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ハビタットフォーヒューマニティーデトロイト来訪

アメリカの新築物件販売戸数がさらに落ち込み、参院選が公示になったというのに、のんびりと先週のネタでさらに引っ張ろうとしている中山道子です。最近、いろいろあって、新しいリサーチをしている余裕が、、、いや、あの、とてもいいお話が聞けたので、是非と思い、、、

ということで、今回、私達は、ハビタットフォーヒューマニティーデトロイトのエグゼキュティブディレクターの方と、お話をすることが出来ました。

アレンジをしてくれた管理会社さんは、「一生懸命電話をしてもなかなかつかまらない」といっていましたが(その理由は後で判明)、私達が現地に到着してから、ようやく、昼食時に、20分だけ!というアポがとれ、一同は、あわてて、高級物件ウオッチングから、低所得者層居住エリアで働くハビタットのティルフォード氏のところへ、、、

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この物件は、私達が去年このエリアに行ったときに、建設中だったんです。そのときのレポートは、こちらのリンクから行っています!今年ご同行できなかった皆さん、また、同じところに、行ってきたんですよ(ウルウル)!

さて、ということで、このエリアは、集中的なモーゲージクライシスの対象となってしまったため、ティルフォード氏によると、2005年といったバブル時には、12万ドルといった額で売買されたことすらあったとか。

ちょっと先走りましたが、ハビタットフォーヒューマニティは、「貧困に苦しむ人々に、住居を提供しよう」という団体で、賛同者は、いかにもアメリカらしく、

■お金を提供して
■自分も、一緒にツーバイフォー(現実には今回見てきたのはツーバイシックスでしたが)を作る!

という実践的なNGO。

大統領としてはそれほど支持を受けなかったながらも、慈善のほうではすごい評価が高いジミー・カーター元大統領(カーター財団)や、建築ヲタとして有名なブラッド・ピットら、有名人がよく、ヘルメットをかぶって、支援している姿が、メディアに登場します。アメリカで、有名人が、ヘルメットかぶってたら、これですね。ハイ。(2006年ブラピとカーター夫妻がインドに出張したときのゴシップ誌報道は、こちらから)

そんなハビタットのデトロイト支部で、ティルフォードディレクターのお話を、重点対象エリアを一周しながら伺うことが出来、大変勉強になったと思います。

ティルフォード氏、実は、「投資家」と聞いて、ちょっとビビっていたところもあったようで、その理由は、ツアー時のお話で、それとなく、出てきました。

ハビタットは、住宅メーカーなどの物資援助や、各種の資金、人的援助を受けて、今回、デトロイトのこのエリアに、100軒の家を立てる計画を立てているというのですから、すごいですね。

そして、すでに、60軒ほどもが、完成しており、随時、数軒ずつのプロジェクトが、進行しています。大体、本業がある方々などを誘致するため、普段は少人数で采配を振るっており、「1週間で家を建てる」キャンペーンのようなものを展開し、その折に、個人が参加してくれたり、また、企業が公式に、自社の従業員チームを送ったりしてくれるんだそうです。アメリカの大企業の優良社員って、こういうことも、そつなくこなせる方ってことデスね。日本企業の温泉宴会旅行とかよりは、やはり、スマートかも。

ティルフォード氏は、これらの家屋は、ミシガンが寒冷地であることにかんがみ、エコフレンドリーな、しかも、断熱性がすごく高い家屋になっていて、冷暖房費がめちゃ低いんだと自画自賛。

外見は、特段お金は使っていませんが、壁の暑さを見ると、多分、中に入れるのは、グラスファイバーマットかと思いますが、厚さは、堂々の10センチくらいはあるかと見えました。窓なども、北米では、断熱効率が大変高い樹脂のdouble pane(二重窓)が標準ですし、、、いや、うらやましいですね。

ハビタットが作り出していた家の中、今年も、立ち入らせていただきました。ていうか、日本と違って、工事現場にシートとか張らないで放置しているんですけど、子供が行ったりして落っこちるとか、心配しないのかな?いや、アメリカ人は、しないですね、きっと、、、(過疎というか、車でないと動けないようなところなので、もちろん、子供やペットなどが、ちょろちょろしにくいような感じでしたが)

訴訟社会なのに、何かが日本人の考え方と違うアメリカ、、、二階の工事なんかも、ほとんど足場組まないし、建築現場の人って、みんな、ヘルメットだけはかぶっていても、半ズボンで、まったく、無防備だし、、、

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ボランティアの人がいない日で、現場は、まんま放置。一応、巡回などはしているんでしょう、、、

++++++


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建築コストですが、説明では、「通常、16万ドル。ハビタットは、支援を受けているので、12万ドル」という本当か?の衝撃発言。疑問も残るような気もしますが、まあ、ビルダーは、建築コストは、あまり開示しないことが多いので、ここら辺は、スルーしておきましょう。ハビタットは、「世界ランキング一位のprivate builderであって、全米home builder間では、トップ11位(2008年Home Builders Magazine)なんだそう。

この家、低所得の方々が、簡単にゲットできるわけではなく、犯罪歴がない、家族そろって、ファイナンシャルリテラシーカウンセリングを受ける、さらには、自分達も、自宅作りに、○○時間、参加するといった細かい規定があります。

こうした厳しい審査を受け、その後、「10年間(確か10年か15年といっていたと思いますが、メモを取らなかったので、いい加減です)、転売時に、利益がでれば、差額はハビタットに」という転売制限契約に基づき、無利子で、8万ドルといった価格のローンを受けるのだそう。毎月のこうした居住者のローン返済資金は、さらに、新しい家を立てるために使われるのです。

デトロイトプロジェクトの場合の8万ドルという額の算出基準は、こうした新築の家が、居住後、鑑定すると、このエリアの落ち込み等も勘案にいれ、「その価格になるから」のようです。私達が買う中古は、きれいに補修してあっても、鑑定金額は、当然もう少し低くなります。


さて、投資家として、興味深かったのは、ハビタットが見た投資家について。


ティルフォード氏によると、ハビタットは、実は、遠方等から、「家を買ってくれ」というオファーをたくさん受けるそう。

「こうした投資家は、場合によったら、物件が、12万ドルだといったしばらく前の鑑定額や売買履歴などを見せられて、投資をしていたりすることもあります。格安でデトロイトで購入した物件を、短期間で転売して利益を得ようとして、それが出来ないことに気がつき、自分の家が、ハビタットの近くだということで、いろいろなところから、電話をかけてくるというわけです。」

「我々も、リフォームだけで直せる家屋は、確かに、リフォームしていますが、それでも、こうした投資家は、相場以上または相場相当での買取を要求するもので、、、」

「特に、困るのが、たとえば、ハビタットがプロジェクトに着手したことに目をつけ、向かいの老朽幽霊家屋を購入した人までいること。買収してもらおうと思ってやったらしいですが、ほらあの家です。」

あまりに話が佳境にいたったので、シャッターチャンスをあいにく逃しましたが、その後、

「しかし、我々も、この投資家の目論見に乗ることはせず、この敷地の買収はしなかったので、この投資家は、固定資産税を支払うことを出来ず、現在、この物件は、フォークロージャーになっているのですよ。」

というから、間抜けというか、悲しい人間性というか、、、

なるほど、ティルフォード氏が、out of town investor 達と話をすることを渋ったのも、当然ですね。あまり倫理的といえない立場の方々が、自己主張をしてきても、対応しにくいということで、私達にも、「エグジットしたいから尻拭いを手伝ってくれ」といわれるかと、ひやひやしたに違いません。

逆に、私達も、「あなた達のやっているのは、どんな投資なんですか?」と聞かれ、「長期のキャッシュフロー型を目指していて、最終的に、現地の方にエグジットできれば、うれしいです」と、超マトモな返事が出来たので、ホッ。

それを聞いて、氏は、

Good! We need longterm investors because we at Habitat are only here for the short term.
よかった!ハビタットの我々は、新築プロジェクトが終わったあとには、撤去しなければいけないけれど、相場の底支えをするには、健全な長期投資家が必要ですから。

といって、さわやかに、去っていきました。


おめがねにかなったということで、当初の20分ではなく、お昼の時間45分くらいをのんびり、私達と過ごしてくださった氏には、心から、感謝したいと思います。一応小額ながら、グループからの寄付のチェックも渡し、ハビタットを通した”アメリカ社会見学”を終えた私達なのでした!

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グーグルストリートビューでも、建築ラッシュが見られます。今は、この時点で建築中だった家々が、みんな、きれいな新築になり、また、居住する方々は、モチベーションも高いので、ごみなどもなく、大変清潔な通りが並んでいました。一部は、ハビタットの家屋ではなく、地元のNPOが立案したもので、中流の収入がある家も、何十軒かあるそうです。

日本については、地方物件の管理をされている方々や、古民家再生といったことに携わられている方々など、いろいろな不動産関係の職種に従事されている皆さん、日々、感じられているのでしょうが、一度荒廃したものを元に戻すって、やっぱり、とっても手間のかかることなんですよね。

ただ、ちょっとしたことですが、近くでも本当に中流のエリアでは、芝生は、どの家でも、刈り立てで、きれいでしたが、これらの subsidized housing (補助案件)のエリアでは、きれいに住んでいる場合でも、芝生は、刈ってないといったことがありました。アメリカ在住のOさんも、「自分の会社の人たちも、みんな、家の芝生を刈りに、会社を出来るだけ早く退社している」といっていました。こうしたちょっとしたメンタルで、エリアのランクが、やっぱり、如実に、出てくるんですね。

このような地道な都市再生事業についても、”アメリカ国内で、貧困という後進国”状態を作り出してしまったデトロイト市、あるいは、回りまわって、日本人にとっての今後の都市再生の今後の参考例になったりして、、、

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