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財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター

天下り官僚問題や、業務内容が明確でないということで、何かと話題になっている各種法人ですが、住宅リフォーム・紛争処理センターは、中古住宅活用の波が広がる現在、初級投資家もそうですが、一般の方々の自宅リフォームについても、頼りになる可能性のある団体だと思います。

前回は、「中古マンションで奇跡を起こした」という投資案件のお話を紹介したので、逆に、「困ったときの話」についても、ちょっと取り上げてみたいと思います。ああいうことは、本のネタになるほどまれなわけで、現象としては、こちらのほうが、ずっと多いことは、忘れてはいけません。

私は、建築自体についても、また、日本そのものについても、いずれも、門外漢なのですが、逆に、普通の消費者なわけですから、「自宅リフォーム」に頭を悩ませている方や、「住宅取得」に動かれている方と、同じ目線かもしれません。

どこもあまり変わらないといえばそうかもしれませんが、日本のリフォームや住宅業界の問題は、真の意味のカスタマーファーストを、推進する基本体制や、プライドが十分でないこと。受注しなければ、売り上げは上がらず、また、今は不況なので、「自分たちは、こんなに一生懸命やっている」という、業者さんの気持ちに、うそ偽りはないのでしょうが、他方では、一般消費者にとっては、業者さんの売り上げではなく、自分自身の利益が、どこに存在するのか、その本当のところを、見極めるのは、至難の業となりえます。

だって、一生に数回しか起こらないことで、いい業者さんが誰か、気をつけるべきトラブル回避ポイントはどこにあるのかなんて、わからないじゃないですか。

ということで、物件回りや価格/融資交渉も大切ですが、ここのサイトでいいと思ったのは、過去の購入/リフォーム失敗例が、丁寧に、てんこ盛りで紹介されていること。

以下、相談事例を、いくつか、取り上げてみると、、、

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■中古マンションを購入したら、排水管から水漏れしていた。床補修を請求できる相手及び範囲は。

相談内容

築28年の鉄筋コンクリート(RC)造9階建てマンションの1住戸を1ヶ月前に購入し、現在リフォーム中です。

ところが、リフォーム業者がキッチン周りのフローリングの一部を剥がしたところ、雑排水管から水漏れし、下地材が腐っていることがわかりました。水漏れの被害がいつから発生してどこまで広がっているのかはわかりません。

契約書上、瑕疵担保責任の期間については、シロアリ・水漏れについて、引渡しから3ヶ月と書いてあったように思います。売主は、前に住んでいた個人で、宅建業者ではありません。

床の補修についてはどうなるのでしょうか。

被害の範囲を確認するには、フローリングを剥がさなければならないのですが、剥がした部分の補修費用も売主に負担してもらえるのでしょうか。(30代 男性)


相談結果

契約書を確認しないと正確なところは分かりませんが、排水管の補修を要する箇所が専有部分であり、水漏れを発見したのが引渡しから1ヶ月目であれば、売主に対して補修代金を請求できます。なお、排水管の補修を要する箇所が共用部分であれば、管理組合に対して補修を求めることができます。

築年数から考えて排水管がコンクリートスラブに埋め込まれている場合や下階住戸の専有部分を通過しているケースもあり、専有部分と共用部分の区別が難しいといえます。

管理規約に明記されている場合も多いので、管理規約を持参して弁護士に相談してもよいでしょう。

水漏れによる被害範囲を特定するために、下地材の腐っている箇所まで剥がして確認してみないと補修を要する範囲を決めることができないのであれば、剥がした部分の補修の費用は、瑕疵担保責任の範囲内と考えられます。剥がした部分の補修の費用を含め、売主に請求することができると考えます。管理組合に請求できる場合も同様です。


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■中古マンションを購入して、すぐ壁クロスを張り替えたが、壁クロスにひび割れを生じている。

相談内容

2008年8月、築16年の鉄筋コンクリート(RC)造13階建てマンションの10階部分住戸を購入しました。購入と同時に内装のリフォームをしたのですが、壁クロスにひび割れを生じています。ひび割れは天井から床まで直線で入っており、目立ちます。リフォーム会社へ張り替えてほしいと連絡したのですが、断られました。

管理組合の修繕積立金による張り替えは難しいでしょうか。(30代 男性)


相談結果

リフォーム会社に対して、無償で補修することを求められるかは保証期間内にあるかによります。保証期間についての定めがない場合には、民法637条により、瑕疵担保責任期間は壁クロスを張り替えた工事が完成し引き渡したときから1年以内と考えられます。今回の場合、リフォーム工事完了から1年以上経過しているので、リフォーム会社に対して張り替えを求めることはできないことになります。

壁クロスは、コンクリートの戸境壁に直接張っているようです。張り替える場合には、下地コンクリートのひび割れをパテで埋めて、仕上げに響かないようにするのが一般的な工事方法です。念のため写真にとり、ひび割れの幅を確認しておくことを勧めます。

コンクリートの戸境壁は、マンションの共用部分に当たります。修繕積立金の使途は管理規約で定められているのが一般的ですので、特定の室内のクロス張り替え費用を修繕積立金から支出することはできない可能性もあります。現時点では、当該部分のひび割れの幅等を管理組合に報告しておき、次回の大規模修繕工事の調査対象にするよう提案するのも一つの方法です。

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■マンション屋上から外廊下天井部分への雨漏り。瑕疵担保責任の対象か。

相談内容

2005年に新築された鉄筋コンクリート(RC)造10階建てマンションの管理組合理事長をしています。

最上階の外廊下に屋上床から延びた屋根があるのですが、2009年7月この外廊下天井部分に雨漏りがあることが判りました。

管理組合が依頼して補修した施工会社から、アスファルト防水された屋根の目地の間隔が広すぎるために、そこから雨漏りがしているのではないかとの指摘がありました。

そこで売主に対して、雨漏りであるとの苦情を伝えたところ、当初責任を認めませんでした。そこで、文書を送って対応を求めたところ、「補修費用10万円のうち、売主3万円、管理組合3万円、当初工事をした施工会社4万円」で負担するとの回答がありました。

管理組合側で負担することに納得がいきません。瑕疵担保責任についてどのように考えればよいのでしょうか。(50代 女性)


相談結果

新築マンションの瑕疵担保責任期間については、2年間と契約上規定されているのが一般的です。しかし、品確法95条により、「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分」については、瑕疵担保責任の特例が規定され、引渡しから10年間は売主に対し瑕疵修補請求や損害賠償請求ができます。

屋根から外廊下部分への雨漏りは、マンション住戸の室内への雨水の浸入とは異なりますが、住宅の一部である共用部分へ雨水の浸入であるため、開放廊下部分に外部から直接雨が吹き込んだ等の事情がない限り、品確法における「雨水の浸入」にあたります。

今回は、アスファルト防水された屋根の目地が広すぎるという指摘があることからも、雨水の浸入を防止する部分についての瑕疵がある可能性があります。

建築専門家による調査を依頼することをお勧めします。調査の結果、やはりアスファルト防水された屋根の目地からの雨漏りといえる場合には、現在、管理組合側への一部負担を求められているとのことですが、売主側への全額負担を求めることができると考えられます。 

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■リフォーム相談会で知ったリフォーム業者と契約。工事を開始したが中断され、連絡がとれなくなった。

相談内容

2009年11月、近所のショールームで開催されたリフォーム相談会で、あるリフォーム業者を知り、自宅マンションに見積に来るように依頼しました。

12月に現地を見に来てもらい、概算金額が提示され、2週間後に工事請負契約を交わしました。

リフォーム工事の内容は ?カーペットをフローリングに替える工事 ?キッチンをシステムキッチンにする工事です。

契約書に書かれている工期が、リフォーム業者からの要求で変更された後、ようやく着工しました。

ところが、約半日の作業をして、それまで張ってあったカーペットを剥がしただけで、工事は中断してしまいました。その後フローリングやシステムキッチンが搬入されたのですが、工事は再開されていません。リフォーム業者に連絡をしても電話に出ない状態です。

このまま放置されるくらいならば、できれば他のリフォーム業者に依頼して工事を再開したいと考えています。問題はないでしょうか。

なお、総工事費は120万円で、70万円が支払い済みです。(60代 男性)

相談結果

工事開始後にリフォーム業者と連絡不能になった原因として、倒産や資金繰りの悪化等の事情も考えられます。まずは、リフォーム業者が営業しているのかよく確認してみてください。近隣であれば、事業所に出向いてみるとよいでしょう。その上で今後の対処法を検討しましょう。

もし、このまま他のリフォーム業者に工事を依頼すると、二重契約をすることになってしまいます。

現在のリフォーム業者から自己都合による解除であるとして、損害賠償請求や既に搬入されている材料の返還請求を受ける可能性があります。資金繰りが悪化しているときほど、そのようなトラブルに発展する可能性があります。

このようなリスクを避けるためには、現在のリフォーム工事請負契約を解除することを検討することが適切です。

有効な解除通知を発送するために内容証明郵便で契約解除を通知することが考えられますので、弁護士に依頼することをふまえて、法律相談を受けることをお勧めします。

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元のURLは、こちらから。

いや、深刻な実例が、ずらずら、並びます。最近、「コワイ不動産」といった種類の本が出ていますが、この相談例を全部見れば、単行本数冊の価値があるはず。

リフォームや中古購入計画がある場合は、トラブルになる前から、見積もりをチェックしてくれるシステムもあり、こちらに出ている目安表は、「一番安い/良心的な価格」ではないでしょうが、素人というのは、「桁すら見当もつかない」ことがありますから、案件ごとに、事前リサーチをするための、出発点くらいには、なるかもしれません。

無料相談の電話番号でも、見積もり自体についても、目は通してくれませんが、一般的なポイント指南くらいはしてくれるようです。

住宅問題については、普通の消費者センターでは、対応してくれる力は、不十分なことが、ほとんどでしょう。「独居高齢者相手の訪問リフォーム」といった”カテゴリーにはまらない限りは、個々のコンサルの力量が十分でないことが、ありえます。

消費者センターの相談員を含め、実際にトラブルに巻き込まれたり、頻繁に、ビジネスのネゴシエーションをされていない方には、絶対わからないことですが、「法的な話」と、「実際の交渉」は違います。悩んでいるときに、「民法ではこうなっている」などと、表面的な法解釈の話をしてみても、”落とし所”とは、必ずしも、関係ありません。

民法なり何なり、を持ち出してきて、裁判所の判断を仰ぐまでのコスト計算自体もあわせての、問題になっているわけですから、、、

そういう意味で、表面的な法律解釈のみならず、業界慣行にも精通していて、多数のきな臭い相談をこなしている同団体のHPやホットラインは、知っておいて損はないリソース。消費者センターのマニュアルでも、「より詳しくは、こちらのセンターへ」という紹介をしているようです。このセンターでも、地方自治体の相談窓口一覧があり、ここだけではなく、いろいろなところに相談をすれば、何人もの人と話が出来て、自分の考えをまとめる手助けにもなるでしょう。

「公益法人」等で話題になっているので、役員の名簿を何気なく開いてみたら、官庁出身者は、印がつけてあって、最終役職も記載があり、笑ってしまいました。

丁寧な電話相談には、相当なお金がかかると思いますが、これだけ、リソースが、HPからも一見して充実している団体ですから、事業仕分け問題ででも、国民の支持の声が届くよう、当ブログからも、声援を送ります(笑)。


中山からのお願いです。
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