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Multi-family とは 複数世帯住宅

《この記事は、2011年公開し、2015年1月27日手直し更新しました》


アメリカ不動産遠隔投資コンサルタントの中山道子です。今急に思いつきましたが、遠隔と二文字入れると、私のやっていることがわかりやすいかも??

さて、今日は、よく聞かれるトピックについてお話をいたします。まず、multi family(マルチファミリー。米語流の発音だと、マルタイ・ファミリーと発音します)案件について。

普通の一軒家に対し、muti family案件というのは、日本で一般に「アパート」と認識されている種類の物件、つまり複数世帯案件です。

その前に、まず、日本人には異質ながら、重要な整理点がひとつ。

米国では、residential property と評価される multi family は、2-4室(two to four units)まで。5室からは、「商業案件=commercial real estate/property」と評価されるのです。

どう違うんだというと、決定的に違うのが、融資。

5室以上の物件のローンを組むのは、価格にかかわらず、商業ローンになり、米国流にいうと、whole different ball game(まったく違う土俵)です。

商業ローンは、住宅用ローンとまったく異なる窓口となるので、多くの場合、初級投資家は、本当のアパート案件ではなく、通常は、4室までのものを検討することになるでしょう。簡単に言えば、商業ローンより、住宅用ローンのほうが、圧倒的に条件がよく、取得しやすいのです。

「私は、融資を受けないで、買えるから」という方でも、エグジットを考えると、「買ってくれる人が、商業案件の場合、より制限される=融資が違うから」ということは、想定しておいたほうがいいでしょう。

さて、複数世帯住宅は、利回りが上がるのが、大きな魅力。

しかし、実際には、複数世帯住宅(2世帯/2室ものは、duplex、3世帯は、three-plex, tri-plex, 4世帯は、fourplexと呼びます)には、一軒家やマンションの区分所有と違った苦労もありますので、ご参考になさってみてください。

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■複数世帯ものは、物件がより大きく、建物検査がより困難になる。

 区分所有(マンション)を買うときなどは、共有部分については、どうなっているかなどは、まったくわからないわけですが、これは、複合住宅の問題点の極端な例。同じように、1世帯より2世帯、2世帯より4世帯、4世帯より、12世帯のほうが、物件のサイズが大きくなり、目が届きにくくなります。

■複数世帯ものは、一軒家より、テナントのつきが悪い場合があります。

子供ができてきたりすると、皆さん、騒音やスペースを求めて郊外や、住宅街に引っ越すわけで、そういうときに、わざわざ、壁の薄いアパートに入ろうとする人ばかりではありません。
 表面的な利回りは、一軒家よりアパートのほうが高いですが、テナントの「つき」は、高級なマンションタイプの大手が経営するようなプールやジムがあるような物件でないかぎりは、反対な場合も覚悟しましょう。
 一般論として、一軒家のほうが、借り続けてくれる期間も長くなります。
 日本では、一軒家というのは、統計上、ならすと、7年といった期間、賃貸をしてくださるものなのだと、どこかで聞きかじったことがあります。これを、ワンルームと対比してみれば、自明の理ですね。
 米国ではここまでは違いはないと思いますが(統計があるかちょっと分かりません)、やはり、多少、居心地のよさが違うのです。

■エグジットが、一軒家のほうが、楽な場合も、多々あるのです。

 複合世帯物を購入してくれるのは投資家のみ。普通の人が手を出すとしたら、せいぜいが、デュープレックスまででしょう。

 なので、相手は必ず、数字をたたきます。数字が気に入らなければ、他の星の数ほどある物件を見に行きます。それに対し、一世帯物は、通常、実需(自分が居住するという意味)。固定資産税が高かろうが、エリア相場の家賃が安かろうが、pride of ownership(オーナーになること)が目的なわけですし、銀行ローンも、first time home buyer(自宅用)への融資が一番、条件がよく、下りやすいわけで、この層がエグジットのターゲットになるかならないかは、エグジットストラテジーに大きな意味を持つ場合があります。


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特に、日本人が肝に銘じておかなければならないのが、5室以上のアパート経営に伴う融資の問題。

日本では、サラリーマンが、1億で、30室のマンションを融資付きで購入し、一軒目から、いきなり、キャッシュフロー・リッチマンになるというシナリオも、不可能ではないでしょう。(現実問題、ほとんどがローンのレバレッジであり、経営が、10年単位、長期的に吉と出るかどうかとはとりあえず別として)

このため、日本で成功されている不動産オーナー様は、逆に、同じ戦略を志向されようとすることが多いのですが、実は、米国では、何度もしつこくて申し訳ありませんが、

5室以上は、商業ローン案件

なのです。

米国では、居宅ローン、レジデンシャル・ローンは、比較的容易に出ます。普通の居宅は、物件自体が担保と見てくれやすいのです。

しかし、5室以上からは、融資をしてくれる銀行は、居宅ローンを出してくれる銀行とはまったく違った玄人の世界。

第一に、コマーシャルの取引は、玄人同士のカテゴリーに入るので、普通のレジデンシャル案件に関連する消費者保護規制がどれも該当しません。

第二に、商業ローンというのは、 ノンリコースなことが多いというのはそうだろうと思いますが、それに当たっては、物件の収益性が、厳しく問われます。

なので、「要修理の、または、空室だらけのマンションが、頭金5%や10%で融資付きで買える」といったようなことは、絶対起こらないと肝に銘じてください。

銀行が、「このビジネスモデルなら認める」とお墨付きを出す商業アパートは、実質、

>修理懸案事項が当面なく、
>満室とかで効率よくフル稼働している

ビジネスとしての安定性が高い物件が中心。居宅物件のように、物件が、潜在的価値があるという見方はせず、ビジネス・モデルに投資してくれるという考え方なのです。

なので、多少でも不安があれば、「あ、鑑定額の5割しか貸さないから」といった頭金/エクイティ上積みも、がんがん言ってくると思います。

それでは、米国では、稼働率の低い商業アパートは、どうやって売り買いされるのかというと、通常、

売主ファイナンス

を使うわけです。

これは、売主が、銀行に変わって、しばらくの間、お金を貸してくれるということ。

> 30万ドルでアパートを買おうと思うが、商業ローンが付かない
> 頭金3万ドルで、売主に、2年間、セラーファイナンスしてもらう
> 2年間の間、売主を第一抵当権者にして毎月、利息を払っていく
> 2年後、商業ローンを取り直す/売る/別のところからキャッシュを取ってくる
> 売主に、27万ドルの元本を返済する


といったわけです。

このような状況に、慣れない初級投資家が、遠隔で手を出すのは、大変危険であると、申し上げておきます。上の例に肉付けしていきましょう。

売主ファイナンスしか出ない中途半端な稼動率の物件ですから、買ったら、まず、稼働率を上げるためのてこ入れが必要。例えば、30万ドルで買って、頭金は、3万ドルだったとしても、修理代が、5万ドルかかるとしましょう。

次に、物件を建て直し、2年間、上手に管理が出来たとします。しかし、2年では、修理代5万ドルが回収できるところまでは行かないですよね。

2年後に、商業ローンを申請したところ、物件の鑑定額は、修理をしてフル稼働にした分、36万ドルという鑑定が出ますが、銀行は、何らかの理由、例えば、あなたが、外国人で、これが米国不動産経営の始めての経験であることを前提に、頭金を、3割、要求することにするとします。

そうすると、物件価値自体は表面的には上がった気がしますが、実際には、27万ドルを返済するためには、

36万ドルの3割は、10万8,000ドル
返済差額として自己支出で、さらに、1万8,000ドル

を決済にかかる諸経費のほかに足さないといけません。

つまり、物件を買った後に、2年後の売主への返済時には、もし、物件価値が値上がりしていたとしても、エクイティ資金投入を要求されるわけです。値上がりといっても、この例では、実質、修理代や稼働率が、反映しているだけな感じにすぎませんね。

この段階で、いきなり、鑑定価値が、50万ドルになるといった可能性もあるとしましょう。実際に起これば、教材が出来るレベルのすごい話。本当にそうなれば、50万ドルの7割である35万ドルが融資され、27万ドルを返済し、しかも、頭金や修理代が帰ってきたことになります。

しかし、必ずそうなるとかかったものでもないですよね。普通に考えれば、それほど、甘い計算をしてはいけないかもしれないわけです。

しかも、もし、運よく、35万ドルが借り越しできても、実は、ハードルは、まだまだたくさんあるのです。

というのは、商業ローンは、3年とか5年、7年といった期限が多く、30年もの間は絶対貸してくれないから。

物件の経営自体がうまく行っているときですら、「融資返済義務が定期的に、例えば、5年毎に来てしまい、5年ごとに同じまたは別の銀行から借り換えをしなければいけない」可能性が高いのです。もちろん、借り換えにかかる経費は、こちら持ち。定期修繕は、当然欠かせません。

このように、微妙な中古アパートというのは、結構、「不確定要素」を多く伴います。購入後、修理で値上がりしても、次の借り換え時期に、物件の状態や稼働率、エリアの不動産市場がどんな状態かを見越せというほうが無理でしょう。次に鑑定して、エリアの経済悪化に伴って、または、テナントの入れ替えに伴って、40万ドルに値下がりしたら、借り換えする際に、結局また自己資金を出してこなければならなくなります。

「そんなに長く持たないで、4、5年ごとに買い換えるから」とおっしゃるかもしれませんが、値上がりしていれば、個人名義なら、日本では、短期譲渡税の問題が生じるほか、商業アパートには、融資がつきにくい=手離れが悪いという一般法則を、また思い出してください。好きなときに、すぐ売れるわけではなく、今度は、こちらが売主ファイナンスをしなければいけない羽目になるかもしれません。

ハードルを越えるごとに、次のハードルがもっと高くなってくる、悪く考えれば、それがアメリカ式の商業アパート経営です。


画像の説明文

「減価償却がガツンと取れますよ」

などといわれている人を見かけますが、減価償却と赤字経営は、まったく別のもので、こういうことが、遠隔で、片手間にできるものとは、限りません。米国人なら、不動産投資歴が10年単位のベテランになって初めて手を出すエリアであると承知置かれるべきだと思います。

画像の説明文


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