日本の公証人役場で、海外取引相手との契約を公証する
そろそろ、終わりにしたいと思いながら、いろいろ出てくる、そんな楽しいおもちゃ箱。それが、この公証ネタです、、、
こちらに、前回、日本の公証人役場を使った遠距離投資の話を書きました。
実は、ちょうど、カルフォルニア投資のお客様のお手伝いをしたのと前後して、この時期、ベガス投資をされるお客様が、円ローンを使って決済をする際に、地方だということで、「地元公証人が便利です」というお話がありました。
ベガスのほうは、レアルターさんも、タイトルカンパニーも、私たちの円ローンに慣れており、「今度は日本の公証人役場を使う必要があります」と連絡し、「それでは、その線で」と、段取りを進めることとなりました。
本来、条約だなんだとはいっても、公証は、実際のロジスティックスが命ですから、タイトルカンパニー自体が、社内の手順や地元登記係との関係で、適切に公証をできているかを、確認できないと、いけません。
大事をとって、以下の順序としました。
■お客様に、公証書類を、公証人役場で、公証していただく
■その書類をスキャンして、メールで、公証の仕方が現地慣行に適合しているか、タイトルカンパニーで確認してもらう
■OKが出た段階でフェデックスで返す
お客様に、二重手間になっては申し訳ないので、、、
当然、多少、決済日程に余裕がないと、これは、できません。売主は、レアルターさんが多くの物件をさばいてあげているデベロッパーなので、条件は、あらゆる面で、好条件。決済期日等についても、これまでの実績があるので、「いつでも結構です」といってもらっていました。
ただ、この決済では、ひとつ、私がポカがありました(大汗)。
お客様に、事前にお伝えするべきだったのですが、実は、公証人役場によっては、「書類の和訳概要を文章で提出せよ」ということを言われることがあります。口頭で、よしとしてくれるところもあり、また、役場によっては、実は、それが、まったく、不要な場合もあります。
これは、どういうことかというと、私が昔受けた説明では、「公証人は、おかしな書類には、公証はできないので、内容が、法的に不適切なものかどうかを審査する必要があるのだ」といったものでした。そのため、外国語だと、内容の適切を確認しにくく、その旨、納得したいからだと、、、【関係者の方、誤解がありましたら、訂正しますので、ご一報ください】
はっきりいって、おかしいと思います。だって、内容確認なんて、ざっと見たり、説明されたりしても、わからない場合が多いですし、国際的には、公証人は、そんな高度な弁護士/法律家であることを、要求されていません。フツーにコースとか何回か出席して、簡単なテストを受けたりして、誰でも、公証人になれます。アメリカでは、切手を売っていたり、郵便を出したりする、Mail Boxes, Etc.,といったフランチャイズオフィスでは、大体、オーナーや、受付の方が、ノータりーだったりします。
日本の場合、契約当事者が、その後、契約内容が、「結果、おかしい内容だった」だったと思ったからといって、公証人に、「どうして、こんな契約書を、目を通しながら、公証したのだ?」と損害賠償請求をしても、それが通るわけでもないでしょうから、「内容審査」は、顧客無視の、業界自己都合だとしか言いようがありません。法務省が、「高度に訓練を受けた法律家でないと、やらせられない」と主張したいがために、こういう体裁を作っているだけだと思います。
こういうところこそ、小泉改革しろよ、、、(この文脈がわからない方は、グーグルで、【公証人 天下り】とでも、検索してみてください、、、)
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いずれにせよ、なので、本来、お客様には、私のほうで、下準備として、公証希望の書類の日本語の概要を持たせてあげるべきでしたが、それを、忘れたのでした。Fさん、申し訳ありません。
実は、Fさんは、留学も経験され、お仕事柄も、英語がおできになる有能なプロフェッショナルでいらっしゃったので、助かりました。
当日は、私の携帯に、電話がかかってきて、「この書類は、どんな内容ですか?公証人に説明しなさいと言われています」と相談され、いくつかの書類に分かれていたので、その二つほどを、「こういう内容です」と口頭でご説明したところ、ご自身で、公証人に、そのご説明をしてくださり、無事に、公証を済ませてくださったのです。
一般的な注意として、可能な範囲で、「大きめの都市」の公証人役場を選ぶのが、重要です。
というのは、正直、公証人の方が、普段から、あまり、外国語の契約書などに慣れていない場合には、その故の手間がかかることが多いのです。例えば、同じ東京でも、可能であれば、23区外の公証よりは、ビジネス関係の外国人の方々の出入りが多そうな区の公証人役場を選びましょう。
前回の記事でも書きましたが、遠距離投資の具体的ロジスティックスは、公証というプロセスひとつとっても、結構、大変です。決済関係者が、遠距離投資に、慣れていないと、できません。セミナーなどで、「ハンズフリー投資ができます」という面を強調してきましたが、逆に、「慣れている人間に任せられる場合以外は、手を出さないでください」と言っておくべきだと考えを改めました。
海外で不動産を買われる方は、普通は、1週間つぶして、決済地に赴かれます。
思い入れのある別荘は、購入物件の家具入れなどに、2週間滞在されたり、またお休みを取っての現地入りなど、フツーです。私のお客様は、いずれも、「そんな悠長な時間はありません」という方が多く、また、ほぼ全員が、純粋に投資として割り切られているのは、実は、例外的といってよいのでしょう。
ちなみに、多くのエリアでは、ご結婚されている場合は、配偶者も、書類にサインをしますので、このとき、名義に配偶者が乗らない場合でも、ご夫妻で行かれるのが、原則です。
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