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Land contract とは何か

こんにちわ。中山道子です。米国には、いろいろな投資方法があり、それが魅力のひとつ。正規の銀行融資がなかなかでない場合は、クリエイティブ・ファイナンシングという話になります。そもそも、creative financing ってなんだろうと思われる方が一般的でしょう。

Creative financing というのは、conventional financing の対義語で、後者は、直訳すると、一般的なというか、定型的な融資方法。つまり、銀行融資のことを、指しているわけです。

それに対し、銀行融資とは違う非典型的な融資方法を総称して、クリエイティブファイナンシングといいます。

昔、ロバート・アレン氏の『ナッシングダウン』なんかで、こういった手法で、不動産リッチになるということが、米国で言われるようになったのはずいぶん昔のことで、その後、こうしたいろいろな手法というのは、アメリカの不動産市場のひとつの特徴にもなっています。

ちなみに、件のロバート・アレン氏、不動産は結局いやになったようで、現在は、インフォプレナー(情報企業家)中心です、、、

クリエイティブファイナンシングの例には、いろいろなものが、含まれます。

自分のお父さんから、銀行融資の頭金を借りることも、ひとつのクリエイティブファイナンシングですし、キャッシングで多目的ローンを引き出すのも同様。

不動産の契約手法として、売主に、資金を融通してもらうというやり口もあり、この前、ある不動産業者さんが、

「最近は、融資が大変で、この前の商業案件では、買主にちゃんとした融資が出るまで、売主の短期ファイナンシング(seller financing)まで手配させられ、決済(不動産屋さんにとっては、実際のコミッションが発生する時期)に、何ヶ月もかかった」

とぼやいておいででした。商業ローンというのは、なかなか曲者らしいので、、、

このように、プロの中で、こういうやり取りをするということは、引き出しが増えるという意味が多いかと思います。

まさに、アメリカ不動産の醍醐味ですね。

といいながら、よく考えると、私も、これを使って融資を取り直したことがありました。

私の場合も、正規の銀行の融資をとるのに何ヶ月もかかり、ある銀行がOKといっていたのが、決済直前にNGを出してきて、別の銀行で一からやり直しをしなければいけなくなり、そのとき、売主に協力してもらったのです。

細かい事情は省きますが(興味のある方は、セミナーのときにでも聞いてください)、結局、その物件は、100%融資が出て、その後、普通の返済に切り替えることができました。

一般的に、こうしたセラーファイナンシングの例としてよくあげられるのが、

lease option
land contract

の二つ。

前者については、私は、過去に、こんな記事を書いたことがありますので、ご参照ください。

リースオプションの危険について

この記事では、ランドコントラクトについて、説明します。

ランドコントラクトというのは、オプションリースと類似で、売主に対して、買主が、融資またはキャッシュを持たない場合に、「ウン年後に、購入するからね」という約束をする場合。リース・オプションとの違いは、たいしてないといえばないのですが、こちらは、登記できる書類なので、登記する場合は、第三者対抗力がありますから、買うほうの力がより強いです。

通常、

頭金を支払い
毎月の返済をして(家賃)
その間、物件を自由にし、また、物件に対して責任を持ち
期日が来たら、正式購入となる

わけで、やり方によっては、上の二つの例のように、大きな意味があります。

それに対して、欠点としては、リース・オプション同様、初級者にわかりにくいというのが問題。

どうしてかというと、クリエイティブファイナンシングですので、定型の契約フォーマットが、決まっていないのです。

これは、ベテランにとっては意味のあることで、だからこそ、その事情にぴったりの契約書を作れます。

それに対し、初級者というのは、契約書の作成どころか、提示された契約書を読んで理解する能力すら、ありません。ましてや、本来、相対する取引において必要な、「この条項は、このままじゃ当方に損すぎるから、こうして」といったネゴ能力すらないわけです。

そのため、通常、こういうことをやっている初級者というのは、自分が何をやっているのか(あるいは、何をやっていないのか)、まったくわかっていないということがありえます。

銀行融資が入れば、銀行が、売主から、買主を守ってくれます。(銀行自身が、predator-敵-にはなるかもしれませんが)

それに対し、非定型融資の場合、anything goes(何でもアリ)なわけです。

それが、自分のメリットになるのは、自分がベテランのときだけ。

例えば、ランドコントラクトが難しいメカニズムであるというひとつの例を、挙げておきましょう。

初級者というのは、エントリーに気をとられ、エグジットにはまったく目が行かないものですが、日本人の初級投資家様が、これをやっているということで、問い合わせが来たことがあるのですが、

ランドコントラクトやリースオプションの場合、銀行融資のシステムと真逆で、


■銀行融資なら、名義が買手に変わった後、抵当権がつく


のですが、


■クリエイティブファイナンシングの場合、名義は売主のままで、返済終了後、名義をこちらに移す


のが、一般的な手順。しかし、その段取り自体、普通の決済とは限らないので、わかりにくいです。こういうことに手を出していくと、「決済が面倒だから、費用が安いほうでいきましょう」などといわれ、そうなのかということで、ランドコントラクトも登記できず、また、名義譲渡がクリーンにいかない、といった例も見ています。

実を言うと、登記していなければ、売主が、物件を、勝手に、いつの間にか、まったく別の第三者に売り払うことも、可能であり、正直、大変簡単です。これは、よくある詐欺のシナリオ。初級者は、冬季の確認方法すら、知らないというわけです。

そうなれば、物件自体がなく、損害賠償請求権が発生するのみ。そのレベルの相手は、資金繰りに失敗して、本当にお金がなくなっているか、最初から故意なら、資産は、別名義で持っているでしょう。

このように、クリエイティブファイナンシングには、初級者には手におえない罠が、多々潜んでいます。

私も、自分がこれらの方法を使う場合は、弁護士を使い、相談をしながら、話を進めます。契約書の内容、段取りをこちらに有利にするだけで、こうした”将来のトラブル”の目を摘み、取引が、成功しやすくなるからです。双方が弁護士を使っていて、しかも、間に、仲介業者さんが入っていたりすれば、上に挙げた2つの例でもご紹介したように、別段、非常識なやり取りではないのです。

しかし、他方では、私は、普通の日本人の方には、物件購入のエントリー方法としては、絶対薦めていませんし、こういう案件を、ご紹介もしません。ここまでくると、片手間で、遠隔投資を希望される普通の日本人の、理解の範囲、リスク許容度を超えていると思うからです。

あのロバート・アレンさんが、物件をばんばん買いまくる!という本、『ナッシング・ダウン』を書いた時に多用していたのが、このランドコントラクトやリースオプションといったクリエイティブな手法。

その手法で、1日で物件を買う!資金1ドルの手付けで買う!などといったアドバルーンを打ち上げ、それらの物件を、実際、確かに「買う」ところ?まではいったものの、計算や管理にすべからく失敗し、結局、今は、不動産グルーの地位をギブアップし、インフォプレナー起業家に転じたという「大人の裏事情」のほうも、付け加えておこうと思います。

他方、「こちらが売る側になる」場合は、別。この手法は、私も、現在、多用していますが、それは、また別の折に。

海外不動産投資においては、背伸びしすぎないことが、大切です。

〔この記事は、2009年の2月に最初掲載し、見直しの後、2014年5月に再掲載しました。〕


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