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読者様からのご質問 アメリカ在住者様の小額投資/融資戦略

対デトロイト不動産投資の中山道子です。欧米の正月休暇は、1日だけ、旧正月を祝うアジアのほかの国々でも、この時期は別に休みでないというのに、、、苦

でも、早速、読者様から、新年初のご質問を頂戴しました。アバウトなレベルで恐縮ですが、一般論的な感想をもって、お返事に変えたいと思います。

それが、アメリカ在住者様の「イマドキの投資戦略についての私の意見」です。


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中山さま

いつもブログを楽しく拝見させて頂いております。
また、貴重な不動産投資情報いつもありがとうございます。

私は現在ロサンゼルスへ住んでおりまして、
本やサイト等を見つつ投資用物件を色々と探しておりますが、
一人ではなかなか出来るものではないと思い
ぜひとも不動産投資仲間を作りたくメールいたしました。

初めてのメールで質問をたくさんするのも失礼ですので、
2つほど伺ってもよろしいでしょうか?

1. デトロイトの物件はローンが組めないと聞いたことがありますが、中山さんの扱っているケース(物件)ではローンが可能でしょうか?(デトロイトだと現金買いできる物件が多数ありますが、多少のローンを組んで高めの良い物件を買う戦略はどうなのかな、というのが質問の意図になります)

2. ローンが可能という条件であれば、中山さんの投資戦略ではどのエリアがお勧めでしょうか。デトロイトですと2万ドル程度で現金買いできると思いますが、別エリアで頭金2万ドル(残りローン)の方がよいのかなとも思います。因みにロサンゼルスの物件は高すぎるので、州外を考えておりましたが、その選択もよいのか悩ましいところです。


素人的な質問で申し訳ありません、
お時間のある時にご返信頂けると幸いです。


どうぞ今後とも宜しくお願いいたします


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うぬぬ。

現在、デトロイトでは、ローン案件というのは、結構難しいようで、「皆無」ではないということは、タイトルカンパニーから、もれ聞いていますが、他方では、地元投資家である私のパートナーも、「自分には融資取得は無理」といっていますので、window of opportunity (機会)は、結構、狭いように思います。

現在、一般的に好条件の低価格物件については、多くのエリアで、all cash(現金)が、明示された、または、事実上の条件のことが、多いと思われます。

売主のほうで、物件情報上、cash offer only(現金での購入希望のみ受け付ける)と明記している場合も多いですし、結果として、競争力のある物件には、他の投資家から、キャッシュオファーが出されることが多いわけですので、「融資をつけて、購入したいです」というオファーをしてみても、「融資がつかなかったら、買ってもらえないということだから、この人は、ボツ」と、黙殺扱いになる可能性が高いわけです。

デトロイトも例外ではなく、私の扱っている物件類似エリアですと、この方のお問い合わせのように、2万ドル前後から、一応修理済みをうたっている物件は、多数あります。私自身がお勧めするときは、物件価格が、もう少し高く、3万ドル近くのものが多くなっているので、この方も、「割高の3万ドルなら、ローンがつく可能性があるのかな」というお問い合わせでしょうか。

私のご紹介する物件が割高なのは、実は、日本の投資家様のご希望に基づいたもので、5年間大きなリフォーム不要を目標にしているので、屋根、外壁、水道管など、すぐ直さなくても直近は問題が出ない箇所も目配りしてもらったほうがいいというご意見が多く、より割安の物件よりよりヘビーな修理を施したり、セレクトの条件を厳しくしてお出ししているというのが理由です。具体的には、例えば、水道管を、さび付いて水の流れが悪くなりかかっているような古い銅管からプラスチック/樹脂管に回しなおし、定期的なペンキ塗り替えが必要になる木造を、樹脂サイディングで、メンテフリーにしてしまうわけですね。

ちゃんと融資が取れる場合は、これらの物件も、5万前後UPといった価格帯を狙えるポテンシャルがあり、逆に、それが可能になれば、最高のエグジット戦略ですので、実際問題として、やはり、私の扱っている物件も、「3万という価格帯」では、キャッシュオンリーのお願いとなります。

逆に、私のホールディングしている物件を、テナントはそのままで、もし、融資がつけば5万ドルで買いたいというオファーでしたら、私、いつでも、OKです!

さて、一般に、融資を取得するというのは、好況時でも大変なことで、アメリカのローンは、手数料や金利が高いので、ローン取得のための自分の手間もありますし(my time is moneyの法則ですね)、今は、「高いレバレッジをかけて、物件を購入したら、すぐに大きく値上がりする」ということはないですし、米国在住者様であっても、「2万ドルの頭金で買える物件での投資を検討するくらいなら、もっとお金をためるか、株式投資のほうが、いいんじゃないかな」と、思います。

それが、小額でキャッシュで買える物件を、ご紹介している理由。

この方の想定されている2万ドルという投資資金ですが、8年前の好況時に、新築を買うのなら、これは、相当な軍資金になりえたと思いますが《昔は、更地に1,000ドルの手付けを打てば、業者が着工してくれ、その物件が完成する前に、他の人に、転売して、儲けを1万ドルとる、といったような極端な例まで聞いたことがあります》、今の経済状況で、デトロイトに存在するような、築60年、80年といった老朽物件を購入する場合には、一般論として、決済コストなど、関連コスト《融資を取得する場合はなおさらかかる》のみならず、決済後の予備費、長期メンテナンスやホールディングコストなども、想定するべきなんですね。

つまり、その2万ドルを、まるまる、購入費用や頭金に使うというシナリオの場合は、直近、それほどトラブルがない場合でも、一般的には、さらに、5,000ドルからの関連費用・準備金が必要になるだろうと思いますし、25,000ドルあれば、十分という保障もありません。

例えば、今は冬ですから、購入後、空室で、客付け用に内見をさせている物件の銅管が破裂すれば(管理会社の不手際)、状況によっては、テナント入居前に、壁修理も入ります。

細かくご説明しますと、水道管の劣化自体は、ペンキ塗り替え同様、保険の対象になりません。なので、水道管が破裂したが、物件自体には、大きなダメージがない場合は、水道管をまわしなおすのは、すべて、保険外の自己負担になります。

次に、水道管の他に、壁等の修理が必要になった場合は、そちらのほうは、当然、保険の対象になりますが、その場合でも、自己負担額が生じるわけで、例えば、自己負担額が2,500ドルである場合は、水道管の修理代(例えば、2,000ドルとすると)プラス2,500ドルで、合計4,500ドルが、”不慮の支出”になるわけですね。

もちろん、自己負担額を下げることは可能なのですが、保険の申請は、相当な手間がかかり、一般には、管理会社が熱心に協力してくれる場合ばかりではありません。なので、自己負担額を低く設定し、保険を申請する場合に降りかかる面倒を考えれば、結局、多少の金額は自分で飲むほうが早いという場合が多いわけで、そのため、私自身は、デトロイト投資の場合、標準の自己負担額は、2,500ドルくらいをお勧めしています(当然掛け金は、多少安くなる)。

ちなみに、私のご紹介物件は、90軒すべてにわたり、決済後、テナントさんが入居し、しばらくたって、居住により引き起こしたダメージが生じた場合以外に、不慮の修理が、直近数ヶ月にわたり、オーナー様に降りかかってきたという例は出していません。客付けにあたってテナントさんが多少の要望を出してきたときも、売主がすべてアフターフォローで入居直後までのトラブルに対処してくれます。

投資は、直近の支出の額はもとより、それのみならず、計画的な段取り作りが一番重要だというのが私の考えで、対米投資初級の遠隔投資家様の場合は、「聞いてなかったよ」という事態をできるだけ避けるように、私は、最大限努力しています。これに対し、普通は、知らない売主から物件を買う場合は、決済をした後は、「売主や不動産屋さんに連絡しても仕方ない」という状況になるわけで、普通は、例えば、入居者がすぐに運良くついた場合であっても、「入居して、シャワーを使っていたら、数日で水道管が詰まった」といった文句を言ってきたとしたら、それは、売主には、掛け合えず、管理会社さんに有料でやってもらわなければいけない”直近の想定外支出”となってしまうわけですね。

このように、トラブルの可能性もあわせて、いろいろ考えていくと、残念ながら、普通の世界の常識と異なり、不動産においては、考え方によっては、不況時の2万ドルというのは、好況時の2万ドルとは比べ物にならないくらい「小額の資金」扱いされてしまいます。普通の考えなら、「今は不況だから、2万ドルは、好況時の2万ドルより、ずっと大きなお金だ」という風になるはずではあるのですが、、、この「逆転現象?の理由」は、好況時には、レバレッジが効率的に利用できるからですね。

なので、イマドキの経済状況では、私自身は、この方には、正直、「今の余剰資金が2万ドルしかないなら、もう少し、様子を見たり、貯金を増やしたりしながら、別の機会を待ったらいかがですか」と申し上げたいと思います。

関連して、「どこで投資をすればいいか」というご質問もありました。残念ながら、これについても、不動産の場合、「予算がいくらなら、ここで投資をすればいいです」というような一元的な回答は、ありません。アメリカ人のよくいう、It all depends on what you want.《そんなの何がしたいかによるよ》 なわけですが、あえて私の意見を述べるとすれば、以上のように、「2万ドルでローンが組めるような物件は、クリエイティブファイナンシングも含め、遠隔投資を希望する初級日本人投資家の場合は、どんなエリアであっても、手を出さないほうがいいんじゃないでしょうか」といったところでしょうか。

アメリカ人の小額投資についての考え方には、危険なものもあるということの例として、過去に、こんな記事を書いたこともあります。クリエイティブな小額投資の罠

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以上、せっかくの新春のご質問に対し、モチベーションが下がるお返事だったかもしれません。私の考えはそれとして、「まずは、情報収集に、自分で動いてみる」ことも、大切ですので、今後も、ご自身で、いろいろ、研究してみてくださいね。

それにあたって、このブログが今後もTさんのお役に立つようであれば、幸いです。

中山からのお願いです。
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