Lead Based Paint Addendum とは
何年もブログをやりながら、なぜか、まだ、取り上げていなかった、このアイテム。というほど、basic vocabulary なのが、鉛塗料使用についての事前告知義務。アメリカでは、連邦上の義務です。
まずは、メルクマニュアル家庭版のオンライン説明をごらんください。
米マテル社などが、中国製のおもちゃリコールしたことは、日本でも、多少、報道されましたが《こちら》、他方、わが国では、歴史的に、おしろいに鉛を利用したといった歴史がある割には、この問題に対する公衆衛生学的危機意識は高くなく、この問題についても、「多少、口にしても、大きな問題がない」という輸入業者側の説明が、世論を特段刺激した事実はなかったといわれているようです。
日本が、火災報知器を、一般に義務化するまで、米国に遅れること、約20年の歳月が経過する必要がありました。(こちらから)鉛塗料については、より長いタイムラグ記録が更新できそうですね。
メルクマニュアルにあるように、鉛塗料は、米国では、1977年に、使用が禁止されました。
ということで、現在、不動産取引においては、lead based paint addendum (鉛塗料補足書類)という書類があり、売買契約や賃貸借契約両方において、1978年以前に建築された物件については、売主または貸し手が、「この物件は、1978年以前に建てられているため、鉛塗料を使っている可能性がある」というディスクレーマー《情報開示》をする義務があるわけです。
管轄省庁は、EPA。同省の建物売買や賃貸についての注意は、こちらから。
売買契約の場合、通常、各州の不動産協会(Realtor Association)が準備した書類を使うことが一番多いかと思います。これに売主(貸主)、買主(借主)は、それぞれ、サインをする必要があるわけです。
どう考えるべきかと言うと、鉛塗料が下の層に残っていても、丁寧に上から何層も塗りこめてあるような場合は、ほとんど、問題になりません(つまり、物件のメンテがよい場合)。
ありがちなのが、窓が、建築当初の木枠のまま、残っている場合。室内は、上塗りペンキの効果が出やすいですが、窓の木枠は、雨にさらされるため、木が腐りやすく、木がささくれ立った状態などになっていたりすると、鉛塗料部分が露出する可能性が高まります。子供は、床を這ったりするので、そうした埃的な粉が出ている場合、それを呼吸しやすいと言われています。
対策としては、多少、木枠が、完全に腐ってしまっていないようであれば、パッキンを丁寧に仕上げ、ペンキを丁寧に塗りなおすことが、割安の応急処置。
予算があれば、窓枠ごと、窓を、樹脂枠の窓に切り替えてしまう割高オプションに意味があるでしょう。
こうしたタイプの家が多いエリアの買主やテナントさんは、この問題には慣れていますが、中古でも、1978年以前の物件については、この用紙を使う必要がありませんから、それなりに不動産をやっていても、この書類に関係がなかった、という方も多いでしょう。
日本には、鉛使用についての規制やガイドラインは特段なく、今後、鉛塗料問題について、学校や公園等に利用されている(老朽化した)遊具などを含め、こうした米国の厳しい態度から、学んでいくべきだと言う声も、あるようです。確かに、幼児は、何でも、なめたりする性癖があり、一般の公園にいたっては、遊具のペンキがまったくはげていないところなんかは、むしろ、探すのが難しいくらいかもしれません。
ちなみに、私の表面的な理解だと、鉛中毒の副作用というのは、知能低下と言った形で、6歳以下の子供に一番影響を与えることがある可能性が高い旨、疫学者たちに指摘されていると言うことです。日本でも、建築関係については、消費者目線で議論しなければいけないことは、まだまだ、これから、沢山、出てくるのではないかと、このイシューにつけても、思います。
*********