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URは市場を乱すな! 民業の圧迫をどう正当化するのか

先日、コーチングの生徒さんが、UR都市機構の賃貸に移転したという話から、私は、生徒さんに対し、こんなことを力説してしまいました。

UR都市機構のサイト

公団以来、現在はURが取っている、日本の公営賃貸住宅政策は、民業の圧迫に税金を注入している事実を、どう正当化するのか

ということです。

渡辺行政改革相は、これは、民間の仕事ですと再三言っていますが、霞ヶ関のほかの方々には、その発言の趣旨が、充分、理解できていないのではないでしょうか。

URは、話に聞くと、天下り先としてもすばらしい待遇なそうですが、「事業に失敗しているから」、「税金の無駄だから」という以前に、民業と競合するような経営により、税金を納める側の人間を圧迫していることの罪深さを、政策決定者は、充分検討できているでしょうか。


もちろん、反論や心配もあります。


中山よ、国民誰もが、大家さんなわけではない。低所得者層は、どうやって住居を確保していくのか。


ここで参考になるのが、アメリカの低所得者層対策。

日本が、すべからくアメリカ式を目指すべきでとは思いませんが、同じ資本主義社会、自由主義社会の建前を背負っているわけですから、国民の財産権の保障を、弱者保護とをどうやって整合させるのかについて、アメリカの政策には、日本人にとっても、まだ、参考になる部分があると私は思います。


そして、アメリカでは、低所得者層保護は、公団提供ではなく、一般賃貸住居を役所が借り上げる方式により、実現するのです。【細かく言えば、低所得者層向けの持ち家推進政策としては、自宅購入の際の頭金補助も行っています】


その場合の家賃は、当然、市場価格が前提。

このシステムにより、

■一般の大家さんを圧迫しないどころか、ビジネスチャンスを提供する
■生活保護や住居支援が必要な層には、住居を提供する

という一挙両得、双方を立てる政策を、実現するのです。

もちろん、その実態は、理想ばかりとはいえないかもしれません。どの範囲の層を支援するかが問題になったりもしているでしょう。しかし、根本理念【弱者保護と市場の自律性の整合】が、日本のこれまでの公営住宅政策【弱者保護のみしか視野に入っていない】と180%、違うことが、お分かりいただけたでしょうか?

URの申し込み資格をちょっと見てみましょうか。

こちらから。なんだか、ざっと見ると、基本は、収入をきちんと証明することが出発点で、「家賃が払えること」に細かく拘泥し、例外として、母子家庭や身障者などは、収入要件を緩和する、という話らしいですが、これって、低所得者層支援という建前についてみると、「原則と例外」が逆転しているような気がしませんか?

また、たとえば、セカンドホーム【URでは、通勤上の便宜のために、セカンドホーム賃貸も許容しています】が必要な層への住宅支援というのは、そんなに公共事業性が高いのでしょうか。


税金を使って、税金を納める側の商売を奪っている。本来、民業を支援し、納税額が増えるように環境を整備する役所が、むしろ、民間が、商売を発展させるチャンスを殺して歩く。私に言わせれば、これが、民業圧迫という言葉の正確な意味です。そして、資本主義社会では、これは、最終的には、国民経済自体にとってみあわない政策のはずですね。だって、徴収できる税金自体が減ったり、国民の資産を目減りさせるような結果に終わるわけですから。


国交省の反論は、以下のように、報道されているようです。

★★★2008年12月17日読売新聞からの抜粋★★★
国交省は都市再生機構を民営化した場合、企業として株主の利益を追求する必要があり、「収益率の低い古い物件の大半を建て替え、家賃を値上げせざるを得ず、結果的に所得の低い生活弱者が住めなくなる恐れがある」と見ている。
★★★

議論が、「ここまで」で終わっているのは、行革大臣には、包括的な政策提言まで行う権限がないからでしょうか。

渡辺大臣の「民間でできることを役人がやって、しかも、損を出している」という指摘を、こうした政策提言をも踏まえて、サポートしていかなければいけない時期に来ています。

このブログをごらんの方には、日本で、すでに大家さんになられている方が多くおいでです。あなたは、URが大型物件を建築し、大々的に賃貸をやっている隣で、躊躇なく、投資ができますか?


そもそも、高度成長期までの日本というのは、賃貸業に従事する投資家層というのは、新規参入組の比率は少なかったのかもしれません。

しかし、現代の日本では、「サラリーマン大家さん」といった、「これまで投資をしたことがない方」の投資活動が社会現象化までしています。

それは、ずばり、年金では、将来が不安だと皆さんが思っているから。また、それ以前に、「会社に忠誠を尽くしても、それに応じた見返りはない」状況におびえているからです。

そう考えると、現在は、「URに入るほう」だけではなく、「URの隣で、物件を貸す方」についても、一般庶民の比率が増えているのではないでしょうか。

そして、正直言って、若い世代に対してたいした年金額が保障できない昨今、「老後の生活が、生活保護を必要としないようにと、自ら、努力する人」の事業を、役所が、サポートしこそすれ、足を引っ張るなんて、国民の経済生活の現状と、高度成長期以来の政策が、もう、整合していないんですね。

国民のあり方が変わっている中で、役所が、

1)一般物件借り上げといった、ほかのオプションがありうる中で
2)一方の国民に有利になるかもしれないという一般的な理由を振りかざすだけで
3)他方の国民に具体的な不利を課すような、政策を課していく

このシステムは、どう、正当化されうるというのでしょうか。

細かいことはフォローしていませんが、住宅政策に関連する政策決定者のリテラシーの低さには、嘆息するしかありません。

■■■■15日追記■■■■

アメリカ在住のKさんから、以下のようなコメントを頂戴しました。そのまま掲載させていただきます。Kさん、注記をありがとうございます。ブログご高覧いつもありがとうございます。こちらこそ、今後も、よろしくお願いいたします。ところで、URが、民間デべの仕入れ損の帳尻合わせをしてくれる、そんな便利な駆け込み寺だとは私は知りませんでしたが、こうなると、われわれ国民一般は、なおさら、税金の使用に、注視しないと、いけないように思います、、、。

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いつも楽しくブログを拝読しています。
私はLA在住で現在不動産投資についてリサーチ中です。
URが民業を圧迫している旨の記事について拝見しました。URについてのご意見には賛成なのですが、アメリカの施策については、いささかミスリーディングな印象があり、メールを書いている次第です。
こちらでは州や郡によって法令が異なりますが、アフォーダブル・ハウジングの制度があります。これは大規模住宅開発を行う際に、低所得者層向けの住戸(土地・建物)を一定数用意しなければいけない規制です(クリアしないと開発自体が許可されません)。開発する側から見れば、この分キャッシュフローが減ることを見込む必要があることになります。つまり税金は使われない代わりに100%民間デベロッパーの負担となるわけですが、これを指摘しないのは片手落ちだと思います。
それからURについては民間デベロッパーが、仕入れたものの収益の見通しの立たない土地をURに持ち込んで引き取ってもらうという駆け込み寺の要素があるということも付け加えておきます。
繰り返しますがURが民業を圧迫していることについては賛成です。上記の点も含め100%民間の開発者の自己責任で行われれば良いと思います。
また今後もよろしくお願いします。
長文失礼しました。

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