは、富裕層が太っていて、貧困層が痩せていたが、今は、肥満と健康の相関関係が高いことがわかり、資産家層や教育の有る層では、肥満率は低く、低所得者層では、逆。理由は、安く買える炭水化物や高カロリー食などの比率が高いため。この結果、この層の子供の3分の1は、糖尿病予備軍。こういう状況の人たちは、医療費でも社会への負担となり、しかも貧困を再生するので、なんとかしないと!
===
こうした認識が広がり、学校に炭水化物や炭酸飲料の自動販売機をおいたりすることが禁止されたり、といろいろな取組みが見られています。
SNAPチャレンジは、その一環で、ソーシャルアウェアネス、社会意識を高めるために行うことらしく、リベラルで有名なハフポストの紙面には、挑戦者の記事がズラリ。
みんな、フードチャレンジの苦痛を体験し、「(SNAPプログラム縮小を目指す)共和党関係者は鬼!」とか、「長期的にこんな食生活は想像できない」とか、すごいな、、、
ちなみに、我が家は、この予算が標準なんですが、、、
別にSNAPチャレンジをやってるわけじゃないですが、たまたま調べたら、一人あたり、一食1.5ドル、一人について、一月135ドルとあり、我が家は、毎月の食費目標は、親子二人で一ヶ月300ドルと決めて、記録してるんですが、北米に来て1年以上たち、ショッピングのコツも分かってきたので、大体、毎月、余るんです。
我が家の食生活は、こんな感じです。
> 外食は基本しない
> 野菜、炭水化物、タンパク質をバランス良く、好きなだけ食べる
> ジャンクや甘いものも食べる
つまり、普通です。
子供のお弁当も、この予算に入っています。また、炭水化物は、パスタと白米以外は基本、精製されていないブラウン系です。
予算組み立ては簡単なんで、一生に一度だけ、1週間、SNAPチャレンジをして貧乏な人の気持ちになる必要はありません。
私自身が、このフードチャレンジを自分に課している理由は、簡単で、
「子供に、しつけをするため」
です。
いまより予算を高めに組んだ生活をすることは可能ですが、これから自分で生計を立てていかなければいけない子供にいい影響はないと思うので、「食費は月額300ドル以上買わない、家計簿は子供につけさせる」をルールにしています。
私自身は、父のしごとの役得で、子供の頃は、家族ごとファーストやビジネスクラスで父の転勤先に行き、住み込みのコックさんがいたことまであります。彼の奥さんがお手伝いさんでした。海外居住手当がないときは、質素な生活だったんですが(笑)、でも、家庭では、お金の教育は受けなかったので(お金の話は下品だからみたいな、、、)、おとなになって起業した後、めちゃくちゃ苦労しました。
稼ぐ方は結構できていて、収入は大体、常にあったんですが、自営はサラリーマンと違い、毎月決まった収入でないので、当初は、ほとんど、収支が合わせられなかったという、、、涙
そんな苦あい/恥ずかしい経験があるため、子供には、鉄は熱いうちに打て!なのです。
なのでこの歳となってみると、こういう報道、「こんな低い予算で生活ができるか!人権尊重しろ!!」みたいなのみると、私は、共和党支持者ではないですが、中西部拠点ということもあり、いわゆるCOASTAL LIBERALS(両海岸の民主党派)とは、話が合わないなあ、非現実的な人たちだなあと思うこと、多々ありますね、、
大統領選の時のクリントン候補優位報道も、「ほんとかな??やばそうだけど?」という感じで、見ていました。。。
食料について見ると、多くの先進国で、家庭内における食料品の無駄な廃棄など社会問題化しているようで、そうしたマクロな観点からも、「無駄を出さない、食料を大切に」という堅実な姿勢を出発点にするべきだと思います。こういうリベラル論客の方々、実際には、グウィネス・パルトローと大差なく、遠くアフリカの黒サイ絶滅問題くらいの距離感でしか、社会的実態を知らないんじゃないでしょうか?
長年中西部不動産管理業をしてきた経験からいうと、多分、低所得者層に必要なのは、
> 支援額増額
より、(貧困は広がっているので、支援対象者数を減らすことは良くないと思います)
> 家庭科教育
だろうと思います。
この層が困っている理由は
<その1> 貧困層居住エリアには、安いよいスーパーが近所になく、足がないこと。
米国のインナーシティーでは、良いスーパーとかやおやさんとかはなかなか出店できません。郊外のほうが便利なのです。出店しても危険があったりするしで、ボランティアでNPOが八百屋さんとかレストランを経営することがあるくらい、生鮮食料品店を探すのが難しいです。
そのため、ショッピングは、基本、車。車が1台しかなくて、配偶者が仕事に行ってしまったとか、壊れているとか、ガソリン代が足りないとか。アジアや普通の大都市なら役に立つはずの自転車というのは、北米では、所得がある人と教育レベルの高い意識の高い人しか使っていないイメージです。
私自身は、冬以外は買い出しは、半分は自転車で(卵を買うときは無理)、またリストを作ってあり、アイテムごとに、「このアイテムはこのスーパーのこの商品」と、いちいち、お買い得度の差に応じて、決めてあります。アイテムによっては、ウオルマートよりDOLLARAMAや他のスーパーのほうが安いことが多いので、貧困フレンドリーと有名なウオルマートでの購入は、全体の4分の1くらいなのです。
それに対し、こちらの低所得者層の人たちは自転車の乗り方も親から教えてもらってないのかなあと思うことがままあります。黒人が自転車嫌いというのは、よく指摘される社会学的事実です。
<その2> 料理ということをしたことがなく、調理方法がわからないこと。
この層は、親の代からして、朝食はシリアル、夕食というとピザの宅配だと思っているような家庭で成人しているので、調理ということが殆どできません。日本のように家庭科で調理を学ぶという授業もないのです。そもそも、困窮していないアメリカ人ですら、パックのオレンジジュースやリンゴジュースが、ヘルシーな飲料だと思っています。(ビタミンCは添加されているが、めちゃカロリーが高い)
野菜を上手に調理するのは難しいと私も思います。こっちで外食時に出てくるサラダに既製品のドレッシング、私も、基本、まずいと思います。あれしか知らなければ、野菜が嫌いでも、不思議はありません。
== 我が家の1.5ドルの食事 ==
私なら、今、夕食1.5ドルの予算といわれれば、以下の献立が組み立てられます。
300グラム以上のサーモンのグリル
玄米ご飯お椀2杯
サラダ(ケール、トマト、玉ねぎ、きゅうり)
各種調味料
サーモンは、今月、一切れ(350グラム近くある)が高級スーパーで特売だったので、99セントで16切れ買い、冷凍してあります。普段なら、一切れが、5.77ドルなんですよね。信じられません。なので、今月は、肉はあまり食べてません。笑
トマトは八百屋さんで特売で14個2.99ドル。きゅうりは巨大なものが99セント(日本のきゅうりの3本分です)、ケールひと束2.5ドル、玉ねぎは、20ポンド(8キロ)1.57ドルの小玉特売バッグを食べてますが、これ、6週間持ちます。この玉葱、小さいものばかりなので使いにくく、ここのところ、子供の週末の家事リストには、週に1度、玉ねぎを剥く作業も入ってます。いずれも、安い時、ここらへんが底値、という価格ですが、毎月、いずれかの野菜については、こういう値段に遭遇できるので、それほど非現実的な設定ではありません。
別に常に格安食材ばかりではありません。ドレッシングは、自分で作りますが(まあここは節約ポイントですね)、普通のオリーブオイルよりずっと高い350MLで14ドルの亜麻仁油を専用で使ってます。これは、オメガ3という普通は魚にしか入っていない脂肪酸が入ってるので。2ヶ月ごとに買い直し。お酢はバルサミコ酢でも日本よりずっと安いですね。
一切れ99セントの鮭なんか、再現性がないだろうといわれればそうですが、本当に定価で1.5ドルでやりくりする場合は、サーモンの代わりに、定価99セントのツナ缶なんか使えます。そうすると、親子で合計2回位、つまり、4食分位、つまり、更に安く食べられます。
ツナの場合、定番レシピはツナサラダピザ(台もホールグレイン)、ツナサラダキャセロール(パスタ)、ツナサラダライス(玄米がグッド)です。
チーズは、こちらの人はみんな無精してブロックでなく、シュレッドチーズを買ってますが、割高なので私は毎回ブロックを自分でシュレッドしてます。
ツナ缶だけじゃもちろん飽きますので、豆カレーとか、チキンレッグ。
豆は、乾燥で、大豆、ひよこ豆、レンティル、キドニービーンズ、冷凍で枝豆と、5種類常備してます。お米は、カルフォルニア白米、玄米、インドのバスマティライスと、やはり、3種類を料理に応じて食べてます。
チキンは、ドラムスティックでなく、大きい足が、こちらでは、セールで、1本1ドル台になります。胸肉だけを買うと、値段が2倍以上に跳ね上がり、摂取栄養総量は低くなると思うので買いません。レッグなら、皮や、骨からは、肉から取れない各種栄養たっぷりのスープがとれます。
しかし、本当に困っている層は、こういうリソースと栄養の知識、調理のノウハウや時間がないので、私と同じ予算でも、こういう食事は、できないだろうというのは、本当ですね。
なので、多分、必要なのは、小学校での家庭科強化ではないかと感じたりします。
公立で、6,7年生になるくらいまでに、家計の予算組み立ての考え方も、簡単な調理も、全部教えられると思うんですよね。公立学校でこそ、本当のSNAPチャレンジ、つまり、「SNAPを使って上手に一ヶ月の買い物をし、それを料理をする」という家庭科の勉強をさせればいいのに。。。
===== 不動産経営にとっての問題点 ========
不動産ブログなので、不動産経営の観点に戻りますと(まとまりがなくてごめんなさい)、低所得者層への賃貸で、気をつけなければいけないのは、上の収入構造の実態です。
私は、過去に、FOOD STAMPの予算が月間1,000ドル、セクション8の家賃補助が800ドルで、賃料全額が行政負担という家族をテナントとして、賃貸管理をしていたことがありますが、結局、やはり、対応が大変だったのです。
どうしてこれだけ「高収入」だったのに、おじゃんになるのかというと、家賃自体は、行政から入ってきたので、滞納しなかったのですが、なんと、この人達は、収入が沢山あることにあぐらをかいてか、アルバイトもほとんどせず、手持ち現金がなかったのか、電気料金を滞納し、電気がストップされてしまったのです。
そうなると、セクション8にいう「居住可能な環境」でなくなるため、当方の家が、セクション8支給資格を失います。家主のせいじゃないのに、、、
結局どうしたかというと、何と言っても、魅力の高収入(?)一家だった他、子供もたくさんいて、電気などのない家に放置することも、単に追い出すことも、もちろん非人間的でできませんから、当方管理会社で、当グループの別の家に、居住させることにしました。
しかし、電気料金の場合、過去の滞納があると、再契約が別の家でできないので、結局、親戚の名前を使ってもらって、、、
このランクのテナントは、一般期待値から言うと、失礼かもは知れませんが、高校生くらいの社会能力。頭はよかったり、口先は立ったりもするのですが、つまり、安定した家計運用能力が著しくかけているのですね。
今、株価は良くても、こうした層は、浮き上がってくることは難しく、トリクルダウン効果はほぼないことが、ここ数年、経済学者からも確認されるようになっています。確かに、こういう状態ですと、推して知るべしで、職場でも、「使えないやつ」化してしまっている可能性も大きく、この層の人の職業訓練は、次世代の子供にIT教育を施すのとはわけが違います。。。
賃貸経営は、今、二層化が著しい米国では、本当に難しくなっています。そこそこ以上の層を選ばないと、トラブルのもとなのですが、上の方は、実需ニーズが高いため、物件価格が高くなりすぎていて、ビジネスとして手を出すことは難しいのです。
じゃあどうするの?については、更に米国不動産投資に興味が有る方は、こちら下のリンクも御覧ください。
短期投資案件ご説明サイト
それでは、今日はここらへんで。
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