We'll Call You Back - 先進国のカスタマーサポートは進化する
この前、久しぶりに、カスタマーサポートのお世話になっていろいろやり取りをしたということがありましたので、その話を書いてみたいと思います。アメリカのカスタマーサポートは、arguably(ひょっとすると)、世界一。例によって、クオリティや話し振りの丁寧さ、ということでは必ずしもありませんが、システム作りやマニュアルの話です。
一部のトレンドは、日本でも採用されつつありますね。例えば、慣れなかった頃は、なんだかいやな気がした、機械による指示、つまり、下のような例、これも、大量処理のためには、効率的なものなんでしょう。
■「○○の方は、1番、××の方は、2番、その他の方は、9番を押してください」
さらに、アメリカのカスタマーサポートでは、自動音声とのやり取りで、以下のようなことができるのは、すでに当然状態。
■保険料や固定資産税等のアカウント残額確認や、クレジットカード、小切手帳を使っての支払い
■電話回線が込み合っている場合、「あなたの待ち時間は、あと、約○分」と教えてもらえる
実際のlive person(生きた人)と話せる時間は、平日の朝7時から午後8時まで、といった時間制限がある場合が圧倒的ですが、上のような自動確認は365日24時間できるので、オンラインの決済同様、結構助かります。
最近、また感心?したのが、あまりに待ち時間が長くなりそうな場合の以下のオプション。
■「あなたの電話番号と名前を入力・お話しください。順番にカスタマーサポートからコールバックをいたします」
この場合、コールバックしてくるのはご丁寧に、機械音声で、まずは、こちらがちゃんと、自分で電話を受信していることを確認するため、「あなたは、これこれの人ですか?もし、実際に電話に出られた場合は、1を押してご本人確認をしてください」などと、こちらの便宜を図りながらも、実際のカスタマーサポートの人の手間は、極限までカット。こちらが、実際に、電話に出たことを確認してから、ようやく、サポートスタッフが、電話に出てきます。
先だって、ベガスの電力会社に電話をしたときは、朝一番に電話をして、コールバックを依頼。そのまま、デスクでスタンバイをしていたら、かかってきたのは、4時間もあとで、ある意味、閉口しましたが、それだけ、混雑しているということであったのですから、仕方がありません。
4時間電話をそのまま脇に置いたまま待っているのでは、こちらも、イライラしてしまいますから、なんだかんだ、やはり助かったことは、間違いないのです。
ちなみに、私は、アメリカのIPフォンの電話番号を持っているので、従量制ではなく、現在の契約条件では、毎月、25ドルで、アメリカ、カナダ、日本他多数の国に、プラスチャージなしの定額制で、電話が無制限にかけられ、また、アメリカからのコールバックも受けられるため、アメリカ在住者同様に、このようなカスタマーサポートのメリットが受けられるのですが、多分、国際電話の場合は、こうしたメリットは、エンジョイしにくいかと思います。
私はヘビーユーザーなので、アメリカの電話番号を持っていることに意味がありますが、そこまでする必要がない方の場合は、カスタマーサポートに電話をかけて、向こうと話をするのは、英語の問題のほか、結構、大変だということは確かです。
他方、こうしたアメリカの体制に比べると、日本のカスタマーサポートは、
■回線が少なく、いくらかけても、お話中になる
■「今込み合っておりますのでまた後でかけてください」で、向こうから一方的に切られてしまう
■どれだけ、待たされるかの目安がわからないまま待たされる
■向こうからのコールバック権限がない
といったダメダメサポートばかり。
また、電話料金も定額制なので、「1時間までなら、重要な用事だから、今日解決するために、待とうか」といった問題解決型の心構えにもつながりません。こうした事情から察するに、日本では、電話会社も、カスタマーサポート業務が多い会社に対し、電話料金の魅力的なパッケージなどを提供し切れていないのではないでしょうか。
最後に、アメリカのカスタマーサポートは、大体、自社正社員体制ではなく、下請け会社の受注体制。上のネバダの電力会社も、サポートは、テキサスのカスタマーサポート専門会社への丸投げで、メールへの返信も、この下請け企業のアドレスで、直接帰ってきました。アメリカでは、役所であっても、民間の決済サイトを直接使っていることは珍しくありません。
実際に、サポートスタッフと話せたときには、外国人相手の業務であるがゆえに、非定型であったという状況があり、その場でのやり取りでは、相手は対処に困っていましたが、翌日コールバックすると、問題は解決していて、外注による質の低下は、文句をつけるほどのこととはいえなかったことにも感心しました。
さらに、IT関係でよりポピュラーなのは、高度なレベルのサポートを要するがゆえへの必殺「インドへの丸投げ」の技。このことについては、過去にも書いたことがあります。
例によって、(システムだけは)世界一のアメリカ。
けちをつけるのは簡単ですが、しかし、他のすべてがいかにビミョーであろうと、大量消費社会の勝者は、マスプロダクト、マスマーケッティング、マスサポート体制と、大量処理のシステムを制覇するビジネスに決まっています。だって、後は、money back guarantee(満足しなければ返金保証)とか保険で、対応できてしまうんだもん。
それに比べると、、、嗚呼、我が日本よ、汝、何処へ、行かんとす、、、《まさかと思いますが、人間減ってるから、マス向け合理化は必要ないというのが、社会の合意になりつつあるとか?いや、むしろ、すでに、こうしたマス化のための設備投資をしても見合わない市場規模になってしまったのか?》
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