恐怖のハロウイーンINデトロイト
2014年10月、今週末は、アメリカ式に言うと、ハロウイーンでしたね。
中国でも、最近、ハロウイーンを楽しむ風習ができてきて、うちのマンションでも、階下にある英会話学校が主催で、小さいお子さんたちが親御さんたちと列を作って歩いていました。
子供の学校でも、ハロウイーン・パーティと合わせて、チャリティーバザーというものを主催してくれました。子供たちが中心になり、寄付目的で、自宅から中古品を持ち寄ったりして、、、とても楽しかったようです。
政治的には、こちらでは、香港問題に関連し、皆さん、昨今、「米国の干渉」に頭にきているご様子ですが、こういうアメリカ文化のソフトパワーの普及力には、脱帽するしかありません。
わが日本が、ソフト・パワー(文化力)を東南アジアに波及させられた全盛期というのは、終わり始めているように見えるので、なおさら、この中国と米国の濃密な愛憎関係には、メガテンです。
こんな話、本題と、関係ないんですが、「ハロウイーン」というと、米国では、「楽しく過ごすエリア」と、「真の恐怖を伴うエリア」があります。
デトロイト市では、歴史的に、ハロウイーンは、
放火の時
です。
2014年のデトロイト・フリー・プレスの報道によると、
Detroit: 66 fires in two days before Halloween
There were 66 fires in Detroit - 31 deemed suspicious - during the two days leading up to Halloween, according to the city.
ティーンがいたずらすることもありますし、自宅のローン返済が不能になったような人が、保険金目当てでやっているのではないかと疑われる状況もあります。また、住所不定者が、火をたいて、火事を起こす場合もあるようです。
基本、消防隊が人員不足なので、放火があっても、あまり調査はされません。
ほとんどの保険会社が、現在、市内から撤退をしているのには、それなりの理由があるわけです。
私のところには、よく
デトロイトに投資をしたがうまくいかない
というご相談がきます。確認すると、そういう方の多くの物件が、BRIGHTMOOR地区内の物件を買っていおいでだったりします。ブライトムア地域というのは、デトロイト市内でも、特に評判が悪いエリア。
デトロイト市内でも、「より安定したエリア」と、「そうでないエリア」があるのです。
実は、去年は、私、このブライトムア地区に滞在していました。なので、このエリアには、実感として詳しいです。
滞在先は、「現地でエリアを更生させようと、この10年以上がんばっている地域リーダーのお宅の別棟」。その際には、記事を書きましたので、そちらの記事をご覧になってください。
ブログをご覧になった米国居住中のお客様から、「今度のバケーションには、ぜひ子供を連れて行ってみたい」と言われ、事実、滞在先自体は、「プチ天国」のようなところで間違いなかったですが、このエリア、アメリカ人でも絶対行きたくない地区にあるのです。事実、ビジネスパートナーの一人には「金をもらってもそんなところに子供を連れて泊まりに行くか」といわれてしまいましたよ。。。
途中で、ガソリンスタンドに止まったり、コーヒーショップで小休止したりすること自体が、慣れていない方には、恐怖体験になりかねないので、「私は慣れているので、子供を連れて行きますが、慣れていない郊外の方が、普通のバケーション気分でいらっしゃると、怖いと思いますので、その点、お気をつけになっててください。車だからといって、夜に出入りするような地区ではありませんし。」と正直に、申し上げました。
エリアについて、もう少し↓
How Brightmoor became a hot spot for homicides
お泊りしたお宅は、本当に楽しくて子供は、毎日、犬と一緒に遊びまくり、ヤギの乳絞りのお手伝いをさせてもらったり、「ファームステイ」のすばらしい思い出が、格安で、できましたよ。
私は、米国大都市部のCITY SCAPEになれているので、「危険なエリアをぬってこういうポケットに到着し、滞在」できますが、、、、このお宅でも、犬は、ヤギの追いたてができるほか、防犯のしつけがされており、知らない人が来ると、めちゃくちゃほえて威嚇してくれます。
この敷地を運営しているのは、RIETさんという女性。リタイアしたエンジニアのご主人と、キリスト教のチャリティーを背景に、ここに大きな敷地を買い、農地を始めました。
彼女は、現在、周囲の空き地に野菜を植えて、収穫することを周囲の方々に教えています。そのことにより、普通の人が、この地域に戻ってきて、地元を大切にすることを教えたいのです。
目の前にある森は、当初は、売春とドラッグ売買の巣窟でした。彼女たちの努力が10年越しで実り始め、現在、日中は、普通の家族がトレッキングする森によみがえりつつあります。
周囲のお子さんたちは、高校進学できない子のほうが普通で、そもそも、エリアが危険なので、これまでは、空き地があっても、出てきて遊んだりできませんでした。隣に、こんな家があり、そこに、どんな大人が潜んでいるか、わからないわけですから、、、
それに対し、彼女の非営利団体は、犯罪に足を踏み入れる危険性が出てくるティーンになる時期に、子供たちを組織化し、近所の荒廃した空き地で、ガーデニングを教え、週末には、これらの野菜を、オーガニックということで、市場で売らせ、生活の建て直しや職業訓練としてやるのです。
こうして、悪いことをする暇がなく、また、お金が稼げることを知ると、子供たちは、学校を卒業(うまくいけばですが)するなど、仕事が必要になる頃には、近所のサービス業などに、容易に職を探すことができるようになるということ。口コミで、「お宅のお子さんは、しつけが違うから」といってもらえるということでした。こういう機会がない限りは、こういうエリアのお子さんには、家庭内で、社会生活に規律を教えてもらうということが、ないのですね。
こういうコミュニティであるブライトムアに、それと知らされずに家を買ってしまった日本人投資家様から、数多くのSOSをもらいますが、何もできません。しかも、実はこの夏には、彼女からも、こんな質問をされました。
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この地区でも最悪のエリアに、日本人のオーナーがいて、その家は、私たちが見る限り、一度も誰も来たことがなかったんだけど、名義を取り寄せてみたら、2万7,000ドルで買ったとあるのよ。あんな家に、そんなお金を出したのって、どういうことなの?
この「オーナー」は、管理する気は、あるのかしら?
基本、私が知っている限り、ずっと放置物件だったわよ。家賃を取って人に貸せるような状況だったことなんかないわ。このままというのも、危険でしょう?あの通りの防犯対策拠点にできるから、私のグループの若い人に、あそこに住ませたいと思うんだけど、オーナーは、OKしてくれるかしら、、
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実は、このエリアには、市の中心部には10分です。
広大な未開発地区が残っているので、こうした貧困層を一掃し、ウオーターフロントで行ってきたような開発を行い、一気に、GENTRIFICATION(高級化)をしようと、長らく、もくろんでいる企業もたくさんあります。最新計画は、こちらをごらんください。
Detroit blight buyer makes a payment but hits a snag
本当に、デベロッパーが、こういうエリアに出て行き、中流向けの家を作ることができれば、それにより、貧困の巣窟が一掃される可能性もあるのですが、実際に住んでいる人々は、消えてなくなるわけではないので、外部の私たちにとっては、「いいじゃん!?」と思えても、貧困に立ち向かう地元の人にとっては、本当の問題解決とは言えません。
「本当に開発業者が格安での大規模買占めや、開発補助金を許されることになれば、地域に投入した自分の長年の努力は、無駄になってしまう」と、リートさんは、今、心から心配しており、右に転んでも、左に転んでも、彼女の悩みは、にわかには解決しそうにありません。
必要な方は、ブライトムアという地域が、どの範囲をさすのか、下の地図(グーグルでわかります)で、調べてください。
RIETの非営利団体のウエブサイトは、こちらから。
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