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わけあり物件って、なんていう? Stigmatized Property

おとといは、ハリウッドスター、ニコラス・ケージ氏の不動産投資の失敗について、お話をしました。

その中で出てきたのが、haunted house(呪われた家)だった、ニューオーリーンズの彼の家。それでは、日本で言う「事故もの」「ワケあり」物件のことは、アメリカでは、なんというのでしょうか?

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ゴージャスな家ですね。この家には、どんな「わけがある」と思われますか、、、

アメリカでは、わけあり物件は、stigmatized property(スティグマを持つ物件) とか、psychologically impacted property(心理学的に見て、買主の心証にとって意味のある事象が起こった物件)というんだそうです。

私も、7-8年やっていますが、「わけあり」として、掲載されている物件を見たことはありません。こういう言い方をするのだということも、本で勉強していて知りました。

他方、日本は、今、「わけありブーム」。URまでが、わけありコーナーを作って広告しているらしいではないですか、、、《こちらから》

一般には、アメリカ人は、日本人ほど細かくないのではないかという気もします。

不動産屋さんには、「わけ」の開示義務はあるそうですが、その具体的な範囲については、社会的な合意がない場合が多く、例によって、州ごとに状況が違うよう。

ウオールストリートジャーナルに、よい記事がありましたので、紹介します。オリジナルリンクは、こちらから。

いろいろ怖い話も出ていますが、一般論としていうと、

■メディアに露出した殺人の場合が、一番問題だが、一般に、4-5年もすれば、多くのスティグマは、忘れ去られていくようだ
■2000年に行われたある研究によると、わけあり物件は、市場で売却に大きく手間取ったが、一般に、売却価格自体は、平均して、わけがない物件と比べて、3%くらいしか安くなっていなかった

と、日本人の感覚からすると、わけの影響は、「たいしたことない」感じですね。

判例は、1980年代からあるようで、

■カリフォルニア州で、ある買主が、購入しようとしていた物件で、5人の家族が殺されていたことを知って、契約を破棄し訴えられたが、勝訴。
■ニューヨーク州で、物件内で、前のオーナーが、エイズで死去していたことを知った買主は、契約破棄を認められなかった
■同じニューヨーク州で、買主が、「当該物件が、地元で広く呪われているとうわさされている」ことを知ったことを理由に契約破棄したことは、認められた

といったものがあり、やはり、「殺人があった家で、その事実を開示しない」「呪われていると広く風評が確立しているような家で、その事実を開示しない」といった行動は、裁判所でも問題にされるということで、アメリカ社会でも、認識が一致しているようです。


他方、この記事からすると、どうも、開示さえすれば、後は問題ないらしいアメリカンなエピソードも紹介されています。


たとえば、日本でも評判になったジョンベネちゃん【コロラド州の自宅で惨殺された子供タレント。両親が疑われもしたが、その後のDNA鑑定の結果、結局潔白と判断された。ただし、事件は、依然未解決】が殺された家の例。

両親のラムゼー夫妻が1991年に購入したときは、この家は、50万ドルだったそうです。その後、1996年に、ジョンベネちゃんが、地下室で惨殺されていたのが見つかりました。

しかし、その後、この豪邸は、思いっきり値上がりし、2004年に購入した現在のオーナーたちは、なんと、当時、1996年からすると、倍以上の105万ドルで、この物件を入手したそう。この値上がり率は、当時のコロラド州ボールダーの物件価格の平均上昇率よりずっと高く、この家が、高い資産性を持っていると評価された証拠だそうです。

現在のオーナーのコメントも、掲載されています↓

「この家を売るときには、過去が気になる人はいるでしょうけれど、私たち同様、この家のよさを評価して、新聞の見出しなんか、気にならなくなる買い手がいると思うわ」。冷静ですね、、、(汗)

実は、上のゴージャスな家は、ジョンベネちゃんが殺害された家だったのです。痛ましい事件で、多数のメディアにも、おませなジョンベネちゃんが露出していたことは、私なんかは、なんとなく覚えています。

そして、なんというstunning(はっと目を引く)な家!装飾も、品がありますね(おととい紹介した家と違って、、、{おととい紹介した家は、こちらから。ニコラス・ケージ氏が投機目的で購入したお化け屋敷です、、汗})。

そして、下が、話題の地下室(の一部分)です。高級な家は、地下室も、私たちの持っている家の地下室とは、違いますね。アメリカでは、普通の家では、finishedな場合は、ファミリールームやテレビ/キッズプレイルーム、unfinishedな場合は、自転車や道具をおいたり、工作室、物置、パントリーなどとして利用します。
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この家、現在のオーナーであるミルナー夫妻は、どうやら、2006年以来、この家を、ずっと売ろうとしてきているようで、その間に、売値は、170万ドル→229万ドル→最近は、199.5万ドルと、上下を繰り返しています。こちらに、掲載サイト。


なんだ、値上がり狙いのフツーの投機だったんじゃん、、、


「あのジョンベネちゃんの家」ということで、地元では、その動向が依然、報道されているという意味では、売主にとって有利な露出が広く得られているようです(パブリシティの一般法則が、any publicity is good publicityであるとすれば、、、)。しかも、ここ2年、売れていないにもかかわらず、強気の値段付けをし続けているところを見ると、現オーナーは、本当に、「わけ」が問題だという判断はしていないようですね。

しかしなあ、、、

合理的なアメリカ人なら、「わけ」は割り切れるのかもしれませんが、ミルナー夫妻よ、「いまどきの不動産事情(がいかに低調かということ)」のほうは、いっそ、現実として、考慮したほうが、よくはありませんか、、、

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